統計検定2級 2018年11月 問題・正解・解説

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この回の問題から見える「解き方のコツ」

1. 相対度数表と箱ひげ図は「合計100%」と「最大値の階級」で結ぶ(問1)

2. 指数問題は「割るのか掛けるのか」「何を固定するか」を先に決める(問3・問4)

3. 正規分布の1次式は「Uの不等式」に書き直し、確率と分位点を区別する(問8・問10)

4. 場合分け確率は表にし、二項分布は「比の公式」で最頻値を出す(問7・問9・問15〔1〕)

5. 歪度・尖度は「符号の向き」と「−3」を機械的に確認する(問11)

6. 検定・区間推定は式に入れる前に n・自由度・片側/両側を確定する(問12〜問16)

7. 回帰出力・標本抽出の記述Ⅰ〜Ⅲは「言い切り」と「数値のすり替え」を疑う(問2・問5・問6・問17・問18)

問1(解答番号 1・2・3)

1952年、1985年、2017年の都道府県別の大学数のデータから相対度数分布表(単位: %)を作成したところ、次の表を得た。なお、小数点以下2位を四捨五入している。また、1972年5月15日に沖縄返還が行われたため、1952年と1985年、2017年は都道府県の総数が異なっている。

都道府県別大学数1952年1985年2017年
0校以上 20校未満97.885.176.6
20校以上 40校未満0.0(ア)17.0
40校以上 60校未満0.00.0(イ)
60校以上 80校未満2.20.00.0
80校以上 100校未満0.00.00.0
100校以上 120校未満0.02.10.0
120校以上 140校未満0.00.02.1

資料: 文部科学省「学校基本調査」

〔1〕解答番号 1

下の表中の(ア),(イ)にあてはまる数値の組合せについて、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. (ア)2.1 (イ)4.3
  2. (ア)4.3 (イ)2.1
  3. (ア)4.3 (イ)12.8
  4. (ア)12.8 (イ)2.1
  5. (ア)12.8 (イ)4.3
正解と解説

正解:⑤

考え方:相対度数分布表は各年の列の合計が 100% になる。各列で空欄以外を合計し、100 から引けば空欄が求まる。

計算:

(ア)は1985年の列である。

(ア)=100−85.1−0.0−0.0−0.0−2.1−0.0=12.8

(イ)は2017年の列である。

(イ)=100−76.6−17.0−0.0−0.0−0.0−2.1=4.3

よって(ア)12.8、(イ)4.3 の ⑤ である。

検算:都道府県数は1952年が 46(沖縄返還前)、1985年・2017年が 47 である。1都道府県分の相対度数は 1/46 = 2.17% ≈ 2.2%、1/47 = 2.13% ≈ 2.1% で、表の「2.2」「2.1」と合う。(ア)12.8% は 6/47 = 12.77%、(イ)4.3% は 2/47 = 4.26% にあたり、2017年の列は 36 + 8 + 2 + 1 = 47 都道府県で辻褄が合う。

誤答の見分け方:①②③は(ア)を 2.1 や 4.3 としているが、1985年の列は 85.1 + 2.1 = 87.2 なので残りは 12.8 でなければ 100 にならない。④は(イ)に 2.1 を入れているが、2017年の列は 76.6 + 17.0 + 2.1 = 95.7 で残り 4.3 である。

ポイント 相対度数分布表の空欄は「列の合計 = 100%」から求める。列を間違えない((ア)と(イ)は別の年)ことがすべて。丸め誤差で合計が 99.9 や 100.1 になることもあるので、選択肢と近い値を選ぶ。

〔2〕解答番号 2

大学数の分布を確かめるために、箱ひげ図を作成した。次の図A、B、Cは1952年、1985年、2017年のいずれかの大学数の箱ひげ図に対応している。なお、これらの箱ひげ図では、“「第1四分位数」−「四分位範囲」×1.5” 以上の値をとるデータの最小値、および “「第3四分位数」+「四分位範囲」×1.5” 以下の値をとるデータの最大値までひげを引き、これらよりも外側の値を外れ値として○で示している。1952年、1985年、2017年のデータの分布を示す箱ひげ図はそれぞれ、A、B、Cのうちのどれか。下の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

(図の概要: 縦軸は大学数。A: 縦軸0〜70超。箱は約1〜3、中央値は約2、ひげ上端は約4。外れ値は約7〜17に6個ほど、最大の外れ値は約73。B: 縦軸0〜100超。箱は約3〜9、中央値は約5、ひげ上端は約12。外れ値は約18〜34に7個ほど、最大の外れ値は約102。C: 縦軸0〜140。箱は約6〜17、中央値は約9、ひげ上端は約34。外れ値は約36〜55に4個ほど、最大の外れ値は約138。箱の幅(四分位範囲)と中央値は A < B < C の順に大きい。)

問1〔2〕 都道府県別大学数の箱ひげ図 A・B・C(1952年・1985年・2017年のいずれか、外れ値は○で表示)
問1〔2〕 都道府県別大学数の箱ひげ図 A・B・C(1952年・1985年・2017年のいずれか、外れ値は○で表示)
  1. 1952年: A、1985年: B、2017年: C
  2. 1952年: A、1985年: C、2017年: B
  3. 1952年: B、1985年: A、2017年: C
  4. 1952年: B、1985年: C、2017年: A
  5. 1952年: C、1985年: A、2017年: B
正解と解説

正解:①

考え方:相対度数分布表から各年の「最大値が入る階級」を読み取り、箱ひげ図の最大の外れ値と突き合わせる。これだけで3つの年が確定する。

手順:

年表で度数が 0 でない最上位の階級最大値の範囲対応する箱ひげ図
1952年60校以上 80校未満(2.2%)60〜80A(最大の外れ値 ≈ 73)
1985年100校以上 120校未満(2.1%)100〜120B(最大の外れ値 ≈ 102)
2017年120校以上 140校未満(2.1%)120〜140C(最大の外れ値 ≈ 138)

よって 1952年: A、1985年: B、2017年: C の ① である。

別の確認:20校未満の割合が 97.8% → 85.1% → 76.6% と年を追って減っており、大学数は全体に増えている。中央値も箱の幅も A < B < C なので、古い年ほど小さい A、新しい年ほど大きい C という対応と一致する。

誤答の見分け方:②〜⑤はいずれも「大学数が年とともに増える」という表の傾向(最大値・中央値の順序)と矛盾する。

ポイント 度数分布表と箱ひげ図の対応付けは、最大値(最小値)が入る階級と、箱ひげ図の端(外れ値含む)を突き合わせるのが最速。中央値の位置や箱の幅は補助的な確認に使う。

〔3〕解答番号 3

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、この箱ひげ図に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい
  2. Ⅱのみ正しい
  3. Ⅲのみ正しい
  4. ⅠとⅢのみ正しい
  5. ⅡとⅢのみ正しい
正解と解説

正解:③

考え方:〔2〕で 1952年 = A、1985年 = B、2017年 = C と決まったので、A・B・C の箱の幅(四分位範囲)・最大値・中央値を比べる。

Ⅰ(誤り):四分位範囲は箱の縦の長さである。A は約 3 − 1 = 2、B は約 9 − 3 = 6、C は約 17 − 6 = 11 で、年を追うごとに大きくなっている。「小さい」は逆である。

Ⅱ(誤り):最大値は最も上の外れ値で、1952年(A)が約 73、1985年(B)が約 102 である。

1022=51<73

1952年の最大値は 1985年の最大値の半分より大きいので誤り。図を読まなくても、表から 1952年の最大値は 60 以上、1985年の最大値は 120 未満(半分は 60 未満)とわかるので、「半分以下」は成り立たない。

Ⅲ(正しい):中央値は箱の中の線で、A ≈ 2、B ≈ 5、C ≈ 9 と年を追って大きくなっている。

よってⅢのみ正しく、③。

ポイント 箱ひげ図の読み取りは「箱の長さ = 四分位範囲(第3四分位数 − 第1四分位数)」「箱の中の線 = 中央値」「最大値・最小値は外れ値○も含めて一番端」の3点。ひげの端は最大値・最小値ではないことに注意する。

問2(解答番号 4)

次の図は、性別と雇用形態別に、一般労働者の年齢(5歳ごとの階級)と6月の所定内給与額の平均(以下、賃金)をプロットしたものである。

(図の概要: 横軸=年齢階級(歳)20-24, 25-29, 30-34, 35-39, 40-44, 45-49, 50-54, 55-59, 60-64, 65-69、縦軸=賃金(万円)15〜45。4系列の折れ線。男性・正社員(●実線): 約21 → 25 → 29 → 33 → 37 → 41 → 44(50-54でピーク)→ 43 → 32 → 31 と、50-54歳まで直線的に上昇し60歳以降急落する山型。男性・正社員以外(○破線): 約19 → 21 → 22.5 → 23 → 23.5 → 24 → 24.5 → 24.5 → 25 → 23 と、緩やかに上昇しほぼ単調。女性・正社員(◆一点鎖線): 約20 → 23 → 25.5 → 26.5 → 28 → 29.5 → 30(50-54でピーク)→ 29 → 25.5 → 25.5 と、緩やかな山型。女性・正社員以外(◇実線): 約17.5 → 19 → 19.5 → 19.5 → 19.5 → 19 → 18.5 → 18 → 18 → 17 と、ほぼ横ばいでやや右下がり。)

