ネットワークスペシャリスト 午後 解答用紙 令和6年春(午後Ⅰ 問1〜3・午後Ⅱ 問1〜2)

平成26年平成27年平成28年平成29年平成30年令和元年令和3年令和4年令和5年令和6年令和7年

問題は IPA 公開の問題冊子をそのまま掲載。解くあいだは解答例も解説も表示しません。解答欄に書き始めるとタイマーが動きます (午後Ⅰ 45分・午後Ⅱ 120分が目安)。「回答完了」を押すと、公式解答例・採点講評・解説が出ます。入力内容はこのブラウザに保存されます。

00:00

午後Ⅰ 問1④ コンテンツ配信ネットワーク(CDN・BGP anycast・DDoS対策) (p.3〜8)

p.3p.4p.5p.6p.7p.8

解答用紙

50字以内
自己採点
ア
自己採点
イ
自己採点
自己採点
ウ
自己採点
エ
自己採点
自己採点
10字以内
自己採点
40字以内
自己採点
30字以内
自己採点
30字以内
自己採点
IPA 公式 解答例・解答の要点
出題趣旨 Webビジネスの普及に伴い,コンテンツ配信の対象顧客は国内にとどまらず,海外にも広がってきている。広域でのコンテンツ配信時には,自社で広域ロードバランサーを導入する方法と,コンテンツ配信ネットワーク(CDN:ContentDeliveryNetwork)を契約して配信を委託する方法がある。近年では,コンテンツ事業者側の運用負担の少ないCDNの利用が増えている。また,コンテンツ配信を行う際にはDDoS攻撃への対策が必要である。本問では,ロードバランサーやBGP,CDN,DDoS対策を題材として,コンテンツ配信ネットワークを実業務に活用できる水準かどうかを問う。
  設問                              解答例・解答の要点                   備考
設問1 (1) ICMP Echo に応答するが HTTP サーバのプロセスが停止している状態を検知でき
        ない。
    (2) ア 最少接続数
           イ 172.22.1.0/24
       (3) LB
設問2 (1) ウ 大きい
           エ 小さい
       (2) IX
       (3) 不正な BGP 接続
       (4) 不正な経路に含まれるアドレスブロックへのコンテンツ配信ができなくなる。
設問3 (1) 攻撃パケットを攻撃元に近いところで遮断できる。
       (2) より細かい条件で選別して破棄することができる。
採点講評
  問 1 では,コンテンツ配信ネットワークを題材に,ロードバランサーや BGP,CDN,DDoS 対策について出題
した。全体として正答率は平均的であった。
  設問 2 では,(1)の正答率がやや低く,(4)の正答率が低かった。(1)では,BGP の基本を正しく理解していな
いと思われる解答が多かった。出題した属性は,BGP の中でも重要なものなので,理解を深めておいてほし
い。
  (4)では,トラフィックの向きを逆方向に考えた誤答が多かった。BGP で受け取った経路がどのトラフィック
に影響するか正しく理解し,正答を導き出してほしい。また,BGP 運用に必要な IRR(Internet Routing
Registry)や経路ハイジャック対策についての知識を是非身につけておいてほしい。

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午後Ⅰ 問2② SD-WANによる拠点接続 (p.9〜15)

