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次の表は、2017年度のサッカーJリーグのチーム年間総得点のデータである。
J1
| チーム名 | 年間総得点 | チーム名 | 年間総得点 |
|---|---|---|---|
| 札幌 | 39 | 清水 | 36 |
| 仙台 | 44 | 磐田 | 50 |
| 鹿島 | 53 | G大阪 | 48 |
| 浦和 | 64 | C大阪 | 65 |
| 大宮 | 28 | 神戸 | 40 |
| 柏 | 49 | 広島 | 32 |
| FC東京 | 37 | 鳥栖 | 41 |
| 川崎F | 71 | ||
| 横浜FM | 45 | ||
| 甲府 | 23 | ||
| 新潟 | 28 | ||
| 平均 | 44.06 | 標準偏差 | 12.89 |
J2
| チーム名 | 年間総得点 | チーム名 | 年間総得点 |
|---|---|---|---|
| 山形 | 45 | 岐阜 | 56 |
| 水戸 | 45 | 京都 | 55 |
| 群馬 | 32 | 岡山 | 44 |
| 千葉 | 70 | 山口 | 48 |
| 東京V | 64 | 讃岐 | 41 |
| 町田 | 53 | 徳島 | 71 |
| 横浜FC | 60 | 愛媛 | 54 |
| 湘南 | 58 | 福岡 | 54 |
| 松本 | 61 | 長崎 | 59 |
| 金沢 | 49 | 熊本 | 36 |
| 名古屋 | 85 | 大分 | 58 |
| 平均 | 54.45 | 標準偏差 | 11.77 |
J3
| チーム名 | 年間総得点 | チーム名 | 年間総得点 |
|---|---|---|---|
| 盛岡 | 32 | 北九州 | 44 |
| 秋田 | 53 | 鹿児島 | 49 |
| 福島 | 39 | 琉球 | 44 |
| 栃木 | 44 | F東京23 | 36 |
| YS横浜 | 41 | G大阪23 | 31 |
| 相模原 | 34 | C大阪23 | 39 |
| 長野 | 34 | ||
| 富山 | 37 | ||
| 藤枝 | 50 | ||
| 沼津 | 60 | ||
| 鳥取 | 31 | ||
| 平均 | 41.06 | 標準偏差 | 8.06 |
資料: J.LEAGUE Data Site
下の図Ⅰ〜Ⅲは、「チーム年間総得点(総得点)」、「チーム年間総得点の平均からの偏差(偏差)」および「チーム年間総得点の標準化得点(標準化得点)」を J1, J2, J3 のカテゴリーごとに分けて示した箱ひげ図である。なお、これらの箱ひげ図では、"「第1四分位数」−「四分位範囲」×1.5" 以上の値をとるデータの最小値、および "「第3四分位数」+「四分位範囲」×1.5" 以下の値をとるデータの最大値までひげを引き、これらよりも遠い値を外れ値として○で示している。
(図の概要: 3つの箱ひげ図、各図とも横軸に J1, J2, J3 の3つの箱。図Ⅰ: 縦軸の目盛は −2〜2(標準化得点のスケール)。J1・J2・J3 とも箱は 0 付近(中央値はいずれも 0 前後、J1 約 −0.1、J2 約 0、J3 約 −0.3)。J2 に約 2.6、J3 に約 2.3 の外れ値○がある。図Ⅱ: 縦軸の目盛は −20〜30(偏差のスケール)。J1・J2・J3 とも箱は 0 付近(中央値 J1 約 −1、J2 約 0、J3 約 −2)。J2 に約 31、J3 に約 19 の外れ値○がある。J1 の箱・ひげが最も広く、J3 が最も狭い。図Ⅲ: 縦軸の目盛は 30〜80(総得点そのもののスケール)。J1 の箱は約 36〜50(中央値約 42)、J2 の箱は約 45〜60(中央値約 55)で最も高い位置、J3 の箱は約 34〜44(中央値約 39)で最も低い位置。J2 に約 85、J3 に約 60 の外れ値○がある。)
図Ⅰ〜Ⅲに対応する変数の組合せとして、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:⑤
考え方:3つの変数は同じデータを「そのまま」「平均を引く」「平均を引いて標準偏差で割る」と変換したものである。変換ごとに、箱ひげ図の「位置(中心)」と「広がり(スケール)」がどう変わるかを整理すればよい。
| 変数 | 定義 | 箱の中心 | 箱・ひげの幅 | 目盛の範囲 |
|---|---|---|---|---|
| 総得点 | そのまま | 各カテゴリーの平均付近(J1 44、J2 54、J3 41 で異なる) | 標準偏差に比例(J1 が最も広い) | データそのもの(20〜90 程度) |
| 偏差 | 平均を引く | すべて 0 付近 | 標準偏差に比例(J1 が最も広い、J3 が最も狭い) | −20〜30 程度 |
| 標準化得点 | 平均を引き標準偏差で割る | すべて 0 付近 | すべてほぼ同じ(標準偏差 1) | −2〜3 程度 |
判別手順:
1. 図Ⅲだけ箱の位置がカテゴリーごとに違い(J2 が最も高く、J3 が最も低い)、目盛も 30〜80 と得点そのものである。J2 の平均 54.45 が最大、J3 の平均 41.06 が最小という表と一致するので、図Ⅲ=総得点。
