拠点間 VPN とは ── 実機を触ったことがない人のための IPsec・SD-WAN・ローカルブレイクアウト

午後で「本社と営業所をつなぐ」「クラウドと社内をつなぐ」話が出ると、ほぼ必ず IPsec が登場します。 一言で言えば「インターネットの上に、暗号化された専用の通り道(トンネル)を作る」仕組みですが、設問に答えるには 「鍵をどう決めるか、パケットをどう包むか、その上で経路制御をどう動かすか、切れたらどう気づくか」まで必要です。 本社と営業所 1 か所の例で、動作の順番どおりに説明します。

1. 拠点間 VPN が解いている問題

閉域網(IP-VPN/広域イーサ) 通信事業者の中だけを通る。外部から見えない インターネット 誰でも通る。盗聴・改ざんされうる IPsec トンネル 赤の点線=IPsec トンネル(暗号化された専用の通り道) 本社ルータ R1 営業所ルータ R2 高い・安定 安い・ベストエフォート LAN 192.168.1.0/24 LAN 192.168.2.0/24
図1 本社と営業所をつなぐ 2 つの選択肢。以下の説明はすべてこの図で進める

本社の LAN(192.168.1.0/24)と営業所の LAN(192.168.2.0/24)の PC 同士が、プライベートアドレスのまま通信したい。これが出発点です。 選択肢は大きく 2 つあります。

サービス何か長所短所
専用線2 拠点だけで占有する物理回線帯域保証、最も安定非常に高い。拠点が増えると線の本数が爆発する
IP-VPN通信事業者の閉域 IP 網。中では MPLS のラベルで利用者ごとに分ける。拠点のルータは事業者の PE ルータにつなぐ閉域なので暗号化不要。多拠点を 1 契約で収容高い。事業者の網内のルーティングに従う(経路は BGP で事業者と交換するのが普通)
広域イーサネット閉域の L2 網。拠点同士が 1 つの LAN のように見える自社で自由にルーティング(OSPF もそのまま流せる)高い
インターネット VPN各拠点が普通のインターネット回線を引き、ルータ同士が IPsec でトンネルを張る安い。回線はどこでも手に入るベストエフォート。暗号化・認証を自前で行う必要がある
午後の典型シナリオ 「専用線や IP-VPN をメイン、インターネット VPN をバックアップ(または負荷分散)にする」「全拠点を IP-VPN からインターネット VPN に置き換えてコストを下げる」のどちらかです。 平成30年 午後Ⅰ問3(専用線から IP-VPN+インターネット VPN へ)、平成28年 午後Ⅱ問2(広域イーサ+インターネット VPN で冗長化)がそのものです。 両方を使うと「2 本の WAN をどう使い分けるか=経路制御の設計」が必ず設問になります。

インターネットを通る以上、途中で盗聴・改ざん・なりすましがあり得ます。そこで必要になるのが次の 3 つで、IPsec はこれを一式で提供します。

2. IPsec の動作ステップ

相手を確認して鍵を決める(IKE フェーズ 1 → IKE SA)

R1 と R2 は、まず IKE(Internet Key Exchange、UDP 500 番)で会話を始めます。最初にやるのは「お互いが本物か」の確認と、以後の会話を守る鍵の合意です。 本物かどうかの確認方法は 2 つあります。

この段階で結ばれる約束(使うアルゴリズム・鍵・有効期間の組)を IKE SA(Security Association)と呼びます。IKEv2 ではこれを IKE SA、次の段階を Child SA と呼びます(令和4年 午後Ⅰ問2 の空欄)。