p.9p.10p.11p.12p.13p.14p.15

解答用紙

ア
自己採点
イ
自己採点
ウ
自己採点
エ
自己採点
オ
自己採点
カ
自己採点
a
自己採点
b
自己採点
c
自己採点
d
自己採点
e
自己採点
f
自己採点
20字以内
自己採点
LSA のタイプ
自己採点
機器
自己採点
①25字以内
自己採点
②25字以内
自己採点
35字以内
自己採点
自己採点
自己採点
IPA 公式 解答例・解答の要点
出題趣旨 近年,SD-WANの企業ネットワークへの採用が進みつつある。SD-WAN技術の詳細は機器ベンダーによって違いがあるが,企業でSD-WANを導入して活用するには,SD-WANの動作原理やその基盤となっているIPネットワーク技術に関する理解が必要である。本問では,企業ネットワークへのSD-WAN導入を題材として,SD-WANに関する基本的な仕組みや,SD-WAN導入に当たって必要となるIPネットワーク設計と構築に必要となる基本的なスキルを問う。
  設問                               解答例・解答の要点                   備考
 設問1       ア カスタマー
           イ 再配布
           ウ DMZ
           エ eBGP
           オ プライベート
           カ ポリシーベース
設問2 (1) a      10.3.0.0/16
           b   64500   64500
       (2) c   65500
           d   65500
           e   65500
           f   65500
設問3 (1) ルーティングループによる障害
       (2) タイプ Type5 又は        外部 LSA
            機器 ルータ 3
設問4 (1) ① ・IPsec トンネル確立のための IP アドレス
        ② ・IPsec トンネル確立のための鍵情報
    (2) IPsec トンネルに障害があった場合の検出を高速にする。
設問5 (1) TE023,TE032
       (2) TE123,TE132
採点講評
 問 2 では,企業ネットワークへの SD-WAN の導入を題材に,SD-WAN 技術とその基盤となっている IP ネットワ
ーク技術について出題した。全体として正答率は平均的であった。
 設問 3 では,(2)の正答率が低かった。OSPF における経路情報交換の基本的な仕組みを正しく理解していな
い受験者が多いと推察される。OSPF がどのように LSA を交換して経路表を作るかという動作の仕様や各 LSA の
役割などについては,OSPF の基本事項なので,しっかりと理解してほしい。
 設問 4 では,(2)の正答率が低かった。BFD のような障害検知のための技術はネットワークを安定的に稼働さ
せるために役に立つ技術である。障害検知の手法や関連知識を広く身に付けておくことは重要である。
解説

この問題の骨格 MPLS VPN で4拠点をつないでいる会社に SD-WAN を入れる話。 SD-WAN は看板で、中身はBGP(AS_PATH とループ検出)・OSPF(LSA のタイプ)・再配布という 分野②の基礎そのもの。あなたが午前Ⅱで落としている論点がほぼ全部入っているので、 ②の7問の中ではこれを最優先で潰す価値がある。

設問1 ア=カスタマー、イ=再配布、ウ=DMZ、エ=eBGP、オ=プライベート、カ=ポリシーベース

PE ルータ(Provider Edge)の対向にあるのは CE ルータ(Customer Edge)
  → ア=カスタマー

OSPF と BGP4 という別プロトコル間で経路を渡すこと=経路の再配布(redistribute)
  → イ=再配布

全拠点からのインターネット向け http/https はプロキシサーバ経由。
プロキシサーバは DMZ にある(図1)ので、OSPF で配るのは DMZ のサブネット宛て経路
  → ウ=DMZ

AS 内の BGP ピアが iBGP。拠点ルータ(AS65500)と PE ルータ(AS64500)は AS が違う
  → エ=eBGP

インターネットに出ない AS のために予約された番号(64512〜65534)
  → オ=プライベート

アプリケーションを見分けて経路を変える=ポリシーベースルーティング
  → カ=ポリシーベース
iBGP と eBGP の切り分け 「同じ AS 内のピア=iBGP、違う AS 間=eBGP」。 AS 番号を比べるだけで決まる。本文が L社VPN=64500、G社=65500 と わざわざ両方書いているのは、ここを判断させるため。

設問2(1) a=10.3.0.0/16、b=64500 64500

a は表2 から支店V のネットワークをそのまま。問題は b。

as-override は何をする機能かを本文から読み取る。 本文は「この設定によって、G社の複数の拠点で同一の AS 番号を用いる構成が可能になっている」と書いている。 なぜ普通は不可能なのか——BGP は AS_PATH に自分の AS 番号が入っている経路を、ループとみなして捨てるから。

as-override 無し
  支店V(AS65500) → PE3 → L社VPN(AS64500) → PE2 → 本社ルータ2(AS65500)
  本社に届く AS_PATH = 64500 65500
  本社ルータ2 は「自分と同じ 65500 が入っている」→ ループと判断して破棄 ✗

as-override 有り
  PE2 が広告する直前に、AS_PATH 中の「受信側顧客と同じ AS 番号(65500)」を
  自分の AS 番号(64500)に書き換える
  本社に届く AS_PATH = 64500 64500  → 自分の番号が無いので受け入れる ✓
ここが BGP の本質 BGP のループ防止はAS_PATH を見るだけ。 RIP のホップ数でも OSPF の SPF 計算でもない。 「自 AS 番号が含まれる経路は捨てる」——これが分かっていれば、 as-override という初見の用語でも本文から機能を逆算できる。 午後は知らない用語が必ず出るが、知っている原理に結びつけて読むのが解法。

設問2(2) c=d=e=f=65500(全部同じ)