資料: 厚生労働省「2016年賃金構造基本統計調査」

年齢の階級値と賃金の相関係数を、性別と雇用形態別に計算したところ、次の表のようになった。

男性・正社員男性・正社員以外女性・正社員女性・正社員以外
0.580.800.56−0.46
問2 性別・雇用形態別の年齢階級(5歳ごと)と賃金(万円)の折れ線グラフ(男性・正社員/男性・正社員以外/女性・正社員/女性・正社員以外)
問2 性別・雇用形態別の年齢階級(5歳ごと)と賃金(万円)の折れ線グラフ(男性・正社員/男性・正社員以外/女性・正社員/女性・正社員以外)

解答番号 4

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、表中の相関係数に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい
  2. Ⅱのみ正しい
  3. Ⅲのみ正しい
  4. ⅠとⅡのみ正しい
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて誤り
正解と解説

正解:①

考え方:相関係数は「直線的な関係の強さ」を測る無単位の指標である。山型のような非直線の関係は相関係数では捉えきれないこと、相関係数は回帰直線の傾きではないこと、の2点で各記述を判定する。

Ⅰ(正しい):絶対値は 男性・正社員 0.58 < 男性・正社員以外 0.80 で、正社員の方が小さい。一方で図を見ると、男性・正社員は 50-54歳まで直線的に上がり 60歳以降に急落する山型で、年齢と賃金の関係自体はむしろ強い。山型は「上がる部分」と「下がる部分」が打ち消し合って相関係数を小さくするので、相関係数だけで関係の強弱を判断してはいけない、という記述は妥当である。

Ⅱ(誤り):女性・正社員は 20歳〜54歳の範囲では賃金がほぼ単調に上昇(約 20 → 30 万円)しており、右上がりの直線に近い。相関係数を下げていた 55歳以降の「下がる部分」を除くと、直線への当てはまりが良くなり相関係数は 0.56 より大きくなる。「小さくなる」は逆である。

Ⅲ(誤り):「1歳上がると 0.46 万円下がる」は回帰直線の傾き(回帰係数)の解釈である。相関係数 −0.46 は単位をもたない値で、傾きは

b=r×sysx

のように標準偏差の比を掛けて初めて求まる。相関係数の値から傾きは読み取れない。

よってⅠのみ正しく、①。

ポイント 相関係数は直線関係の強さのみを表す。山型・U字型の関係では |r| が小さくても関係は強いことがある。データの範囲を単調な部分に絞ると |r| は大きくなり、逆に単調でない部分を含めると小さくなる。傾きは回帰係数 b=rsy/sx であり、相関係数とは別物である。

問3(解答番号 5・6)

次の表は、2016年12月から2017年12月までの不動産価格指数(全国、住宅総合、2010年平均を100としたもの)である。

年月不動産価格指数
2016年12月(ア)
2017年 1月111.7
2017年 2月109.8
2017年 3月111.0
2017年 4月110.4
2017年 5月109.8
2017年 6月109.5
2017年 7月110.6
2017年 8月109.5
2017年 9月110.3
2017年10月107.9
2017年11月109.5
2017年12月108.8

資料: 国土交通省「不動産価格指数」

〔1〕解答番号 5

2017年1月の、不動産価格指数の前月比の変化率は4.98%であった。このとき、(ア)に入る数値はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 106.4
  2. 106.7
  3. 110.2
  4. 116.7
  5. 117.3
正解と解説

正解:①

考え方:前月比の変化率は「(今月 − 前月)/前月」である。2017年1月の変化率が 4.98% なので、2016年12月の値(ア)を x とおいて方程式を立てる。

計算:

111.7−xx=0.0498 111.7=x×(1+0.0498)=1.0498x x=111.71.0498≈106.40

検算:106.4 × 1.0498 = 111.70 で 2017年1月の値に戻る。よって ①。

誤答の見分け方:⑤ 117.3 は 111.7 × 1.0498 と「掛けて」しまった値(前月ではなく翌月を求めている)。④ 116.7 は 111.7 + 4.98、② 106.7 は 111.7 − 4.98 で、%(比率)をポイント(差)として足し引きした値。「変化率の分母は前月」なので、前月を求めるときは割り算になる。

ポイント 変化率 r=(yt−yt−1)/yt−1 より yt=(1+r)yt−1。前の値を求めるなら yt−1=yt/(1+r)。

〔2〕解答番号 6

2017年10月における、不動産価格指数の3項移動平均の計算式として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. (110.6 + 107.9 + 108.8) / 3
  2. (2×110.3 + 107.9 + 2×109.5) / 5
  3. (110.3 + 2×107.9 + 109.5) / 4
  4. (110.3 + 107.9 + 109.5) / 3
  5. (109.5 + 110.3 + 107.9 + 109.5 + 108.8) / 5
正解と解説

正解:④

考え方:3項移動平均は、その時点を中心とした前後1つずつ、計3つの値の単純平均である。2017年10月なら 9月・10月・11月の3つを使う。

計算:

y9月+y10月+y11月3=110.3+107.9+109.53=327.73≈109.2

よって ④。

誤答の見分け方:① は 7月・10月・12月と、連続しない月を拾っている。⑤ は 8月〜12月の5つの単純平均で、これは5項移動平均。②③ は重みを付けた平均で、単純な3項移動平均ではない(③のような 1:2:1 の重みは「2項移動平均をさらに2項移動平均した中心化移動平均」に相当するが、問題は3項移動平均を聞いている)。

ポイント 奇数項(3項・5項)の移動平均はその時点を中心に前後同数を取る単純平均。偶数項(4項・12項)は中心がずれるので、両端を半分の重みにする中心化移動平均を使う。移動平均は不規則変動をならして傾向変動を見る手法である。

問4(解答番号 7)

次の表は、2016年および2017年における「梨」と「ぶどう」の1世帯当たり(全国、二人以上の世帯)の年間の購入数量(g)および平均価格(円/100g)である。

2016年 購入数量2016年 平均価格2017年 購入数量2017年 平均価格
梨382748.86368649.30
ぶどう2422107.092309115.36

資料: 総務省「家計調査」

解答番号 7

2016年を基準年(指数を100とする)として、「梨」と「ぶどう」の2種類の価格からラスパイレス価格指数を作成する場合、2017年の指数を求める計算式はどれか。次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. (49.30×3686 + 115.36×2309) / (48.86×3827 + 107.09×2422) × 100
  2. (49.30×3827 + 115.36×2422) / (48.86×3827 + 107.09×2422) × 100
  3. (49.30×3686 + 115.36×2309) / (48.86×3686 + 107.09×2309) × 100
  4. (49.30×3686 + 115.36×2309) / (49.30×3827 + 115.36×2422) × 100
  5. (48.86×3686 + 107.09×2309) / (48.86×3827 + 107.09×2422) × 100
正解と解説

正解:②

考え方:ラスパイレス価格指数は「基準年の数量」を固定し、価格だけを比較年に置き換えた指数である。基準年を 0、比較年を t、価格を p、数量を q とすると

PL=∑ptq0∑p0q0×100

分母は基準年の価格 × 基準年の数量、分子は比較年の価格 × 基準年の数量である。

計算式の組み立て:基準年 2016年の数量は 梨 3827、ぶどう 2422。これを分母・分子の両方で使う。

PL=49.30×3827+115.36×242248.86×3827+107.09×2422×100

これは ② の式である。参考までに値を求めると

188671.1+279401.9186987.2+259372.0×100=468073.0446359.2×100≈104.9

で、2016年に比べ価格水準が約 4.9% 上がったことを意味する。

誤答の見分け方:数量の添字がどの年かを見る。

選択肢式の意味指数の名前
①∑ptqt/∑p0q0支出金額の比(金額指数)。価格と数量の両方が変わる
②∑ptq0/∑p0q0ラスパイレス価格指数(正解)
③∑ptqt/∑p0qtパーシェ価格指数(比較年の数量で固定)
④∑ptqt/∑ptq0パーシェ数量指数(価格を比較年で固定し数量を比較)
⑤∑p0qt/∑p0q0ラスパイレス数量指数(価格を基準年で固定し数量を比較)
ポイント ラスパイレス=基準年の数量で固定(∑ptq0/∑p0q0)、パーシェ=比較年の数量で固定(∑ptqt/∑p0qt)。「価格指数なら分母と分子で数量は同じ年、価格だけ変える」と覚える。消費者物価指数はラスパイレス型。

問5(解答番号 8)

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、標本抽出に関するものである。

解答番号 8

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい
  2. ⅠとⅡのみ正しい
  3. ⅠとⅢのみ正しい
  4. ⅠとⅡとⅢはすべて正しい
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて誤り
正解と解説

正解:③

考え方:単純無作為抽出と層化抽出の定義・性質を正確に思い出す。Ⅱは「かかわらず」のような無条件の言い回しが疑わしい。

Ⅰ(正しい):大きさ N の母集団から大きさ n の非復元単純無作為抽出を行うとは、n 個の組合せ (Nn) 通りのどれもが等しい確率で選ばれる抽出のことである。これが定義であり、その結果として各個体が選ばれる確率も n/N で等しくなる。「各個体の確率が等しい」だけでは単純無作為抽出とは限らない(系統抽出でも各個体の確率は等しい)ので、組の確率まで等しいという記述が正しい。

Ⅱ(誤り):層化抽出で推定量の分散が小さくなるのは、層内が均質で、各層への標本の割り当て(配分)が適切な場合である。比例配分(層の大きさに比例して割り当てる)であれば単純無作為抽出以下の分散になるが、たとえば大きな層に極端に少ない標本しか割り当てないような配分では、単純無作為抽出より分散が大きくなることもある。「各層からの標本サイズにかかわらず」が誤り。

Ⅲ(正しい):単純無作為抽出では標本がどの層から何個出るかは偶然に任される。小さな層は標本に1つも入らないことがありうる。これを避けて全層からデータを確保するのが層化抽出の動機の一つである。