鍵は拠点ごとに変える 全拠点で同じ事前共有鍵を使うと、1 か所漏れた時点で全拠点のトンネルが解読可能になります。 ペアごとに鍵を変えておけば「鍵が漏えいした際の影響範囲を小さくできる」(令和6年 午後Ⅰ問3 設問1(3))。「影響範囲」という語を入れて書きます。
どちらから接続を始めるか 営業所側の回線が、ISP から IP アドレスを動的に割り当てられる安価なものだと、本社側は営業所の IP アドレスを事前に知れません。 そのため「営業所のルータから本社へ向けて接続を開始する」設計になります(令和4年 午後Ⅰ問2 設問1(5)「ISP が割り当てる営業所の IPsec ルータの IP アドレスが動的だから」)。 古い IKEv1 では、この用途に ID を平文で送るアグレッシブモードが使われました(平成28年 午後Ⅱ問2 の空欄)。

実データ用の鍵を決める(IKE フェーズ 2 → IPsec SA)

IKE SA で守られた会話の中で、今度は実データを暗号化するための鍵と範囲を決めます。範囲とは「どの送信元からどの宛先宛てのパケットをトンネルに入れるか」で、セレクタ(平成28年 午後Ⅱ問2 の空欄)と呼びます。 図1 なら「192.168.1.0/24 ⇔ 192.168.2.0/24」です。

結ばれた約束が IPsec SA で、方向ごとに 1 本(行きと帰りで 2 本)できます。各 SA は SPI という番号で識別され、受信側は SPI を見て「どの鍵で復号するか」を決めます。

鍵には有効期間があり、切れる前に新しい鍵を作り直します。これがリキー(平成28年 午後Ⅱ問2 設問2(1))で、通信を止めずに行われます。

パケットを包んで暗号化する(ESP トンネルモード)

元のパケット(LAN の PC が送ったもの) IP ヘッダ TCP ヘッダ データ 送信元 192.168.1.10 宛先 192.168.2.20 R1 が包んで暗号化(カプセル化) トンネルを流れるパケット 新 IP ヘッダ ESP ヘッダ IP ヘッダ TCP ヘッダ データ ESP トレーラ ESP 認証 暗号化される範囲(元の IP ヘッダも隠れる) 改ざん検知(認証)の範囲 送信元 R1 の グローバル IP
図2 ESP トンネルモードのカプセル化。青い部分が暗号化され、外側には R1・R2 のグローバル IP が付く

営業所宛てのパケットが R1 に届くと、R1 はパケット全体(元の IP ヘッダごと)を暗号化し、前に ESP ヘッダ、後ろに ESP トレーラとESP 認証データを付け、さらに外側に新しい IP ヘッダを付けます。 新しい IP ヘッダの送信元・宛先は R1・R2 のグローバル IP アドレスです。インターネット上のルータはこの外側ヘッダだけを見て転送するので、中のプライベートアドレスは見えません。

部品役目暗号化されるか
新 IP ヘッダインターネットを渡るための宛先(R2 のグローバル IP)。プロトコル番号 50=ESPされない(されたら誰も運べない)
ESP ヘッダSPI とシーケンス番号。受信側が「どの SA の何番目か」を知るされない(されたら復号の手がかりが消える)
元の IP ヘッダ+TCP+データ本来のパケットされる
ESP トレーラブロック長を合わせるパディングと、中身のプロトコル番号される
ESP 認証データ(ICV)ESP ヘッダからトレーラまでのハッシュ。改ざん検知されない(暗号化後に計算する)
暗号化範囲を正確に 令和6年 午後Ⅰ問3 設問1(4) の答えは「IP ヘッダー,元の IP パケット,ESP トレーラ」で、採点講評は「ESP ヘッダーを含めた誤答が多かった」と指摘しています。 ESP ヘッダと ESP 認証データは暗号化の外、改ざん検知(認証)の範囲は ESP ヘッダからトレーラまでです。平成28年 午後Ⅱ問2 設問2(2) も「ESP 認証データで確認できるのは、通信中に改ざんされていないこと」でした。

関連する 3 つの用語を区別しておきます。

生きているか確かめる(DPD とキープアライブ)