「G社現行ネットワークで用いられている AS 番号は何か」。 本文に「L社VPN と接続するために、AS 番号 65500 が割り当てられている」とあり、 さらに as-override のおかげで4拠点すべてが同じ 65500 を使える。 だから表2 の空欄は全部 65500。

引っかかりやすい点 拠点ごとに違う番号を書きたくなるが、 設問2(1)でやったばかりの as-override が「同一 AS 番号を使うための設定」だと気づけば一本道。 設問が前後でつながっているので、(1)が解けたら(2)は確定する。

設問3(1) ルーティングループによる障害(20字以内)

ルータ1〜4 は OSPF と BGP4 の間で双方向に再配布している。フィルターが無いと、 OSPF で学んだ経路を BGP に出し、それがまた別の拠点で OSPF に戻り……と循環する。

OSPF ──再配布──> BGP4 ──再配布──> OSPF ──再配布──> BGP4 …
(元は自分が出した経路なのに、他人から教わった新しい経路に見えてしまう)

相互再配布にはフィルター(またはタグ)が必須というのは設計の定石。

設問3(2) タイプ=Type5(外部 LSA)/生成した機器=ルータ3

DMZ 宛ての経路は、もともと BGP4 で運ばれてきて、各拠点のルータで OSPF に再配布される。 OSPF から見れば外部から持ち込まれた経路なので Type5(AS 外部 LSA)。

生成した機器は、再配布を行ったルータ=ASBR。支店V の L3SW3 から見ると、 支店V で再配布しているのはルータ3。

OSPF の LSA タイプ(午後で問われるのはほぼ 1・2・3・5)
  Type1 ルータ LSA      各ルータが自分のリンク情報をエリア内に流す
  Type2 ネットワーク LSA DR がマルチアクセスセグメントの情報を流す
  Type3 サマリ LSA      ABR がエリア間の経路を流す
  Type4 ASBR サマリ LSA ABR が ASBR の居場所を知らせる
  Type5 AS 外部 LSA     ASBR が再配布した外部経路を流す  ← これ
採点講評 正答率が低かった設問で、IPA は 「OSPF における経路情報交換の基本的な仕組みを正しく理解していない受験者が多いと推察される。 OSPF がどのように LSA を交換して経路表を作るかという動作の仕様や各 LSA の役割などについては、 OSPF の基本事項なので、しっかりと理解してほしい」と書いている。 「OSPF =リンクステート」を暗記しているだけでは解けない層の設問で、 LSA のタイプと「誰が生成するか」まで持っておく必要がある。
間違えやすいのは「生成した機器」 L3SW3 に届いた LSA なので 送ってきた直近の機器を書きたくなるが、LSA は生成者の情報を持ったまま flooding される。 中継した機器ではなく最初に作った ASBRを答える。

設問4(1) ① IPsec トンネル確立のための IP アドレス ② IPsec トンネル確立のための鍵情報

SD-WAN コントローラーが配るのは「経路情報」と「IPsec トンネルを構築するために必要な情報」の2種類。 後者を2つに割ると、相手の居場所(IP アドレス)と暗号化に使う鍵。

SD-WAN が何を楽にしたのか 従来は拠点が増えるたびに、 全拠点のルータに相手の IP アドレスと事前共有鍵を手で入れて回る必要があった(フルメッシュなら N×(N−1)/2 本)。 コントローラーが配ってくれるので、新拠点はコントローラーに登録するだけで済む。 冒頭の「支店の追加による設定作業を行いやすくする」という改善方針がこれに対応している。

設問4(2) IPsec トンネルに障害があった場合の検出を高速にする(35字以内)

BFD(Bidirectional Forwarding Detection)は、障害検出だけに特化した軽いプロトコル。 ルーティングプロトコル自身の Hello/Dead タイマーに任せると、 OSPF なら標準で Dead interval 40秒かかる。BFD ならミリ秒単位で落ちたことが分かる。

採点講評 ここも正答率が低い。設問が 「“IPsec トンネル”という用語を用いて」と指定しているので、 単に「障害検出を速くする」だけでは不足。何の障害かを書く。 IPA は「BFD のような障害検知のための技術はネットワークを安定的に稼働させるために役に立つ。 障害検知の手法や関連知識を広く身に付けておくことは重要」と締めている。

設問5(1) TE023、TE032 / (2) TE123、TE132

図3 の TE 名に規則があることに気づけば一瞬で終わる。

TE □ △ ○
    │ │ └─ 相手の装置番号
    │ └─── 自分の装置番号
    └───── 0 = GE0(L社VPN側・実線)  1 = GE1(インターネット側・破線)