よってⅠとⅢが正しく、③。

ポイント 単純無作為抽出=「大きさ n のどの組も同じ確率」。層化抽出は層内が均質なほど、また比例配分・ネイマン配分など適切な配分のときに分散が小さくなる(無条件ではない)。記述問題では「必ず」「かかわらず」「常に」が付いた文は反例を探す。

問6(解答番号 9)

次の記述は、ある都道府県における世帯調査に関するものである。

最初に市区町村を無作為に抽出し、抽出された市区町村から世帯を無作為に抽出した。

解答番号 9

この抽出方法は、なんという方法であるか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 単純無作為抽出
  2. 二段抽出
  3. 集落(クラスター)抽出
  4. 層化(層別)抽出
  5. 系統抽出
正解と解説

正解:②

考え方:「まず大きな単位(市区町村)を無作為に選び、次に選ばれた単位の中から小さな単位(世帯)を無作為に選ぶ」と、無作為抽出を2段階に分けて行っている。これが二段抽出である。

各方式との違い:

方式やり方この問題との違い
① 単純無作為抽出都道府県内の全世帯の名簿から直接世帯を無作為に選ぶ市区町村を選ぶ段階がない
② 二段抽出第1段で市区町村を無作為抽出、第2段でその中の世帯を無作為抽出一致(正解)
③ 集落抽出市区町村(集落)を無作為に選び、選ばれた市区町村の全世帯を調査する第2段の抽出をしない点が違う
④ 層化抽出市区町村ごとに層に分け、すべての市区町村から世帯を無作為抽出する市区町村を「選ぶ」のではなく全部使う
⑤ 系統抽出名簿に番号を付け、最初の1つを無作為に決めて以降は等間隔に選ぶ等間隔の要素がない

誤答の見分け方:③ 集落抽出と迷いやすいが、集落抽出は選ばれた集落を全数調査する。本問は「抽出された市区町村から世帯を無作為に抽出」しているので二段抽出。④ 層化抽出は層(市区町村)を抽出せず全層から標本を取る点で異なる。

ポイント 二段抽出=大きな単位を抽出→その中で小さな単位を抽出。集落抽出=大きな単位を抽出→その中は全数。層化抽出=全部の層から抽出。どの段階で「抽出」し、どこで「全数」かで見分ける。二段抽出は名簿の準備や調査コストを抑えられるが、単純無作為抽出より推定の精度は一般に落ちる。

問7(解答番号 10・11)

いろいろな動物の絵がプリントされているクッキーを、工場Aと工場Bで生産している。工場Aで製造されたクッキーの箱の中には2%の確率でカモノハシの絵がプリントされているクッキーが入っており、工場Bで製造されたクッキーの箱の中には8%の確率でカモノハシの絵がプリントされているクッキーが入っている。ある商店では全商品のうち、70%を工場Aから、30%を工場Bから仕入れている。

〔1〕解答番号 10

仕入れたクッキーの箱を無作為に1個抽出する。このクッキーの箱の中にカモノハシの絵がプリントされているクッキーが入っている確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 0.027
  2. 0.038
  3. 0.050
  4. 0.061
  5. 0.073
正解と解説

正解:②

考え方:箱は「工場A産」か「工場B産」のどちらかである(排反で、合わせて全体)。カモノハシ入りの確率は、工場ごとの確率を仕入れ割合で重み付けして足す(全確率の公式)。

記号を決める。A:工場A産、B:工場B産、K:カモノハシ入り。

事象確率
P(A)0.7
P(B)0.3
P(K|A)0.02
P(K|B)0.08

計算手順

P(K)=P(A)P(K|A)+P(B)P(K|B) =0.7×0.02+0.3×0.08 =0.014+0.024=0.038

よって②。

誤答の見分け方

選択肢どう間違えると出るか
③ 0.0500.02 と 0.08 の単純平均(仕入れ割合で重み付けしていない)
④ 0.061重みを逆(0.3×0.02+0.7×0.08=0.062)にしたときに近い値
ポイント
  • 全確率の公式:P(K)=∑P(Ai)P(K|Ai)。「原因」が排反で全体を覆うときに使う。
  • 2つの積 0.014 と 0.024 は〔2〕のベイズ計算でそのまま使うので、途中結果を残しておく。

〔2〕解答番号 11

仕入れたクッキーの箱を無作為に1個抽出したところ、箱の中にカモノハシの絵がプリントされているクッキーが入っていた。このとき、このクッキーが工場Aで製造された確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 0.257
  2. 0.368
  3. 0.521
  4. 0.630
  5. 0.756
正解と解説

正解:②

考え方:「カモノハシ入りだった」という結果を見て「工場Aだった」確率を問う、典型的なベイズの定理(原因の確率)の問題である。求めるのは条件付き確率 P(A|K) で、分母は〔1〕で求めた P(K)、分子はそのうち工場A経由の部分になる。

計算手順

P(A|K)=P(A∩K)P(K)=P(A)P(K|A)P(A)P(K|A)+P(B)P(K|B) =0.7×0.020.7×0.02+0.3×0.08=0.0140.038 =1438=719=0.3684…

よって②。

直感的な確認:仕入れ割合だけ見れば工場Aは70%だが、カモノハシ入りは工場Bのほうが4倍出やすい。「カモノハシ入り」という情報で工場Aの確率が 0.7 から 0.368 に下がるのは自然である。

誤答の見分け方

選択肢どう間違えると出るか
④ 0.630工場Bの確率 0.024/0.038=0.632(分子を取り違え)
⑤ 0.756事前確率 0.7 に近い値を選んだもの。情報を反映していない
ポイント
  • ベイズの定理:P(A|K)=P(A)P(K|A)P(K)。分母は全確率、分子はそのうち「問われている原因」の枝。
  • 手順は「①各枝の同時確率(事前確率×条件付き確率)を全部出す → ②足して分母 → ③該当枝÷分母」。樹形図を書けば機械的に解ける。
  • 事前確率 P(A)=0.7 と事後確率 P(A|K)=0.368 を混同しない。観測結果によって確率が更新されるのがベイズの本質。

問8(解答番号 12・13)

U を平均0、分散1の正規分布に従う確率変数とする。また x を実数とし、

Y=0.3+2x+U

とおく。

〔1〕解答番号 12

P(Y≥0)=0.95 となる x として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. −0.97
  2. −0.15
  3. 0.32
  4. 0.67
  5. 0.95
正解と解説

正解:④

考え方:x は定数なので、Y は標準正規変数 U を 0.3+2x だけ平行移動したもの、すなわち Y∼N(0.3+2x,1) である。条件 Y≥0 を U の条件に書き換え、標準正規分布表で境界値を引く。

計算手順

条件を U について整理する。

Y≥0⇔0.3+2x+U≥0⇔U≥−(0.3+2x)

したがって求める条件は

P(U≥−(0.3+2x))=0.95

標準正規分布で「上側確率が 0.95」となる点は「上側確率 0.05 の点」の符号を変えたものである。付表1より Q(1.64)=0.0505、Q(1.65)=0.0495 なので、上側5%点は z0.05=1.645。よって P(U≥−1.645)=0.95 である。

−(0.3+2x)=−1.645 2x=1.645−0.3=1.345 x=1.3452=0.6725≒0.67

よって④。

検算:x=0.67 のとき Y の平均は 0.3+1.34=1.64。平均1.64、標準偏差1の正規分布で 0 以上となる確率は、0 が平均から 1.64σ 下にあるので約 0.95 になる。

誤答の見分け方

選択肢どう間違えると出るか
① −0.97符号を誤って 0.3+2x=−1.645 とした(P(Y≥0)=0.05 になる x)
⑤ 0.95確率 0.95 をそのまま選んだもの
② −0.150.3+2x=0(P(Y≥0)=0.5 になる x)
ポイント
  • 正規分布の問題は「条件を標準正規変数の不等式に直す」が基本。定数を移項するだけで U≥c の形になる。
  • 暗記すべき標準正規分布の分位点:上側5% → 1.645、上側2.5% → 1.96、上側1% → 2.326、上側0.5% → 2.576。
  • P(U≥−c)=P(U≤c)=1−Q(c)(対称性)。「0.95」が要求されたら 1.645 に負号をつける。

〔2〕解答番号 13

Y の上側5%点と x の関係を表すグラフとして、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

(図の概要: いずれも横軸 x(−2〜2)、縦軸「上側5%点」。①右上がりの直線(x=−2で約−2、x=2で約6。傾き約2)。②S字型(シグモイド)の曲線(縦軸0.0〜1.0、x=0付近で急に上昇し、両端で0と1に漸近)。③3次関数のような曲線(x=0付近で平坦、両端で急に増減。縦軸−0.5〜1.0程度)。④原点付近を通る単調増加曲線で、両端で傾きが急になる(縦軸−1〜2程度、逆S字型)。⑤下に凸の放物線(x≈0で最小値約0、両端で約14〜18)。)

問8〔2〕 Y の上側5%点と x の関係を表すグラフの選択肢①〜⑤
問8〔2〕 Y の上側5%点と x の関係を表すグラフの選択肢①〜⑤
  1. 図①
  2. 図②
  3. 図③
  4. 図④
  5. 図⑤
正解と解説

正解:①

考え方:Y の上側5%点とは P(Y≥y)=0.05 となる y のことである。〔1〕と同じく Y の分布を U の平行移動として捉えると、上側5%点も同じ量だけ平行移動する。