IPsec には「相手が落ちた」ことを知らせる仕組みが元々ありません。そこで DPD(Dead Peer Detection)という「生きてますか」の問合せを IKE で定期的に送り、応答がなければ SA を破棄して再接続やバックアップ経路への切替えを行います。 トンネル上で OSPF や BGP を動かしていれば、それらの Hello/KEEPALIVE が途切れることでも検知できます。令和6年 午後Ⅰ問2 設問4(2) の「IPsec トンネルに障害があった場合の検出を高速にする」は、この監視間隔を短くする話です。

3. トンネルの上で OSPF を動かす(GRE・VTI・MTU)

セレクタで「この範囲の通信はトンネルへ」と決める方式(ポリシーベース)は、拠点が増えたり経路が変わったりするたびにセレクタを書き直す必要があります。 そこで実務では、トンネルを仮想的なインタフェース(Tunnel0 のような名前)として扱い、普通の経路制御でトンネルに向ける方式(ルートベース)を使います。

インターネット R1Tunnel0 10.0.0.1 R2Tunnel0 10.0.0.2 トンネル IF 同士は「直結した 1 本の線」に見える OSPF Hello(宛先 224.0.0.5)はこの線を通る。実体は GRE で包み、さらに ESP で暗号化して運ぶ R2 から見た「192.168.1.0/24 のネクストホップ」は 10.0.0.1(トンネルの向こう側)
図3 トンネルインタフェース。R1 と R2 は 10.0.0.0/30 で直結しているように振る舞う

こうすると、トンネル IF の上で OSPF を動かし、拠点が増えても経路を自動で学べます。ただし 1 つ問題があります。

なぜ GRE で包むのか OSPF の Hello は宛先 224.0.0.5 のマルチキャストですが、IPsec のセレクタはユニキャストの範囲指定で、マルチキャストを運べません。 そこで先に GRE(汎用のカプセル化、プロトコル番号 47)でマルチキャストを含むあらゆるパケットをユニキャストに包み、それを IPsec で暗号化します。これが GRE over IPsec です。 平成28年 午後Ⅱ問2 設問2(3)「OSPF のリンクステート情報交換は IP マルチキャスト通信で行われるから」、平成30年 午後Ⅰ問3 設問3(1)「OSPF のマルチキャスト通信を通すため」が同じ論点です。
GRE over IPsec(トランスポートモード)のパケット
  [新IPヘッダ][ESPヘッダ][GREヘッダ][元IPヘッダ][TCP/UDP][データ][ESPトレーラ][ESP認証]
                        └──────── 暗号化 ────────────────────┘
  平成28年 午後Ⅱ問2 設問4(3) は、この並びを答えさせた

近年の機器は GRE なしでマルチキャストも通せる VTI(Virtual Tunnel Interface)を持つので、問題文に「トンネルインタフェース」とだけ書かれることもあります。どちらにせよ「トンネル IF=ルータ同士の仮想直結リンク。その上の OSPF はポイントツーポイント」と読めば十分です。 トンネル IF に個別のアドレスを振らず他の IF のアドレスを借りる設定が IP unnumbered(令和6年 午後Ⅰ問3 設問1(5)「インタフェースに IP アドレスの割当てを行わない設定」)です。

MTU と MSS の調整 包めば包むほどパケットは長くなります。新 IP ヘッダ 20、ESP のヘッダ・IV・トレーラ・認証データ、GRE ヘッダ 4 を足すと 50〜80 バイト増え、PC が 1500 バイトのパケットを送るとトンネルで 1500 を超えて断片化します。 断片化はルータの負荷(令和6年 午後Ⅰ問3 設問1(6)「転送負荷の増大」)と、FW で断片が落とされる障害の原因です。対策は、ルータが TCP の 3 ウェイハンドシェイク中の MSS 値を書き換えて小さくする(MSS クランプ)こと。 平成28年 午後Ⅱ問2 設問3 は、トンネルのオーバヘッドを引いた MSS を計算させました。計算の型は「1500 − トンネル分のヘッダ合計 − IP 20 − TCP 20」で、ヘッダ長は問題文が与えます。