通常時:本文⑦より L社VPN を優先 → GE0 側=TE0xx を使う
  本社(装置2) → 支店V(装置3)  :TE023
  支店V(装置3) → 本社(装置2)  :TE032

支店V の L社VPN 回線が障害 → インターネット側にフォールバック → TE1xx
  本社(装置2) → 支店V(装置3)  :TE123
  支店V(装置3) → 本社(装置2)  :TE132
往復2つ答える 「通過する TE を全て答えよ」なので、 行きと帰りの両端のトンネルエンドポイントを書く。片方だけだと減点。 また、データセンター(装置1)は経由しない——拠点間はフルメッシュで直接つながっているので、 図2・図3 を見て本社と支店V が直結していることを確認する。

この問題から持ち帰るもの ①BGP のループ防止は AS_PATH に自 AS があれば破棄。 as-override はそれを回避するための書き換え。②プライベート AS 番号は 64512〜65534。 ③同一 AS 内が iBGP、異なる AS 間が eBGP。④相互再配布にはフィルターが要る(でないとループ)。 ⑤再配布された外部経路は Type5 LSA で、生成者は再配布したルータ(ASBR)。 ⑥BFD はルーティングプロトコルのタイマーより速く障害を検出するための専用機能。

午後Ⅰ 問3② ローカルブレイクアウトによる負荷軽減(IPsec VPN・PAC/WPAD) (p.16〜21)

p.16p.17p.18p.19p.20p.21

解答用紙

ア
自己採点
自己採点
25字以内
自己採点
自己採点
30字以内
自己採点
10字以内
自己採点
自己採点
自己採点
最初の IP アドレス
自己採点
最後の IP アドレス
自己採点
20字以内
自己採点
25字以内
自己採点
イ
自己採点
ウ
自己採点
エ
自己採点
オ
自己採点
25字以内
自己採点
IPA 公式 解答例・解答の要点
出題趣旨 クラウドサービスを利用する企業はますます増加しており,社内システムのオンプレミス環境からクラウド環境への移行が進んでいる。また,多くのクラウドサービスはHTTPSで提供されており,企業ネットワークではHTTPSを中心とした通信制御,トラフィックコントロールを求められることが増えてきた。PCやWebブラウザが利用するプロキシサーバの制御も必要である。本問では,ローカルブレイクアウトを題材として,IPsecVPNの基本的な知識,及びプロキシ自動設定やWebプロキシ自動検出について問う。
  設問                           解答例・解答の要点                   備考
設問1 (1) ア ハブアンドスポーク
       (2) 事前共有鍵
       (3) 鍵が漏えいした際の影響範囲を小さくできる。
       (4) IP ヘッダー,元の IP パケット,ESP トレーラ
       (5) インタフェースに IP アドレスの割当てを行わない設定
       (6) 転送負荷の増大
設問2 (1) 利用しない
       (2) proxy.a-sha.jp
       (3) 最初 172.16.0.0
           最後 172.31.255.255
       (4) 本社のプロキシサーバの負荷軽減
       (5) UTM プロキシサーバの FQDN が異なるから
設問3 (1) イ DHCP
                                                        順不同
           ウ DNS
           エ HTTP
           オ URL
       (2) 不正なプロキシサーバに中継される。
採点講評
 問 3 では,ローカルブレイクアウトを題材に,IPsec VPN の基本的な知識,及びプロキシ自動設定や Web プ
ロキシ自動検出を利用して,PC や Web ブラウザが利用するプロキシサーバの制御方法について出題した。全体
として正答率は平均的であった。
 設問 1 では,(2)の正答率がやや低かった。事前共有鍵は IPsec の基本的な技術用語なので是非知っておい
てもらいたい。(3)の正答率が低かった。ESP ヘッダーを含めた誤った解答が多かった。ESP ヘッダーは,暗号
化の範囲に含まれないことをしっかり理解してほしい。
 設問 2 では,(3)の正答率が低かった。172.16.0.0 や 172.31.255.255 は IP アドレスとして利用可能である
が,これらを含めない誤った解答が散見された。IP アドレスのアドレス空間を正しく理解することは,ネット
ワーク技術者として重要である。
 設問 3 では,(1)オの正答率が低かった。企業などのインターネット接続は,プロキシサーバを組み合わせ
て構成されることが一般的である。PC や Web ブラウザのプロキシ設定にはどのような種類があり,現場でどの
ように運用されているか,是非理解を深めてもらいたい。
解説