計算手順

P(Y≥y)=P(U≥y−0.3−2x)=0.05

付表1より標準正規分布の上側5%点は 1.645 なので

y−0.3−2x=1.645 y=2x+1.945

すなわち上側5%点は x の1次関数(傾き 2、切片 1.945)である。x=−2 で −2.055、x=2 で 5.945 となり、図①の直線と一致する。

誤答の見分け方

選択肢誤りの理由
図②縦軸が 0〜1 のS字型は、分布関数(確率)のグラフの形。分位点ではない
図③④Y は x の1次式+正規ノイズなので、分位点が x に対して曲がる理由がない
図⑤x の符号によらず大きくなる形。x が負なら Y の分布は左へずれ、上側5%点も下がるはず
ポイント
  • Y=a+bx+U(U は標準正規)の分位点は a+bx+zα。平均が動くだけで分布の形(幅)は変わらないので、分位点は平均と同じ動き方をする。
  • これは回帰モデル Y=α+βx+ε と同じ構造。x を固定したときの Y の条件付き分布は N(α+βx,σ2) である。
  • グラフ選択問題は「2点だけ代入」で十分。x=0 で 1.945、x=2 で 5.945 を満たす図を探せばよい。

問9(解答番号 14・15)

1から6の目が等しい確率で出るサイコロを7回投げるとき、2以下の目が出る回数を X とする。

〔1〕解答番号 14

P(X=x+1) と P(X=x) の比は、下のようになる(ただし、x=0,1,…,6)。

P(X=x+1)P(X=x)=−x+a2x+b

a, b に入る数字の組合せとして、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. a = 5, b = 3
  2. a = 7, b = 2
  3. a = 9, b = 3
  4. a = 9, b = 5
  5. a = 9, b = 7
正解と解説

正解:②

考え方:各回「2以下の目が出る」確率は 2/6=1/3 で、7回は独立なので X∼B(7,1/3) である。二項分布の確率関数を書いて隣り合う項の比をとると、階乗が大部分約分される。

計算手順

P(X=x)=7Cx(13)x(23)7−x=7!x!(7−x)!(13)x(23)7−x

比をとる。組合せの部分と確率の部分に分けて約分する。

P(X=x+1)P(X=x)=x!(7−x)!(x+1)!(6−x)!×1/32/3 =7−xx+1×12=7−x2x+2

ここで (7−x)!/(6−x)!=7−x、x!/(x+1)!=1/(x+1) を使った。問題の形 (−x+a)/(2x+b) と比べて a=7、b=2。よって②。

検算:x=0 で比は 7/2=3.5。直接計算すると P(X=0)=(2/3)7、P(X=1)=7×(1/3)(2/3)6 で、比は 7×(1/3)/(2/3)=3.5 で一致する。

誤答の見分け方:x=0 の比は「7回のうち1回だけ成功」÷「0回成功」= 7×(p/(1−p)) = 7/2 = 3.5 でなければならない。① は 5/3、③ は 9/3=3、④ は 9/5、⑤ は 9/7 で、いずれも合わない。

ポイント
  • 二項分布 B(n, p) の隣接比:P(X=x+1)P(X=x)=n−xx+1·p1−p。これに n=7、p=1/3 を代入するだけ。
  • 階乗の比は (k+1)!=(k+1)·k! で1項だけ残る。
  • 「2以下の目」の確率は 2/6=1/3。サイコロ問題は成功確率の読み違えに注意。

〔2〕解答番号 15

P(X=x) が最大になる x(ただし、x=0,1,…,7)として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
正解と解説

正解:②

考え方:〔1〕の比が 1 より大きい間は確率が増え続け、1 より小さくなった時点から減る。比が 1 をまたぐ境目が最頻値である。

計算手順

比が 1 以上となる条件を解く。

7−x2x+2≥1⇔7−x≥2x+2⇔x≤53=1.67

実際に比を並べる。

x比 P(X=x+1)/P(X=x)増減
07/2 = 3.5P(1) > P(0)
16/4 = 1.5P(2) > P(1)
25/6 ≒ 0.83P(3) < P(2)
34/8 = 0.5P(4) < P(3)

x=1 までは増加、x=2 から減少に転じるので、P(X=x) は x=2 で最大になる。よって②。

検算:二項分布の最頻値は (n+1)p=8×1/3=2.67 の整数部分 2 で一致する。また期待値 np=7/3=2.33 のすぐ近くにあるのも妥当である。

誤答の見分け方:③ 3 は期待値 2.33 を四捨五入した値だが、最頻値は期待値の丸めではない。比の表で P(3)/P(2)=5/6<1 を確認すれば除外できる。

ポイント
  • 離散分布の最頻値は「隣接比 ≥ 1 となる最大の x+1」で求める。比が 1 をまたぐところが山の頂上。
  • 二項分布 B(n, p) の最頻値は ⌊(n+1)p⌋((n+1)p が整数なら (n+1)p−1 と (n+1)p の2つ)。
  • B(7, 1/3) の期待値は 7/3、分散は 14/9。最頻値・期待値・中央値は近いが一般には一致しない。

問10(解答番号 16)

確率変数 X1,X2,…,Xn は互いに独立で、期待値が μ、分散が σ2 であるとする。標本平均を

X¯=1n∑i=1nXi

とする。次の文章は、標本平均 X¯ に関するものである。

X¯ の期待値は(ア)、分散は(イ)である。

解答番号 16

文中の(ア),(イ)にあてはまるものの組合せとして、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. (ア)μ (イ)σ2
  2. (ア)μn (イ)σ2
  3. (ア)μ (イ)σ2n
  4. (ア)μn (イ)σ2n
  5. (ア)μ (イ)σ2n2
正解と解説

正解:③

考え方:期待値の線形性と、独立な確率変数の和の分散の性質を使う。定数倍の扱いが期待値(1乗)と分散(2乗)で異なる点がこの問題の核心である。

計算手順

期待値:定数 1/n はそのまま外に出せ、和の期待値は期待値の和になる(独立でなくても成り立つ)。

E[X¯]=1n∑i=1nE[Xi]=1n×nμ=μ

分散:定数倍は2乗して外に出る。独立なので和の分散は分散の和になる。

V[X¯]=(1n)2V[∑i=1nXi]=1n2∑i=1nV[Xi]=1n2×nσ2=σ2n

よって(ア)μ、(イ)σ2/n の③。

誤答の見分け方

選択肢誤りの理由
②④期待値が μ/n。標本平均は「平均を推定する量」であり、期待値が μ から変わったら不偏でない。n個の平均をとっても位置は変わらない
①分散が σ² のまま。平均をとることでばらつきは縮むはず
⑤分散 σ²/n²。1/n² を掛けるところまでは正しいが、和の分散 nσ² を σ² と誤った
ポイント
  • E[X¯]=μ、V[X¯]=σ2n、標準偏差(標準誤差)は σ/n。これは推定・検定のすべての土台。
  • V[aX]=a2V[X](定数は2乗)、独立なら V[X+Y]=V[X]+V[Y]。
  • E[X̄]=μ は「標本平均は μ の不偏推定量」、V[X̄]=σ²/n→0 は「一致推定量」であることを意味する。不偏性・一致性の議論はこの2式から出発する。
  • 正規分布という仮定は不要。独立で同じ期待値・分散なら常に成り立つ(分布の形は問わない)。

問11(解答番号 17・18・19)

分布の非対称性の大きさを表す指標として歪度があり、分布の尖り具合もしくは裾の広がり具合を表す指標として尖度がある。確率変数 X の平均を μ=E[X]、分散を σ2=V[X] とし、平均まわりの3次モーメント μ3 および4次モーメント μ4 をそれぞれ

μ3=E[(X−μ)3],μ4=E[(X−μ)4]

とすると、歪度および尖度は次式で定義される(ただし、σ>0)。

歪度=μ3σ3,尖度=μ4σ4−3

〔1〕解答番号 17

確率変数 X が正規分布に従うとき、歪度および尖度の符号の組合せとして、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. 歪度 = 0、尖度 = 0
  2. 歪度 = 0、尖度 > 0
  3. 歪度 = 0、尖度 < 0
  4. 歪度 > 0、尖度 < 0
  5. 歪度 < 0、尖度 > 0
正解と解説

正解:①

考え方:正規分布は平均について左右対称なので奇数次の中心モーメントはすべて 0、よって歪度は 0 である。尖度の定義に「−3」がついているのは、正規分布の μ4/σ4 がちょうど 3 であり、正規分布を基準(尖度 0)にするためである。

確認

正規分布 N(μ,σ2) について

μ3=0,μ4=3σ4 歪度=0σ3=0,尖度=3σ4σ4−3=0

よって①。

誤答の見分け方:対称な分布の歪度は必ず 0 なので④⑤は即除外。②③は「−3 の意味」を知らないと迷うが、定義に −3 が入っているのは正規分布を 0 にする補正だと覚えておく。

ポイント
  • 正規分布は歪度 0、尖度 0(−3 補正後)の基準分布。
  • 対称な分布 ⇒ 歪度 0(逆は必ずしも成り立たない)。
  • 標準正規分布の4次モーメント E[Z4]=3 は覚えておくと役立つ。

〔2〕解答番号 18

確率変数 X が一様分布 U(−1,1) に従うとき、歪度および尖度の値の組合せとして、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 歪度 = −338、尖度 = 1.8
  2. 歪度 = 338、尖度 = 1.8
  3. 歪度 = 338、尖度 = −1.2
  4. 歪度 = 0、尖度 = 1.2
  5. 歪度 = 0、尖度 = −1.2
正解と解説

正解:⑤

考え方:U(−1,1) は 0 について対称なので歪度は 0 で、選択肢は④⑤に絞られる。尖度は σ2 と μ4 を積分で求めて定義式に代入する。密度関数は区間 [−1,1] 上で f(x)=1/2 である。