4. 拠点の冗長化と切替え

インターネット VPN は切れることが前提なので、本番の設計では必ず冗長化します。パターンは 3 つです。

構成切替えの仕組み設問になる点
閉域網がメイン、IPsec がバックアップ両方に OSPF を流し、IPsec 側のコストを大きくしておく。メインが切れると自動で IPsec 経由になるコスト設計(平成28年 午後Ⅱ問2 設問5(5)「専用線経由のコスト 200 がインターネット VPN 経由の 230 より小さい」)、切替え時間、切戻し
2 本の回線で負荷分散コストを等しくして ECMPどのトラフィックがどちらを通るか(フロー単位のハッシュ)
拠点に VPN ルータ 2 台LAN 側は VRRP で 1 つの仮想 IP。WAN 側の障害はトラッキングで VRRP 優先度を下げて切り替えるVRRP マスターと WAN 回線の対応(平成28年 午後Ⅱ問2 設問5(4)「VRRP のマスタルータが稼働する機器に接続された WAN 回線を経由」)
障害をどう検知するか IPsec 自体は切断を通知しないので、「何で気づくか」が設問になります。候補は (a) トンネル上の OSPF/BGP の Hello 断(平成29年 午後Ⅰ問3 設問3(1)「BGP によって回線断や機器障害を検知し、トラフィックをう回できる」)、(b) DPD、(c) ping 監視(同 設問4「冗長構成が失われたことを検出するため」に、迂回後も監視を続ける)です。 検知を速くしたいなら Hello 間隔を短くするか、BFD(ミリ秒単位の生存確認)を併用します。
フルメッシュとハブアンドスポーク 拠点同士を全部直接つなぐ(フルメッシュ)と、拠点が 1 つ増えるたびに全拠点の設定変更が必要です(平成30年 午後Ⅰ問3 設問4(1))。 本社だけと結ぶハブアンドスポーク(令和6年 午後Ⅰ問3 設問1(1))なら設定は本社と新拠点だけで済みますが、拠点間通信が本社を経由するので本社ルータの負荷と遅延が増えます。 この弱点を自動化で解消するのが次の SD-WAN(や DMVPN)です。

5. SD-WAN とローカルブレイクアウト

IPsec トンネルを何十拠点分も手で設定・監視するのは現実的でないので、コントローラが全拠点のルータに設定を配り、トンネルを自動で張る仕組みが SD-WAN です。SDN の考え方(制御を集中、転送は各機器)を WAN に当てはめたものです。

SD-WAN コントローラ設定・鍵・ポリシーを配る 拠点 ASD-WAN ルータ 本社(ハブ)プロキシ・FW・DC 拠点 BSD-WAN ルータ トンネルトンネル SaaS(Microsoft 365 など) HTTPS、宛先 IP は公開リスト 社内システム宛てや一般 Web はここ経由 SaaS 宛てだけ直接出す (ローカルブレイクアウト) 宛先アプリ(SaaS か否か)で出口を変える。判断材料は宛先 IP・FQDN・PAC
図4 SD-WAN の構成。コントローラが点線で各ルータを管理し、SaaS 宛てだけ拠点から直接出す

ローカルブレイクアウト

従来の企業ネットワークは、全拠点のインターネット通信を本社のプロキシと FW に集めて一括で検査していました。Microsoft 365 のような SaaS が増えると、この構成では本社回線とプロキシが詰まり、拠点から見て遅くなります。 そこで「信頼できる SaaS 宛ての通信だけは拠点から直接インターネットへ出す」のがローカルブレイクアウトです。