この問題の骨格 支社から SaaS への通信だけを、本社プロキシを経由せず直接インターネットに出す (=ローカルブレイクアウト)話。前半が IPsec(トランスポート/トンネルモードと暗号化範囲)、 後半が PAC ファイルを読む作業。計算も読解も素直で、②の7問の中では一番得点しやすい。

設問1(1) ア=ハブアンドスポーク

本文が「本社をハブ、各支社をスポークとする□型」と答えを半分書いている。 対になる用語はフルメッシュ(全拠点が互いに直結、令和7年度 午後Ⅰ問1 の DMVPN がそれ)。

設問1(2) 事前共有鍵(PSK)

IPsec で両端が同じ鍵をあらかじめ持ち合う方式。対になるのはディジタル証明書による認証。

採点講評 正答率がやや低く、IPA は 「事前共有鍵は IPsec の基本的な技術用語なので是非知っておいてもらいたい」と書いている。 用語そのものを知らないと1文字も書けない設問なので、ここは落とせない。

設問1(3) 鍵が漏えいした際の影響範囲を小さくできる(25字以内)

全ペアで同じ鍵を使うと、1本漏れた時点で全拠点間の通信が解読可能になる。 ペアごとに変えておけば、漏れてもその1本だけで済む。 設問が「鍵の管理に着目して」と誘導しているので、影響範囲という言葉を必ず入れる。

設問1(4) IP ヘッダー、元の IP パケット、ESP トレーラ

図2 の構造を正確に捉えるのがすべて。

図2(1) IP-IP でカプセル化した状態
  [ IPヘッダー ][ 元のIPパケット(元のIPヘッダー+元のIPペイロード) ]

図2(2) それを IPsec(トランスポートモード)で暗号化した状態
  [ IPヘッダー ][ ESPヘッダー ][ 元のIPパケット ][ ESPトレーラ ][ ESP認証データ ]
                               └──── 暗号化 ────┘        ← 設問文が与えている前提

もしトンネルモードだったら
  新しい IP ヘッダーが外側に付き、図2(1)のパケット全体が中身になる
  [ 新IPヘッダー ][ ESPヘッダー ][ IPヘッダー ][ 元のIPパケット ][ ESPトレーラ ][ ESP認証データ ]
                                 └────────── 暗号化 ──────────┘

つまりトランスポートモードのときの暗号化範囲に、外側の IP ヘッダーが1枚加わる。 答えは図2 中の字句で「IP ヘッダー、元の IP パケット、ESP トレーラ」。

採点講評(最重要) IPA は「ESP ヘッダーを含めた誤った解答が多かった。 ESP ヘッダーは、暗号化の範囲に含まれないことをしっかり理解してほしい」と書いている。 理由は単純で、ESP ヘッダーには復号に必要な SPI とシーケンス番号が入っている。 これを暗号化したら受信側が復号できない。同様に末尾の ESP 認証データも、 暗号化後のデータに対して計算する ICV なので範囲外。
暗号化される     元のパケット本体 + ESPトレーラ(+トンネルモードなら内側IPヘッダー)
暗号化されない   ESPヘッダー(SPI・シーケンス番号)/ESP認証データ(ICV)/外側IPヘッダー
認証(完全性)の範囲は ESPヘッダーから ESPトレーラまで(ESP認証データ自身は除く)
なお講評は「設問1(3)」と書いているが、内容からしてこの暗号化範囲の設問を指している。

設問1(5) インタフェースに IP アドレスの割当てを行わない設定(30字以内)

IP Unnumbered は、トンネルなど点対点のインタフェースに個別の IP アドレスを振らず、 他のインタフェース(通常はループバック)のアドレスを借りて使う設定。 拠点が増えてもトンネル用のアドレスを設計・採番しなくて済む。 設問が「“IP アドレスの割当て”の字句を用いて」と指定しているので、その語をそのまま使う。

設問1(6) 転送負荷の増大(10字以内)

IP-IP + IPsec でヘッダーが積み重なるぶん、元のパケットが MTU を超えやすい。 フラグメントが起きれば UTM が分割と再組立てをソフト処理で行うので負荷が上がる。 だから送信側であらかじめ MSS を調整して(MSS クランプ)フラグメントさせない。

午前Ⅱの MSS 計算と地続き 弱点補強27問の第22問で 1500 − IP20 − TCP20 = 1460 を計算したが、ここに IP-IP の 20 と ESP のヘッダー/トレーラが 乗るので、実際に通せる MSS はもっと小さくなる。 「カプセル化するとペイロードが減る」という感覚が午後では必須。