計算手順

平均は対称性より μ=0。したがって中心モーメントは原点まわりのモーメントに等しい。

分散(2次モーメント):

σ2=E[X2]=∫−11x2·12dx=12[x33]−11=12×23=13

3次モーメント:被積分関数 x3 は奇関数なので対称区間での積分は 0。

μ3=∫−11x3·12dx=0⇒歪度=0

4次モーメント:

μ4=∫−11x4·12dx=12[x55]−11=12×25=15

尖度:σ4=(1/3)2=1/9 なので

尖度=μ4σ4−3=1/51/9−3=95−3=1.8−3=−1.2

よって歪度 0、尖度 −1.2 の⑤。

直感的な確認:一様分布は中心が平坦で裾がない(有限区間で切れる)ので、正規分布より「尖っていない・裾が短い」。尖度は負になるはずである。

誤答の見分け方

選択肢どう間違えると出るか
④ 尖度 1.2符号ミス。平坦な分布の尖度は負
①② 尖度 1.8−3 の補正を忘れた μ4/σ4=9/5 の値
①②③ 歪度 ≠ 0対称分布なので歪度は 0。積分するまでもない
ポイント
  • 一様分布 U(a, b):平均 a+b2、分散 (b−a)212。U(−1,1) なら分散 4/12 = 1/3 で上の積分と一致する。
  • 連続型のモーメントは E[Xk]=∫xkf(x)dx。対称区間での奇関数の積分は 0。
  • 尖度の目安:一様分布 −1.2、正規分布 0、t 分布や両側指数分布は正(裾が長い)。

〔3〕解答番号 19

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、歪度および尖度に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい
  2. ⅠとⅡのみ正しい
  3. ⅠとⅢのみ正しい
  4. ⅠとⅡとⅢはすべて正しい
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて誤り
正解と解説

正解:⑤

考え方:歪度の符号と裾の向き、尖度の符号と分布の形、t 分布の性質を一つずつ確認する。3つとも「正しい記述の逆」を書いた文になっている。

Ⅰ(誤り):右に裾が長い分布では、平均より右側に大きく離れた値があり、(X−μ)3 の正の寄与が大きくなるので歪度は正になる。左に裾が長ければ負。記述は符号が逆である。例:所得分布は右に裾が長く、歪度は正。

Ⅱ(誤り):〔2〕で見たとおり、中心部が平坦で裾が短い一様分布の尖度は −1.2 で負。逆に尖っていて裾の長い分布(t 分布など)は (X−μ)4 の裾の寄与が大きく、尖度は正。記述は符号が逆である。

Ⅲ(誤り):前半「t 分布は対称なので歪度 0(ν>3 で存在)」は正しい。しかし後半が誤り。自由度 ν の t 分布の尖度は

尖度=6ν−4(ν>4)

であり、ν が大きくなるほど 0 に近づく(ν=5 で 6、ν=10 で 1、ν=∞ で 0)。t 分布は自由度が大きいほど正規分布に近づくのだから、尖度の絶対値は小さくなる。記述は逆である。公式を知らなくても「自由度∞ = 正規分布 = 尖度 0」から判断できる。

以上よりⅠ〜Ⅲはすべて誤りで⑤。

ポイント
  • 歪度:右に裾が長い(右に伸びる)⇒ 正、左に裾が長い ⇒ 負。「裾が伸びる方向の符号」と覚える。
  • 尖度(−3 補正後):正規分布 0、平坦・裾が短い ⇒ 負、尖っていて裾が長い ⇒ 正。
  • t 分布は自由度が大きいほど正規分布に近づく。歪度は 0(対称)、尖度は正で自由度とともに 0 に減少する。
  • k 次モーメントが存在するには裾が十分軽い必要がある。t 分布の分散は ν>2、歪度は ν>3、尖度は ν>4 でのみ定義される(問題文の条件はそのため)。

問12(解答番号 20)

次の表は、2017年に実施された、JR北海道の利用状況に関する調査結果である。調査は北海道の18歳以上の男女2067人に行われ、回答数は1338人であった。この調査結果は、母集団を北海道の18歳以上の男女とし、標本サイズ1338の単純無作為抽出に基づくものとみなす。

利用頻度割合
ほぼ毎日2.0%
週に数回程度2.5%
月に数回程度9.0%
年に数回程度26.8%
ほとんど利用しない58.9%
わからない、無回答0.8%

資料: NHK放送文化研究所「北海道 路線見直しに関する意識調査」

解答番号 20

ほぼ毎日利用した人の割合の95%信頼区間として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 0.020 ± 0.002
  2. 0.020 ± 0.008
  3. 0.020 ± 0.014
  4. 0.020 ± 0.020
  5. 0.020 ± 0.026
正解と解説

正解:②

考え方:母比率 p の信頼区間の問題。標本比率 p^=0.020、標本サイズ n=1338(送付数 2067 ではなく回答数を使う)。標本比率は近似的に正規分布 N(p,p(1−p)/n) に従うので、95%信頼区間は

p^±z0.025p^(1−p^)n

で求める。付表1より Q(1.96)=0.0250 なので z0.025=1.96。

計算手順

p^(1−p^)=0.020×0.980=0.0196 0.01961338=0.00001465 0.00001465=0.003827 1.96×0.003827=0.0075≒0.008

よって 95%信頼区間は 0.020±0.008、すなわち約 (0.012, 0.028) で②。

暗算のコツ:0.0196=0.14、1338≒36.6 なので標準誤差は 0.14/36.6≒0.0038。その約2倍で 0.0076。

誤答の見分け方

選択肢どう間違えると出るか
① ±0.002幅が標準誤差の半分程度。1.96 を掛け忘れてもまだ 0.004 なので合わない
③ ±0.014標準誤差を 0.02×0.98=0.14 と √n で割らずに扱うと桁が大きく外れる。0.14 の 1/10 に近い値
④⑤下限が 0 以下になり比率の信頼区間として不自然。分散に p(1−p) ではなく p を使う等の誤り
ポイント
  • 母比率の 95%信頼区間:p^±1.96p^(1−p^)n。99% なら 2.576、90% なら 1.645。
  • n には「回答数」を使う。調査対象数(2067)や母集団サイズではない。
  • 幅は 1/n に比例する。n を4倍にすると幅は半分になる。
  • p(1−p) は p=0.5 で最大 0.25。比率が 0 や 1 に近いほど信頼区間は狭くなる。

問13(解答番号 21)

ある農家では、じゃがいもの生産を行っている。この農家において収穫されたじゃがいもを無作為に20個抽出したところ、重量(g)の標本平均は85.6、不偏分散は121.9であった。次の文章は、じゃがいもの重量についての検定に関するものである。

じゃがいもの重量は正規分布に従うと仮定して、じゃがいもの重量の母平均を μ、母分散を σ² とする。帰無仮説を μ = 90、対立仮説を μ ≠ 90 として、有意水準を5%とする母平均の両側検定を行う。検定統計量を t とすると、t の計算式は(ア)である。また、棄却域は(イ)である。したがって、帰無仮説を(ウ)。

解答番号 21

文中の(ア),(イ),(ウ)にあてはまるものの組合せとして、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. (ア)t = (85.6 − 90) / √121.9 (イ)|t| > 1.729 (ウ)棄却しない
  2. (ア)t = (85.6 − 90) / √121.9 (イ)|t| > 2.093 (ウ)棄却しない
  3. (ア)t = (85.6 − 90) / √(121.9/20) (イ)|t| > 2.086 (ウ)棄却しない
  4. (ア)t = (85.6 − 90) / √(121.9/20) (イ)|t| > 2.093 (ウ)棄却しない
  5. (ア)t = (85.6 − 90) / √(121.9/20) (イ)|t| > 1.725 (ウ)棄却する
正解と解説

正解:④

考え方:母分散 σ² は未知で、手元にあるのは不偏分散 S² = 121.9。正規母集団・σ 未知なので 1標本 t 検定(自由度 n − 1 = 19)を使う。分母は「標本平均の標準誤差」S/n であって S そのものではない。

計算:

(ア)検定統計量

t=x¯−μ0S/n=85.6−90121.9/20 121.9/20=6.095≈2.469,t=−4.42.469≈−1.78

(イ)両側5%の棄却域は、自由度19の t 分布の上側2.5%点を使い、付表より t0.025(19)=2.093。よって棄却域は |t| > 2.093。

(ウ)|t| = 1.78 < 2.093 なので棄却域に入らない。帰無仮説を棄却しない。

誤答の見分け方:

選択肢どう間違えると出るか
①②分母を √121.9(不偏標準偏差そのもの)にしている。標本平均のばらつきは √n で縮むので √(S²/n) が正しい
①1.729 は t(19) の上側5%点(片側5%用)
③2.086 は自由度20の上側2.5%点。自由度は n − 1 = 19
⑤1.725 は自由度20の上側5%点。しかも |t| = 1.78 > 1.725 になるため「棄却する」と誤結論になる
ポイント σ 未知・正規母集団の母平均の検定は t=(x¯−μ0)/(S/n)、自由度 n − 1。両側 α なら t 表の「上側 α/2」列を読む。「自由度を n にする」「片側の列を読む」「√n で割り忘れる」の3つが定番のひっかけ。

問14(解答番号 22・23)