論点内容出た年度
何を直接出すか特定 SaaS 宛ての HTTPS だけ(SaaS 事業者が宛先 IP/FQDN を公開している)平成30年 午後Ⅰ問1 設問3(4)、令和7年 午後Ⅰ問3 設問3(5)
どうやって振り分けるかSD-WAN ルータのアプリ識別、または PAC ファイルで「この宛先はプロキシを使わない(DIRECT)」と PC に指示令和6年 午後Ⅰ問3 設問2
利点本社プロキシ・FW・回線の負荷軽減、RTT 短縮令和6年 午後Ⅰ問3 設問2(4)、令和7年 午後Ⅰ問3 設問3(5)
欠点プロキシを通らないのでアクセスログや URL フィルタが効かなくなる。送信元 IP が拠点のグローバル IP になるので、SaaS 側の送信元 IP 制限を変更する必要がある平成30年 午後Ⅰ問1 設問3(5)、令和5年 午後Ⅱ問1 設問3(4)、令和7年 午後Ⅰ問3 設問3(4)
送信元 IP が変わる、という視点 本社経由なら SaaS から見た送信元は本社のグローバル IP 1 つで、SaaS 側で「この IP からだけ許可」ができました。 拠点から直接出すと拠点ごとのグローバル IP になり、クラウド型のセキュアゲートウェイを経由すればそのサービスの IP になります。 「出口が変わると送信元 IP が変わり、先方のアクセス制限が崩れる」は、ローカルブレイクアウト・SWG 移行・ISP 変更のすべてで問われる共通の落とし穴です。

6. SSL-VPN との違い(リモートアクセスの話)

ここまでは「拠点と拠点」でしたが、「自宅の PC から社内へ」はリモートアクセス VPN で、SSL-VPN(TLS を使う VPN)が主流です。拠点間 IPsec と混同しないよう、位置づけだけ押さえます。

方式仕組み使えるアプリ
リバースプロキシ方式VPN 装置が社内 Web サーバの代理として応答。ブラウザだけで使えるWeb アプリだけ
ポートフォワーディング方式PC に小さなモジュールを入れ、特定ポート宛ての通信を TLS に乗せて VPN 装置へ転送ポートが決まっている TCP アプリ
L2 フォワーディング方式PC に仮想 NIC を作り、イーサネットフレームごと TLS に乗せる。PC が社内 LAN に直接いるのと同じ何でも(UDP、動的ポートも)

令和4年 午後Ⅱ問1 がこの 3 方式の空欄補充と、クライアント証明書による利用者認証(「クライアント証明書の公開鍵に対する秘密鍵は本人しか保有していないから」)を出しています。平成29年 午後Ⅰ問1 も SSL-VPN のリバースプロキシ方式と TLS ハンドシェイクでした。 認証と証明書の詳細は 認証連携とは、HTTPS の中継は プロキシと SWG とは を参照してください。

7. 用語集(午後で出る順)