設問2(1) 利用しない / (2) proxy.a-sha.jp

PAC ファイルは上から順に評価して最初に return したところで終わり。この順番がすべて。

(1) DMZ の Web サーバ → ホスト名は a-sha.jp に属する
      (b) の dnsDomainIs(host, ".a-sha.jp") に一致 → return "DIRECT"
      → プロキシは「利用しない」

(2) https://www.example.com/foo/index.html
      (b) プライベートアドレスでもなく a-sha.jp でもない   … 通過
      (c) image.cdn.example でも *.c-saas.example でもない … 通過
      (d) に落ちて return "PROXY proxy.a-sha.jp:8080"
      → 本社のプロキシサーバ proxy.a-sha.jp

(2) は「C社 SaaS 以外のインターネット宛ては、ログを取るためこれまでどおり本社プロキシ経由」という 本文の方針どおり。コードと本文が一致していることを確認できれば自信を持って答えられる。

設問2(3) 最初=172.16.0.0、最後=172.31.255.255

マスク 255.240.0.0 は /12。第2オクテットの上位4ビットだけが固定される。

255.240.0.0 → 11111111.1111 0000.00000000.00000000  … /12
172.16.0.0  → 10101100.0001 0000.00000000.00000000
                        ↑ここまで固定(0001)、以降は自由

第2オクテット 16 = 0001 0000
              31 = 0001 1111   ← 下位4ビットが全部1
よって 172.16.0.0 〜 172.31.255.255(=プライベートアドレスのクラスB相当の範囲)
採点講評 正答率が低かった設問。IPA は 「172.16.0.0 や 172.31.255.255 は IP アドレスとして利用可能であるが、 これらを含めない誤った解答が散見された」と書いている。 サブネットの「ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスは使えない」という知識が邪魔をして、 両端を1つずつ内側にしてしまう誤り。ここで聞かれているのは isInNet() が真になるアドレス空間の端から端であって、ホストに振れる範囲ではない。
プライベートアドレスは3つとも言えるように
10.0.0.0/8       10.0.0.0    〜 10.255.255.255
172.16.0.0/12    172.16.0.0  〜 172.31.255.255   ← ここが出た
192.168.0.0/16   192.168.0.0 〜 192.168.255.255

設問2(4) 本社のプロキシサーバの負荷軽減(20字以内)

社内宛ての通信まで本社プロキシに投げていたら、拠点内で完結する通信まで WAN を往復してしまう。 DIRECT にすれば本社プロキシを通らない。設問が「“負荷軽減”の字句を用いて」と言っているので、 何の負荷軽減かを明示する。

設問2(5) UTM プロキシサーバの FQDN が異なるから(25字以内)

図4 の (c) は PROXY proxy.osaka.a-sha.jp:8080 と、 大阪支社の UTM プロキシサーバを名指ししている。 名古屋・仙台・福岡はそれぞれ別の FQDN になるので、支社ごとに PAC を作り分ける必要がある。

設問3(1) イ=DHCP、ウ=DNS(順不同)、エ=HTTP、オ=URL

WPAD は PAC ファイルの置き場所を自動で教える仕組みで、探し方が2通りある。

① DHCP  … DHCP の option 252 で PAC の URL を配る
② DNS   … wpad.<自ドメイン> を名前解決して、そのホストから取りに行く
どちらで見つけても、最後は HTTP で PAC ファイルをダウンロードする
WPAD を使わない場合は、PAC ファイルの URL を PC/ブラウザに直接設定する  ← オ
採点講評 「オの正答率が低かった」。 PAC ファイルそのものを配るのではなく場所(URL)を設定するという点を外しやすい。 IPA は「PC や Web ブラウザのプロキシ設定にはどのような種類があり、 現場でどのように運用されているか、是非理解を深めてもらいたい」と書いている。 プロキシ設定の3種類(手動指定/PAC の URL を指定/WPAD で自動検出)を整理しておく。

設問3(2) 不正なプロキシサーバに中継される(25字以内)

WPAD は最初に応答した DHCP/DNS を信じてしまう。攻撃者が偽の応答を返せば、 PC は攻撃者のプロキシを使うよう設定され、通信が全部そこを通る。 HTTPS でも、プロキシが中間者として証明書を差し替えられる状況なら中身を見られる。 だから B さんは WPAD を使わず URL 直接指定にした——本文の判断がそのまま答えの根拠になっている。