ある工場の実験室の温度(℃)を3つの条件A、B、Cの下で比較する。それぞれの条件下での温度の分布は、正規分布に従っているとする。

〔1〕解答番号 22

「条件A、Bの下での温度の分布の分散が等しい」という帰無仮説を有意水準5%で検定するために、それぞれの条件下で繰り返し実験を行ったところ、以下のようになった。

条件繰り返し数平均不偏分散
A3018.021.9
B3124.820.4

検定統計量として、不偏分散の比を使うことにする。今回のデータから計算された値は、21.9/20.4 ≒ 1.1 になるが、これを自由度 (m₁, m₂) の F 分布の上側2.5%点および下側2.5%点と比較して、帰無仮説を棄却するかどうかを決める。(m₁, m₂) の組合せとして、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. m₁ = 30, m₂ = 31
  2. m₁ = 31, m₂ = 32
  3. m₁ = 31, m₂ = 30
  4. m₁ = 29, m₂ = 32
  5. m₁ = 29, m₂ = 30
正解と解説

正解:⑤

考え方:2つの正規母集団の分散の比の検定(等分散検定)。帰無仮説 σA2=σB2 の下で、不偏分散の比

F=SA2SB2=21.920.4≈1.07

は自由度 (nA−1,nB−1) の F 分布に従う。分子の自由度が第1自由度、分母の自由度が第2自由度である。

計算:

m1=nA−1=30−1=29,m2=nB−1=31−1=30

よって ⑤。なお F 分布の自由度が (29, 30) になる理由は、(n−1)S2/σ2 が自由度 n − 1 のカイ二乗分布に従い、F 分布は「(カイ二乗 ÷ 自由度) の比」として定義されるからである。

誤答の見分け方:①は標本サイズをそのまま自由度にしている。③は自由度を分子・分母で取り違えたうえに標本サイズをそのまま使っている。④は分母側だけ n + 1 になっており根拠がない。

ポイント 等分散の F 検定:F=S12/S22∼F(n1−1,n2−1)。自由度は「分子の標本サイズ − 1、分母の標本サイズ − 1」の順。両側検定なので上側2.5%点と下側2.5%点(=自由度を入れ替えた上側2.5%点の逆数)の両方を見る。

〔2〕解答番号 23

ここで「A、B、Cの各条件の下で温度の分布の分散がすべて等しい」という帰無仮説 H₀ を検定する際に、AとB、AとC、BとCのそれぞれの組合せで、2つの分布の分散が等しいという帰無仮説を有意水準5%で検定し、3つの検定のどれかで仮説が棄却されれば、H₀ を棄却することにした。ただし、標本は、3つの検定ごとに新たに採取し、3つの検定の結果は互いに独立とする。この検定の方法で、第一種の過誤の確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 0.01
  2. 0.05
  3. 0.10
  4. 0.14
  5. 0.18
正解と解説

正解:④

考え方:第一種の過誤とは「H₀ が正しいのに H₀ を棄却してしまう」こと。H₀(分散がすべて等しい)が正しいとき、3つの個別検定はそれぞれ確率0.05で誤って棄却する。「どれか1つでも棄却されれば H₀ を棄却」なので、求める確率は「3つのうち少なくとも1つが棄却される確率」。余事象「3つとも棄却されない」から求める。

計算:3つの検定は独立なので、

P(3つとも棄却されない)=(1−0.05)3=0.953=0.857375 P(少なくとも1つ棄却)=1−0.857375=0.142625≈0.14

よって ④。

誤答の見分け方:②の0.05は「個別の検定の有意水準」であって、3回繰り返した全体の第一種過誤ではない。⑤の0.18は単純に 0.05 + 0.05 + 0.05 = 0.15 でもなく、近い値だが 3 × 0.05 = 0.15 を超えることはない(和の上界)。③の0.10は2回分の誤り。

ポイント 検定を k 回独立に繰り返して「どれかで棄却」とすると、全体の第一種過誤は 1−(1−α)k に膨らむ(多重比較の問題)。α = 0.05、k = 3 なら約0.14。「少なくとも1つ」は余事象で計算する。

問15(解答番号 24・25・26)

ある工場の担当者が、A社とB社のいずれかのメーカーからある部品の製作機械を仕入れることにした。不良品率の小さい機械を仕入れたいので、それぞれの製品の不良品率を電話で尋ねたところ、A社もB社も5%、という回答であった。これらの回答が正しいかどうかを確認するため、それぞれの機械で200個の部品を試作してもらい、実際に不良品率を検査することにした。A社の機械による200個の試作品に混入する不良品の個数を X として、以下の問いに答えよ。

〔1〕解答番号 24

A社の回答が正しいと仮定したとき、確率変数 X が従う分布および、その期待値と分散の組合せとして、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 分布: ポアソン分布、平均: 9.5、分散: 9.5
  2. 分布: ポアソン分布、平均: 10.0、分散: 10.0
  3. 分布: 二項分布、平均: 10.0、分散: 9.5
  4. 分布: 二項分布、平均: 10.0、分散: 10.0
  5. 分布: 幾何分布、平均: 10.0、分散: 10.0
正解と解説

正解:③

考え方:「200個それぞれが独立に確率0.05で不良品になる」→ 不良品の個数 X は試行回数 n = 200、成功確率 p = 0.05 の二項分布 B(200, 0.05) に従う。

計算:

E[X]=np=200×0.05=10 V[X]=np(1−p)=200×0.05×0.95=9.5

よって ③。

誤答の見分け方:ポアソン分布(①②)は「n が大きく p が小さいときの二項分布の近似」として使えるが、X が「従う分布」そのものではない。しかもポアソン分布なら平均=分散になるので、①の「平均9.5」は np と矛盾する。④は二項分布なのに分散を np としており、(1 − p) を掛け忘れている。⑤の幾何分布は「初めて不良品が出るまでの回数」の分布で、不良品の個数ではない。

ポイント 二項分布 B(n, p):平均 np、分散 np(1 − p)。分散は平均より必ず小さい。ポアソン分布は平均=分散(λ)。「個数」なら二項、「初めて出るまでの回数」なら幾何、と分布の役割で見分ける。

〔2〕解答番号 25

A社の試作品200個のうち実際に不良品は16個あった。不良品率を r として、帰無仮説を r = 0.05、対立仮説を r > 0.05 として検定を行う。連続修正を行わない場合の P-値として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 0.001
  2. 0.026
  3. 0.13
  4. 0.26
  5. 0.52
正解と解説

正解:②

考え方:母比率の片側検定。帰無仮説の下で X ~ B(200, 0.05)、平均10、分散9.5(〔1〕の結果)。n が大きいので正規近似し、標準化した z の上側確率を付表から読む。対立仮説が r > 0.05 なので片側(上側)の P-値になる。

計算:

z=X−npnp(1−p)=16−109.5=63.082≈1.95

比率の形で書いても同じ値になる:

z=p^−p0p0(1−p0)/n=0.08−0.050.05×0.95/200=0.030.01541≈1.95

付表より、標準正規分布の上側確率は Q(1.94) = 0.0262、Q(1.95) = 0.0256。したがって P-値 ≈ 0.026 で ②。

誤答の見分け方:⑤の0.52は両側にした 2 × 0.026 = 0.052 の桁違い、④の0.26は 0.026 の桁違い。片側検定なので 2 倍しない。①の0.001は z ≈ 3 に相当し、分母を √(0.05 × 0.95) などにしたときの値に近い。

ポイント 母比率の検定は帰無仮説の p₀ を使って標準誤差 p0(1−p0)/n を作る(信頼区間では標本比率 p̂ を使う点が違う)。P-値は片側なら上側確率そのまま、両側なら 2 倍。「連続修正を行わない」は「X ± 0.5 の補正をせず、そのまま正規近似せよ」という意味。

〔3〕解答番号 26

A社に加えて、B社の試作品200個も調べてみると、不良品は17個あった。A、B両社の不良品率の差を d として、帰無仮説を d = 0、対立仮説を d ≠ 0 として検定を行う。このときの連続修正を行わない場合の P-値として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 0.05
  2. 0.20
  3. 0.45
  4. 0.64
  5. 0.86
正解と解説

正解:⑤

考え方:2つの母比率の差の検定。帰無仮説「d = 0(両社の不良品率は等しい)」の下では共通の比率 p を仮定できるので、2標本を合わせたプール比率 p̂ で標準誤差を作る。対立仮説が d ≠ 0 なので両側の P-値。

計算:

標本比率:

p^A=16200=0.080,p^B=17200=0.085

プール比率:

p^=16+17200+200=33400=0.0825

標準誤差:

SE=p^(1−p^)(1nA+1nB)=0.0825×0.9175×(1200+1200) =0.07569×0.01=0.0007569≈0.0275

検定統計量:

z=p^A−p^BSE=0.080−0.0850.0275=−0.0050.0275≈−0.18

付表より Q(0.18) = 0.4286。両側なので

P-値=2×0.4286≈0.86

よって ⑤。両社の不良品率にはほとんど差がない(16個と17個)ので、P-値が 1 に近くなるのは直感とも合う。

誤答の見分け方:③の0.45は片側の値(両側にし忘れ)。①〜②のような小さい値は、差 0.005 に対して標準誤差 0.0275 が大きいことを考えると出てこない。「不良品数の差が1個」で有意になるはずがない、という感覚も持っておく。

ポイント 2つの母比率の差の検定(H₀: p₁ = p₂)はプール比率 p^=(x1+x2)/(n1+n2) を使い、z=(p^1−p^2)/p^(1−p^)(1/n1+1/n2)。両側なら P-値は上側確率の 2 倍。

問16(解答番号 27・28)