用語意味午後でのポイント
IPsecIP 層で認証・暗号化・完全性を提供する枠組み。IKE+ESP(AH)「インターネット VPN」と書いてあればほぼ IPsec
IKE鍵交換と相手認証。UDP 500(NAT 越えは 4500)。IKEv1 はメイン/アグレッシブモード、IKEv2 は IKE SA/Child SA動的 IP の拠点は拠点側から開始
事前共有鍵(PSK)両端に同じ秘密の文字列を設定して相手を認証拠点ごとに変える=漏えい時の影響範囲を限定
SA / SPISA=合意した鍵とアルゴリズムの組。方向ごとに 1 本。SPI=SA の識別番号(ESP ヘッダに入る)ESP ヘッダが暗号化されない理由
セレクタトンネルに入れる通信の条件(送信元・宛先の範囲)ポリシーベース VPN の設定単位
ESP / AHESP=暗号化+認証(プロトコル番号 50)。AH=認証のみ(51)、NAT 不可暗号化範囲・認証範囲を図で答える
トンネルモード / トランスポートモード元 IP ヘッダごと包むか、中身だけ暗号化するか拠点間はトンネルモード。GRE 先包みならトランスポートでも可
NAT トラバーサルESP を UDP 4500 で包んで NAPT を越えるESP にはポート番号がないから必要
DPDIKE による相手の生存確認障害検知の手段の 1 つ。短くすると切替えが速い
リキー有効期間が切れる前の鍵の更新通信は止まらない
GREマルチキャストを含む任意のパケットを IP に包む(プロトコル番号 47)。暗号化はしないOSPF をトンネルに通すために IPsec と組み合わせる
VTI / トンネル IFトンネルをインタフェースとして扱い、経路制御で向ける(ルートベース)OSPF のポイントツーポイントリンクになる
IP unnumberedトンネル IF に専用アドレスを振らず他 IF のアドレスを借りるアドレス設計の省力化
MSS クランプルータが TCP の MSS を書き換えて断片化を防ぐカプセル化のオーバヘッド分を引く計算
ハブアンドスポーク / フルメッシュ本社経由で拠点を結ぶ/全拠点を直結設定量と拠点間遅延のトレードオフ
IP-VPN / MPLS / PE事業者閉域網。ラベルで利用者を分離。PE=事業者側の収容ルータ事業者とは BGP で経路交換、閉域なので暗号化不要
SD-WANコントローラがトンネルと経路ポリシーを集中管理する WANコントロールプレーン/データプレーン、鍵と IP の配布
オーバーレイ / アンダーレイトンネル網/その下の物理回線複数回線をまとめて使える
ローカルブレイクアウトSaaS 宛てだけ拠点から直接インターネットへ負荷軽減と引換えにログ・送信元 IP 制限が崩れる
SSL-VPNTLS を使うリモートアクセス VPN。リバースプロキシ/ポートフォワーディング/L2 フォワーディング拠点間ではなく個人端末向け

8. 午後での問われ方と答え方の型

設問の型答え方出た年度
空欄「相手認証に用いる□」事前共有鍵(または証明書)R6 午後Ⅰ問3、R3 午後Ⅰ問2、H29 午後Ⅰ問3、H28 午後Ⅰ問2
空欄 IKEv2 の SA の名前IKE SA、Child SAR4 午後Ⅰ問2
鍵を拠点ごとに変える理由鍵が漏えいした際の影響範囲を小さくできるR6 午後Ⅰ問3
ESP で暗号化される範囲(トンネルモードなら)元の IP ヘッダ、元のパケット、ESP トレーラ。ESP ヘッダと認証データは含まないR6 午後Ⅰ問3、H28 午後Ⅱ問2
ESP 認証データで確認できること通信中に改ざんされていないことH28 午後Ⅱ問2
営業所側から接続を開始する理由営業所の WAN 側 IP アドレスが ISP から動的に割り当てられ、本社側が事前に知れないからR4 午後Ⅰ問2
GRE(トンネル IF)が必要な理由OSPF の情報交換はマルチキャストで行われ、IPsec だけでは運べないからH28 午後Ⅱ問2、H30 午後Ⅰ問3
カプセル化後のヘッダの並び外側 IP → ESP ヘッダ → GRE → 内側 IP → TCP/UDP → データ → ESP トレーラ → ESP 認証H28 午後Ⅱ問2
トンネルで起きる性能問題と対策ヘッダ増加による断片化で転送負荷が増える。MSS を小さく書き換えるR6 午後Ⅰ問3、H29 午後Ⅰ問3、H28 午後Ⅱ問2
障害検知の方法・高速化トンネル上の BGP/OSPF の Hello 断、DPD、ping 監視。間隔を短くする(BFD)R6 午後Ⅰ問2、H29 午後Ⅰ問3
メインとバックアップの使い分けバックアップ側の OSPF コストを大きく(または AD 値で BGP 優先)H28 午後Ⅱ問2、H30 午後Ⅰ問3
フルメッシュの欠点拠点追加のたびに全拠点の設定変更が必要H30 午後Ⅰ問3
SD-WAN コントローラが配るものトンネル確立用の IP アドレスと鍵情報R6 午後Ⅰ問2
ローカルブレイクアウトの対象・利点・副作用特定 SaaS 宛て HTTPS。本社回線・プロキシの負荷軽減。ログが残らない、送信元 IP 制限の変更が必要H30 午後Ⅰ問1、R6 午後Ⅰ問3、R7 午後Ⅰ問3、R5 午後Ⅱ問1
書き方の型 「なぜ必要か」は何ができないからまで書く(「マルチキャストだから」ではなく「OSPF の情報交換はマルチキャストで行われ、IPsec では運べないから」)。 範囲を問われたら図中の字句そのままで、ESP ヘッダを入れない。副作用を問われたら「送信元 IP アドレスが変わる」「プロキシを経由しなくなる」のどちらの話かを見極めてから書く。