この問題から持ち帰るもの ①IPsec の暗号化範囲に ESP ヘッダーと ESP 認証データは入らない(SPI とシーケンス番号は平文で必要)。 ②トンネルモードは内側の IP ヘッダーごと暗号化する。 ③255.240.0.0=/12=172.16.0.0〜172.31.255.255。両端も含む。 ④PAC は上から順、最初の return で確定。 ⑤WPAD の脅威は偽の応答で不正プロキシに誘導されること。

午後Ⅱ 問1④ データセンターのネットワークの検討(VXLAN・EVPN) (p.3〜13)

p.3p.4p.5p.6p.7p.8p.9p.10p.11p.12p.13

解答用紙

a
自己採点
b
自己採点
c
自己採点
①
自己採点
②
自己採点
③
自己採点
45字以内
自己採点
d
自己採点
e
自己採点
20字以内
自己採点
45字以内
自己採点
45字以内
自己採点
ア
自己採点
イ
自己採点
ウ
自己採点
エ
自己採点
オ
自己採点
カ
自己採点
自己採点
45字以内
自己採点
キ
自己採点
ク
自己採点
ケ
自己採点
コ
自己採点
利点25字以内
自己採点
ID の名称
自己採点
f
自己採点
g
自己採点
25字以内
自己採点
20字以内
自己採点
40字以内
自己採点
IPA 公式 解答例・解答の要点
出題趣旨 データセンター事業者や通信事業者のように大規模なネットワークを運用する企業では,ネットワークの拡張性やマルチテナントへの対応は重要な課題である。このような課題に対応するために,VXLAN及びEVPNを利用する企業は少なくない。VXLAN及びEVPNを利用したネットワークの導入や運用には,レイヤー2及びレイヤー3のネットワーク技術について正しく理解することが重要である。本問では,VXLANを利用して構成されたネットワークにEVPNを適用する事例を通じて,VXLAN及びEVPNを解説した。データセンターのネットワークに利用されるVXLAN及びEVPNの検討を題材として,受験者が修得した技術と経験が,実務で活用できる水準かどうかを問う。
  設問                              解答例・解答の要点                              備考
設問1 (1) a      24
        b      3
           c   UDP
       (2) ① イーサネットフレーム
          ② VXLAN ヘッダー
          ③ IPv4 ヘッダー
    (3) 同じレイヤー2 のネットワークをもつ全てのリモート VTEP に転送するため
設問2 (1) d LSDB
           e   最短経路
       (2) OSPF が動作する各 L3SW
       (3) 複数ある経路のそれぞれの経路について,コストの合計値を同じ値にする。
       (4) 一つの物理インタフェースに障害があっても VTEP として動作できるから
       (5) ア ×
           イ ×
          ウ ×
          エ ×
          オ ○
          カ ×
設問3 (1) 239.0.0.1
    (2) VM11 の MAC アドレス,VNI 及び L3SW11 の VTEP の IP アドレス
       (3) キ 10010
          ク 10.0.0.31
          ケ 10010
          コ 10.0.0.11
設問4 (1) 利点 iBGP ピアの数を減らすことができる。
        名称 クラスターID
       (2) f   Unknown Unicast
           g   ESI
       (3) 二つの回線の帯域を有効に利用できる。
       (4) MP-BGP を用いて学習する。
       (5) VLAN ID に対応する VNI をもつ全てのリモート VTEP
採点講評
 問 1 では,データセンターのネットワークの検討を題材に,VXLAN の概要と VTEP で行われる処理,VXLAN で
カプセル化された IP パケットの転送方式,及び EVPN の概要と特徴について出題した。全体として正答率は平
均的であった。
 設問 1 では,(1)c の正答率が低かった。VXLAN はデータセンターのネットワークなどに採用される事例が少
なくない。また,VXLAN のカプセル化は,VXLAN を理解する上で重要な技術の一つである。是非知っておいて
もらいたい。
 設問 2 では,(1)e,(2)の正答率が低かった。OSPF は多くのネットワーク技術者にとって設計,構築及び運
用など,様々な場面で必要とされる技術である。OSPF の仕組みや仕様を正しく理解してほしい。
 設問 3 では,(3)ク,コの正答率がやや低かった。クとコの解答が逆であったり,VM の IP アドレスにしてい
たりする誤った解答が散見された。L3SW11 及び L3SW31 で行われる処理自体は複雑ではないので,本文をよく
読んで正答を導き出すよう心掛けてもらいたい。
 設問 4 では,(1)の正答率が低かった。設問 2 の OSPF と同様に,BGP も様々な場面で利用されている重要な
ネットワーク技術である。BGP についても理解を深めてほしい。