次の表は、ある警察署管轄区内における(日曜日を除く)曜日別の交通事故発生件数である。

曜日月火水木金土計
発生件数141915221616102

この警察署管轄区内での交通事故発生率について、「発生率は曜日に依存しない」を帰無仮説として有意水準5%の適合度検定を行う。

〔1〕解答番号 27

この適合度検定における χ² 統計量の計算式として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. χ² = {(14−17)² + (19−17)² + (15−17)² + (22−17)² + 2×(16−17)²} / 17
  2. χ² = {(14−17)² + (19−17)² + (15−17)² + (22−17)² + 2×(16−17)²} / 17²
  3. χ² = (14² + 19² + 15² + 22² + 2×16² − 6×17) / 17
  4. χ² = (14² + 19² + 15² + 22² + 2×16²) / 17²
  5. χ² = (14² + 19² + 15² + 22² + 2×16² − 6×17) / 102
正解と解説

正解:①

考え方:適合度検定の統計量は「(観測度数 − 期待度数)² ÷ 期待度数」を全カテゴリで足したもの。帰無仮説「曜日に依存しない」の下では6曜日の期待度数はすべて等しい。

計算:期待度数

Ei=1026=17(すべての曜日で共通) χ2=∑i=16(Oi−Ei)2Ei=(14−17)2+(19−17)2+(15−17)2+(22−17)2+2×(16−17)217

期待度数がすべて17なので、分母17でまとめて割れる。金・土は同じ16件なので 2 × (16 − 17)² とまとめてある。これが ①。

値を出すと

χ2=9+4+4+25+217=4417≈2.59

誤答の見分け方:②④は分母を 17² にしており、統計量の定義と違う(分母は期待度数の1乗)。③は展開形として見ると ∑Oi2/E−n が正しい形で、分子の引く項は 6 × 17² = 102 × 17 でなければならず、6 × 17 では合わない(計算すると 98.59 と異常に大きい)。⑤は分母が総数102になっている。

ポイント 適合度検定 χ2=∑(O−E)2/E。「一様」が帰無仮説なら期待度数 = 総数 ÷ カテゴリ数。分母は E(2乗しない)。

〔2〕解答番号 28

次の文章は、上記の χ² 統計量に基づく有意水準5%の適合度検定に関するものである。

χ² 統計量は帰無仮説の下で近似的に(ア)に従う。したがって、有意水準5%で帰無仮説を(イ)。

文中の(ア),(イ)にあてはまるものの組合せとして、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。ただし、設問〔1〕の選択肢①〜⑤の値は、それぞれ約 2.59, 0.15, 98.59, 6.15, 16.43 であることを用いてよい。

  1. (ア)自由度1の χ² 分布 (イ)棄却しない
  2. (ア)自由度5の χ² 分布 (イ)棄却する
  3. (ア)自由度5の χ² 分布 (イ)棄却しない
  4. (ア)自由度6の χ² 分布 (イ)棄却する
  5. (ア)自由度6の χ² 分布 (イ)棄却しない
正解と解説

正解:③

考え方:適合度検定の自由度は「カテゴリ数 − 1」。カテゴリは月〜土の6つなので自由度は 6 − 1 = 5。総数102という制約(度数の合計が固定)で自由度が1減る。

計算:〔1〕の正解①の値は χ² ≈ 2.59。付表より自由度5のカイ二乗分布の上側5%点は

χ0.052(5)=11.07 2.59<11.07

棄却域に入らないので帰無仮説は棄却しない。「発生率が曜日に依存しない」という仮説は否定できない。よって ③。

誤答の見分け方:④⑤はカテゴリ数をそのまま自由度にしている。①の自由度1は 2 × 2 分割表のときの値。②は自由度は正しいが、2.59 は 11.07 よりはるかに小さいので棄却されない。

ポイント 適合度検定の自由度 = カテゴリ数 − 1(母数を推定した場合はさらに推定した母数の個数だけ引く)。独立性の検定なら (行数 − 1)(列数 − 1)。カイ二乗検定は常に上側だけを見る片側検定。χ²(5) の上側5%点 11.07 は覚えておくと速い。

問17(解答番号 29・30・31)

世界各国のデータを用いて次の重回帰モデルを推定した。

自動車普及率=α+β1×人口密度+β2×log(1人当たりGDP)+誤差項

ここで、「自動車普及率」は人口1000人当たりの自動車台数、「人口密度」は面積1平方キロメートル当たりの人口、「1人当たりGDP」は1人当たりの国内総生産(単位: ドル)、log は自然対数であり、誤差項は、互いに独立に正規分布 N(0, σ²) に従うとする。

資料: 総務省統計局「世界の統計2018」

統計ソフトウェアを利用して、人口密度、1人当たりGDPにそれぞれ対応する変数 population、gdp を作成し、上記の重回帰モデルを最小2乗法で推定したところ、次の出力結果を得た。なお、出力結果の一部を削除している。

Coefficients:
              Estimate   Std. Error  t value  Pr(>|t|)
(Intercept)  -1.283e+03   1.137e+02  -11.278  1.39e-15
population   -6.617e-02   1.046e-02   -6.326  5.87e-08
log(gdp)      1.757e+02   1.175e+01   14.959   < 2e-16
---

Residual standard error: 103.5 on 52 degrees of freedom
Multiple R-squared: 0.821,     Adjusted R-squared: 0.8141
F-statistic: 119.2 on 2 and 52 DF,    p-value: < 2.2e-16

〔1〕解答番号 29

分析に用いた国の数として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. 52
  2. 53
  3. 54
  4. 55
  5. 56
正解と解説

正解:④

考え方:残差の自由度(Residual standard error の "on 52 degrees of freedom")は「標本サイズ n − 推定した係数の数」。係数は定数項 α、β₁、β₂ の3つ。

計算:

n−(k+1)=52⇒n=52+2+1=55

よって ④。F-statistic の "on 2 and 52 DF" からも、回帰の自由度 k = 2、残差の自由度 52 が確認できる。

誤答の見分け方:①は残差自由度をそのまま国数と読んだもの。③は定数項を数え忘れて 52 + 2 としたもの。

ポイント 重回帰の残差自由度 = n − k − 1(k は説明変数の数、1 は定数項)。出力に自由度があれば n が逆算できる。定数項の数え忘れが最も多いミス。

〔2〕解答番号 30

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、この出力結果に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい
  2. Ⅱのみ正しい
  3. Ⅲのみ正しい
  4. ⅠとⅡのみ正しい
  5. ⅡとⅢのみ正しい
正解と解説

正解:②

出力の読み方:

項目意味この出力での値
Estimate回帰係数の推定値α = −1283、β₁ = −0.06617、β₂ = 175.7
Std. Error係数の標準誤差α: 113.7、β₁: 0.01046、β₂: 11.75
t valueEstimate ÷ Std. Error。H₀: 係数 = 0 の検定統計量−11.278、−6.326、14.959
Pr(>|t|)両側 P-値1.39×10⁻¹⁵、5.87×10⁻⁸、< 2×10⁻¹⁶
Residual standard error残差の標準偏差 σ̂ と残差自由度 n − k − 1103.5、自由度 52
Multiple R-squared決定係数 R²(変数を増やすと必ず増える)0.821
Adjusted R-squared自由度調整済み R²(常に R² 以下)0.8141
F-statisticH₀: β₁ = β₂ = 0(定数項を除く全係数が0)の検定。自由度 (2, 52)119.2、P-値 < 2.2×10⁻¹⁶

各記述の判定:

記述判定理由
Ⅰ誤α(Intercept)の Std. Error は 1.137e+02 = 113.7。11.75(1.175e+01)は β₂(log(gdp))の標準誤差であり、行を取り違えている。
Ⅱ正3つの係数の P-値はいずれも 10⁻⁷ 以下で 0.05 よりはるかに小さい。|t| も 6 以上で、自由度52の両側5%点(付表より t₀.₀₂₅(52) ≈ 2.01)を大きく超える。よって α、β₁、β₂ はすべて5%で有意に0と異なる。
Ⅲ誤0.821 は Multiple R-squared(決定係数)。自由度調整済み決定係数は Adjusted R-squared = 0.8141 である。

Ⅱのみ正しいので ②。

補足:指数表記の読み方は 1.137e+02 = 1.137 × 10² = 113.7、1.175e+01 = 11.75、6.617e-02 = 0.06617。桁を取り違えないよう慣れておく。

ポイント 出力表は「行(どの係数か)」と「列(推定値・標準誤差・t・P)」の両方を確認する。Multiple R-squared と Adjusted R-squared は別物で、調整済みは常に小さい。有意性は P-値 < 0.05 だけで判定できる。

〔3〕解答番号 31

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、この出力結果に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. ⅠとⅡのみ正しい
  2. ⅡとⅢのみ正しい
  3. ⅠとⅢのみ正しい
  4. ⅠとⅡとⅢはすべて正しい
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて誤り
正解と解説

正解:④

考え方:偏回帰係数は「他の説明変数を一定としたときの、その変数1単位あたりの被説明変数の変化」。符号を見れば方向がわかる。Ⅲは推定式に値を代入する。

各記述の判定:

記述判定理由
Ⅰ正β₁(population)の推定値 −0.06617 は負で、しかも有意。1人当たりGDPを一定とすれば、人口密度が高いほど自動車普及率は低い。
Ⅱ正β₂(log(gdp))の推定値 175.7 は正で有意。人口密度を一定とすれば、1人当たりGDPが高い(log も大きい)ほど自動車普及率は高い。
Ⅲ正下記の計算で予測値 ≈ 447.5 ≈ 448。

Ⅲの計算:

y^=−1283−0.06617×400+175.7×10 =−1283−26.47+1757=447.5

3つとも正しいので ④。

注意:Ⅲでは「log(1人当たりGDP) が10」と、対数を取った後の値が与えられている。GDP そのものが10ではないので、log を取り直す必要はない。log(gdp) = 10 は gdp = e¹⁰ ≈ 22,000 ドルに相当する。