9. ミニ確認問題

クリックで答えが開きます。

Q1 IPsec が提供する 3 つの機能相手の認証、暗号化(機密性)、改ざん検知(完全性)。
Q2 IKE の 2 段階で決めるものと、その結果の名前第 1 段階で相手認証と制御用の鍵を決め IKE SA を作る。第 2 段階で実データ用の鍵と範囲(セレクタ)を決め IPsec SA(IKEv2 では Child SA)を方向ごとに作る。
Q3 ESP トンネルモードで暗号化されない部分を 3 つ外側の新 IP ヘッダ、ESP ヘッダ(SPI・シーケンス番号)、ESP 認証データ。
Q4 事前共有鍵を拠点ペアごとに変える理由を 25 字程度で鍵が漏えいした際の影響範囲を小さくできるから。
Q5 IPsec トンネルの上で OSPF を動かすのに GRE が要る理由OSPF の Hello や LSA はマルチキャストで交換され、IPsec のセレクタはユニキャストしか運べないから。GRE で包んでユニキャストにしてから暗号化する。
Q6 トンネルで PC の 1500 バイトのパケットが通らなくなる理由と対策カプセル化でヘッダが増えて MTU を超え、断片化するか破棄されるから。ルータで TCP の MSS を小さく書き換える(MSS クランプ)。
Q7 営業所の回線が動的 IP のとき、接続はどちらから始めるか営業所側から。本社側は営業所の IP アドレスを事前に知れないから。
Q8 IPsec トンネルの障害に気づく方法を 3 つトンネル上で動かす OSPF/BGP の Hello(KEEPALIVE)断、DPD、ping 監視。速くするなら間隔短縮や BFD。
Q9 ローカルブレイクアウトの利点と副作用利点: 本社の回線・プロキシ・FW の負荷軽減と応答改善。副作用: プロキシのログ・フィルタが効かない、送信元 IP が変わるので SaaS 側の送信元 IP 制限の変更が必要。
Q10 SD-WAN コントローラが各拠点ルータに配るもの対向拠点の WAN 側 IP アドレスと IPsec の鍵情報、経路ポリシー。これで拠点追加時に全拠点を手で設定し直さなくてよい。

用語の振り返り

このページの用語集(20 語)から作った確認問題です。「意味 → 用語」は意味の説明(用語そのものは__で伏せてある)を読んで用語を入力し、Enter で答え合わせします。 表記ゆれで × になったときは「合っていた」で直せます。「用語 → 意味」は口で説明してから答えを開いて自己採点します。結果はこのブラウザに保存され、「×だけ」で間違えた語だけを解き直せます。

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作成 2026-10-28。ネットワークスペシャリスト 科目B(午後)対策。出典は平成28〜30年秋・令和3〜7年春の午後Ⅰ・Ⅱ(IPA 公開問題と解答例)。 関連: OSPF とは、BGP とは、VRRP とは、プロキシと SWG とは、認証連携とは。