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午後Ⅱ 問2⑤ 電子メールを用いた製品サポート(SPF・DKIM・DMARC) (p.14〜23)

p.14p.15p.16p.17p.18p.19p.20p.21p.22p.23

解答用紙

自己採点
25字以内
自己採点
a
自己採点
b
自己採点
c
自己採点
ア
自己採点
イ
自己採点
45字以内
自己採点
ウ
自己採点
エ
自己採点
d
自己採点
e
自己採点
f
自己採点
50字以内
自己採点
g
自己採点
h
自己採点
i
自己採点
アルゴリズム名
自己採点
オ
自己採点
50字以内
自己採点
DNS サーバ名
自己採点
登録する情報
自己採点
j
自己採点
50字以内
自己採点
40字以内
自己採点
25字以内
自己採点
20字以内
自己採点
25字以内
自己採点
IPA 公式 解答例・解答の要点
出題趣旨 特定の企業や官公庁などが保有する知財情報や個人情報などの重要な情報の窃取,改ざんなどを行う標的型メール攻撃が広がっており,攻撃手口が巧妙なことから,発見が難しく被害が増加している。標的型メール攻撃は,なりすましメールによって行われることが多い。対策を怠ると,攻撃の被害者になるだけでなく,加害者になってしまうこともある。このような状況を基に,本問では,メールによるサポート業務を他社に委託する場合のなりすまし防止対策を題材として,受験者が修得したネットワーク技術が,標的型メール攻撃の対策に有効な送信ドメイン認証の導入検討に活用できる水準かどうかを問う。
  設問                               解答例・解答の要点                         備考
設問1 (1) mail.y-sha.lan
       (2) TTL を 60 秒と短い値にしている。
       (3) a Preference
             b   y-mail2
             c   逆引き
       (4) ア 200.a.b.1
             イ 192.168.0.1
    (5) メールサーバの FQDN に,詐称したメールアドレスのドメイン名を登録する。
設問2 (1) ウ 200.a.b.1
                                                                  順不同
             エ 200.a.b.2
       (2)   d   SMTP
             e   MAIL FROM
             f   y-sha.com
       (3) 送信元のメールサーバの IP アドレスが,SPF レコードの中に登録されているこ
           と
設問3 (1)      g   ヘッダー
             h   UDP
           i 512
       (2) アルゴリズム名 RSA
             オ 公開鍵
    (3) 受信したメールが正規のメールサーバから送信されたものかどうかが分かるか
        ら
設問4 (1) DNS サーバ名 ・外部 DNS サーバ Y
                 ・y-ns1
             登録する情報          ・メール中継サーバ Z の IP アドレス
                             ・z-mail1 の IP アドレス
       (2)   j   y-sha.com
       (3) メール中継サーバ Z から鍵が漏えいしても,Y 社で実施中の DKIM の処理は影響
           を受けない。
       (4) なりすましメールも,メール中継サーバ Z から社外に転送されるから
設問5 (1)
       (2) 不備により設問が成立しない。
       (3)
採点講評
 問 2 では,電子メール(以下,メールという)を用いた製品サポートを題材に,メールによるなりすましを
検知するための対策について出題した。正答率は全体として平均的であった。
 設問 1 では,(2)の正答率が低かった。本問の構成のように,送信元が社内メールサーバ Y だけの場合,振
分けの偏りを小さくするには,DNS キャッシュの生存時間を短くして,社内 DNS サーバ Y に対する名前解決要
求を頻繁に発生させる必要があることを理解してほしい。
 設問 3 では,(3)の正答率が低かった。本問の構成では,メール中継サーバ Y1 と Y2 が DKIM 処理を行うこ
とから,受信したメールに付与された電子署名が真正であれば,当該メールが Y 社のメールサーバから送信さ
れたことが分かることを導き出してほしい。
 設問 4 では,(3)及び(4)の正答率が低かった。(3)については,鍵の漏えい時に発生する影響を基に,影響
の具体的な内容を導き出してほしい。(4)については,Z 社から社外に送信されるメールは,DKIM 処理を行う
同じメール中継サーバ Z から送信される構成であることを基に,正答を導き出してほしい。

この問題の自作解説はまだありません(公式解答例と採点講評で確認してください)。