ポイント 偏回帰係数の解釈は「他の変数を一定として」が必須。予測値は Estimate 列の値をそのまま式に代入する(指数表記の桁に注意)。説明変数が log の場合、係数は「log が1増えたとき」の効果、つまり GDP が e 倍(約2.7倍)になったときの効果である。

問18(解答番号 32・33・34)

次の表は、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の平成28年(2016年)3月の1世帯当たりの実収入と教養娯楽サービス、酒類への支出金額を、現金実収入に関する五分位階級別でまとめたものである。ここで、「教養娯楽サービス」とは、旅行費や月謝などのことである。

現金実収入五分位階級別1世帯当たり1か月間の実収入と教養娯楽サービス、酒類への支出金額(単位: 万円)

階級実収入教養娯楽サービスへの支出金額酒類への支出金額
第Ⅰ11.9860.9840.250
第Ⅱ30.3281.3030.281
第Ⅲ41.8591.4690.297
第Ⅳ53.7442.1980.328
第Ⅴ87.4313.4680.329

資料: 総務省「家計調査」

〔1〕解答番号 32

教養娯楽サービスへの支出金額 y を被説明変数、酒類への支出金額 x を説明変数、互いに独立に正規分布 N(0, σᵤ²) に従う誤差項を u とする単回帰モデル

y=a+bx+u

を最小2乗法で推定したところ次の表のようになった。ここで、σ̂ᵤ は、残差の標準誤差(誤差項の分散の不偏推定値の正の平方根)である。

回帰統計
重相関係数0.847
決定係数0.718
自由度調整済み決定係数0.624
σ̂ᵤ0.608
観測数5
係数標準誤差tP-値
切片−5.5922.719−2.0570.132
x25.1739.1092.7640.070

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、この推定結果に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい
  2. Ⅱのみ正しい
  3. Ⅲのみ正しい
  4. ⅠとⅢのみ正しい
  5. ⅡとⅢのみ正しい
正解と解説

正解:④

回帰表の読み方:

項目意味この表での値
重相関係数y と予測値 ŷ の相関係数。単回帰では |r_xy| に等しい0.847
決定係数 R²重相関係数の2乗。y の変動のうち回帰で説明できる割合0.847² = 0.718
自由度調整済み決定係数1 − (1 − R²)(n − 1)/(n − k − 1)1 − 0.282 × 4/3 = 0.624
σ̂ᵤ(残差の標準誤差)√(残差平方和 ÷ (n − k − 1))0.608
観測数 n標本サイズ5(五分位階級)
係数最小2乗推定値 â、b̂−5.592、25.173
標準誤差係数の推定値の標準誤差2.719、9.109
t係数 ÷ 標準誤差。H₀: 係数 = 0 の検定統計量(自由度 n − k − 1 = 3)−2.057、2.764
P-値両側 P-値0.132、0.070

各記述の判定:

記述判定理由
Ⅰ正σ̂ᵤ² = 残差平方和 ÷ (n − 2) なので、残差平方和 = σ̂ᵤ² × (n − 2) = 0.608² × 3(下記)。
Ⅱ誤単位を1万倍すると切片の推定値も標準誤差も1万倍になるので、その比である t-値は変わらない。t-値・P-値は単位に依存しない。
Ⅲ正y、x をともに1万倍すると、y′ = 10000y = 10000a + b·(10000x) + 10000u = 10000a + b x′ + u′ となり、切片は1万倍、傾き b は不変。

Ⅰの計算:

σ^u2=残差平方和n−2⇒残差平方和=0.6082×(5−2)=0.3697×3=1.109≈1.1

ⅠとⅢが正しいので ④。

補足:自由度調整済み決定係数を検算すると 1−(1−0.718)×5−15−1−1=1−0.282×1.333=0.624 で表と一致する。残差自由度が n − 2 = 3 であることの確認になる。

ポイント 残差の標準誤差 σ̂ は √(残差平方和 ÷ 残差自由度)。逆算すれば残差平方和 = σ̂² × (n − k − 1)。単位(スケール)変換で変わるのは係数・標準誤差・σ̂ であり、t-値・P-値・R²・相関係数は不変。y と x を同じ倍率にすると切片だけ倍率がかかり、傾きは変わらない。

〔2〕解答番号 33

教養娯楽サービスへの支出金額 y を被説明変数、酒類への支出金額 x と実収入 z を説明変数、互いに独立に正規分布 N(0, σᵥ²) に従う誤差項を v とする重回帰モデル

y=a′+b′x+c′z+v

を最小2乗法で推定したところ次の表のようになった。ここで、σ̂ᵥ は、残差の標準誤差(誤差項の分散の不偏推定値の正の平方根)である。なお、x と z の相関係数は0.906である。

回帰統計
重相関係数0.982
決定係数0.965
自由度調整済み決定係数0.930
σ̂ᵥ0.263
観測数5
係数標準誤差tP-値
切片1.9462.3290.8360.491
x−6.4629.310−0.6940.559
z0.0410.0113.7490.064

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、この推定結果に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい
  2. Ⅱのみ正しい
  3. Ⅲのみ正しい
  4. ⅠとⅢのみ正しい
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて誤り
正解と解説

正解:⑤

考え方:係数の「大きさ」は変数の単位に依存するので、係数の絶対値で説明変数の要不要は判断できない。要不要は t-値・P-値で判断する。多重共線性は説明変数同士の相関が高いときに生じ、標本が小さいほど深刻になる。

各記述の判定:

記述判定理由
Ⅰ誤z(実収入)は数十万円単位、x(酒類)は0.3万円程度と桁が違うので、z の係数が小さいのは単位のせい。むしろ z の t-値は 3.749 で3変数の中で最大、P-値 0.064 も最小であり、最も説明力がある変数。係数の大きさで要不要を判断してはいけない。
Ⅱ誤x と z の相関係数 0.906 は非常に高く、しかも標本サイズは n = 5 と極めて小さい。多重共線性が強く疑われる状況であり、「無視して構わない」は逆。実際、x の標準誤差 9.310 は係数の絶対値より大きく、推定が不安定になっている。
Ⅲ誤P-値 0.559 > 0.05 なので、帰無仮説「x の係数 = 0」は棄却されない。「P-値が大きい ⇒ 棄却」は真逆。

すべて誤りなので ⑤。

ポイント 係数の大小は単位次第で意味がない。有意性は P-値(または |t|)で判断し、P-値 < α なら棄却。多重共線性の兆候は「説明変数間の高い相関」「標準誤差の膨張」「R² は高いのに個々の係数が有意でない」。標本サイズが小さいほど深刻。

〔3〕解答番号 34

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、単回帰モデル y = a + bx + u と重回帰モデル y = a′ + b′x + c′z + v の推定結果の比較に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅱのみ正しい
  2. Ⅲのみ正しい
  3. ⅡとⅢのみ正しい
  4. ⅠとⅡとⅢはすべて正しい
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて誤り
正解と解説

正解:①

考え方:単回帰の係数 b は「x の効果 + x と相関する z を経由した効果」をまとめて拾う。重回帰の偏回帰係数 b′ は「z を一定にした x だけの効果」。両者は一般に異なり、とくに x と z の相関が高いほど大きくずれる。

各記述の判定:

記述判定理由
Ⅰ誤単回帰係数 b と偏回帰係数 b′ は意味が違い、統計理論上「一般に同じ値」にはならない。x と z の相関が 0.906 と高いので、z を入れると x の係数が大きく変わるのはむしろ自然。値が違うことは入力ミスの根拠にならない。
Ⅱ正単回帰では b の P-値 0.070 < 0.10 で10%有意。重回帰では b′ の P-値 0.559 で有意でなく、c′ の P-値 0.064 < 0.10 で有意。「収入 z が高い世帯ほど酒類 x も教養娯楽 y も多く支出する」ため、z を経由して x と y に見かけ上の相関が生じていた(擬相関)と解釈するのが妥当。
Ⅲ誤前半(単回帰の解釈)は妥当だが、後半が誤り。b′ は有意でない、すなわち「b′ = 0 を否定できない」のだから、推定値 −6.462 を「6.462万円小さくなる」と積極的に解釈してはいけない。有意でない係数は「効果があるとは言えない」と読む。

Ⅱのみ正しいので ①。

補足:単回帰と重回帰の係数の関係は、おおよそ b ≈ b′ + c′ × (z を x に回帰したときの傾き) で表される。z と x の相関が正で c′ > 0 なら、単回帰の b は z の効果を取り込んで大きめに出る。本問の 25.173 と −6.462 の差はこの効果である。

ポイント 偏回帰係数は「他の変数を一定として」の効果で、単回帰係数とは別物。第3の変数を加えて係数が有意でなくなれば擬相関を疑う。有意でない係数の推定値の大きさや符号を解釈してはいけない(「効果があるとは言えない」が正しい読み)。

正解一覧

問解答番号正解問解答番号正解
問1〔1〕1⑤問11〔2〕18⑤
問1〔2〕2①問11〔3〕19⑤
問1〔3〕3③問1220②
問24①問1321④
問3〔1〕5①問14〔1〕22⑤
問3〔2〕6④問14〔2〕23④
問47②問15〔1〕24③
問58③問15〔2〕25②
問69②問15〔3〕26⑤
問7〔1〕10②問16〔1〕27①
問7〔2〕11②問16〔2〕28③
問8〔1〕12④問17〔1〕29④
問8〔2〕13①問17〔2〕30②
問9〔1〕14②問17〔3〕31④
問9〔2〕15②問18〔1〕32④
問1016③問18〔2〕33⑤
問11〔1〕17①問18〔3〕34①

出典: 統計検定2級 2018年11月試験(Kindle版問題集より転記)。図はスクリーンショットから切り抜いて埋め込み。