2. 図Ⅰと図Ⅱはどちらも箱が 0 付近にあるので、偏差か標準化得点のどちらかである。目盛を見ると図Ⅱは −20〜30、図Ⅰは −2〜2 であり、標準偏差で割って単位をなくした標準化得点は絶対値が小さくなるので、図Ⅰ=標準化得点、図Ⅱ=偏差。
3. 外れ値で確認する。J2 の名古屋 85 は、偏差が
で図Ⅱの「約 31」と一致し、標準化得点が
で図Ⅰの「約 2.6」と一致する。J3 の沼津 60 も偏差 60 − 41.06 = 18.94(図Ⅱの約 19)、標準化得点 18.94 ÷ 8.06 ≈ 2.35(図Ⅰの約 2.3)で整合する。
4. 図Ⅱでは J1 の箱・ひげが最も広く J3 が最も狭い。これは標準偏差 J1 12.89 > J2 11.77 > J3 8.06 の順と一致する。標準化すると広がりがそろうので、図Ⅰで3つの箱がほぼ同じ幅なのも整合する。
以上から、総得点: Ⅲ、偏差: Ⅱ、標準化得点: Ⅰ の⑤である。
誤答の見分け方:④は偏差と標準化得点を取り違えたもの。「目盛が −2〜2 程度で、箱の幅が3カテゴリーでそろう」のが標準化得点、「目盛が元データと同じ大きさで、箱の幅がカテゴリーごとに違う」のが偏差と覚えれば区別できる。①〜③は総得点を 0 中心の図に割り当てているので即除外できる。
J2 のチーム年間総得点において、平均から標準偏差の2倍以上離れた観測値は何個あるか。次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:②
考え方:「平均から標準偏差の2倍以上離れる」とは、 を満たすことである。下限と上限を先に計算してから、表の値を数える。
計算:J2 の平均 54.45、標準偏差 11.77 より
したがって「30.91 以下」または「77.99 以上」の観測値を探す。
J2 の最小値は群馬の 32 で、30.91 より大きいので該当しない。
J2 の最大値は名古屋の 85 で、77.99 以上なので該当する。次に大きいのは徳島の 71、千葉の 70 で、いずれも 77.99 未満で該当しない。
よって該当する観測値は名古屋の 85 の1個であり、②である。
誤答の見分け方:③2個を選ぶのは、群馬 32 を「30 台だから」と雑に含めてしまった場合。下限 30.91 を計算して 32 と比べること。〔1〕の図Ⅰで J2 の標準化得点が ±2 を超える○が1つだけ描かれていることからも確認できる。
次の左の図は、2010年における47都道府県の人口(単位は万人)と常設映画館数(単位は館)の散布図である。右の図は、2010年における47都道府県の人口と一般病院病床数(単位は万床)の散布図である。
(図の概要: 左図: 横軸=人口(万人)0〜1500、縦軸=常設映画館数(館)0〜350。大半の点は人口 0〜300万人・映画館 0〜50館付近に密集し、人口が増えるほど映画館数もおおむね増える右上がりの傾向。人口約 1300万人・映画館約 305館の点に「東京都」のラベルがあり、他から大きく離れている。人口約 500万人で映画館約 190館の点も1つ突出している。右図: 横軸=人口(万人)0〜1500、縦軸=一般病院病床数(万床)0〜12。点はほぼ直線状に右上がりに並び、強い正の相関。人口約 550万人・病床約 8.5万床の点に「北海道」のラベルがあり、同程度の人口の他の都府県(病床約 5〜7万床)より上に位置している。人口最大の点(約 1300万人)は約 11.5万床。)
資料: 総務省「社会生活統計指標−都道府県の指標−2015」
次の記述Ⅰ〜Ⅲは、人口と常設映画館数の散布図に関するものである。
記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:①
考え方:散布図の読み取り問題である。点の並びの向き(右上がりか右下がりか)と、外れ値の有無を確認する。
Ⅰ(正しい):人口が多い都道府県ほど常設映画館数も多く、点は右上がりに並んでいる。正の相関があると見られる。
Ⅱ(正しい):東京都は人口約 1300万人・映画館約 305館で、他の点の集まり(人口 300万人以下・映画館 50館以下が大半)から大きく離れている。相関係数は各点の偏差の積 の和で決まるので、平均から遠い1点の寄与が非常に大きく、外れ値の影響を受けやすい。解釈に注意が必要という記述は正しい。
Ⅲ(誤り):右上がりの傾向がはっきり見えるので、「いかなる関係も見いだせない」は誤りである。
したがってⅠとⅡのみ正しく、①である。
誤答の見分け方:Ⅲは「〜いかなる関係も〜できない」という極端な表現で、散布図に傾向が見える以上、まず誤り。Ⅰが正しい時点で②以外のⅢを含む選択肢と⑤は消える。
次の記述Ⅰ〜Ⅲは、人口と一般病院病床数の散布図に関するものである。
記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:⑤
考え方:Ⅰ・Ⅲは散布図の読み取り、Ⅱは変動係数(標準偏差 ÷ 平均)の意味を問う。
Ⅰ(誤り):北海道(人口約 550万人、病床約 8.5万床)は、同程度の人口の都府県(病床約 5〜7万床)よりも「上」に位置している。つまり病床数は多い。「少ない」は逆である。
Ⅱ(正しい):変動係数は
で、平均に対する相対的なばらつきを表す。病床数そのものは、東京都の約 11.5万床から人口の少ない県の 1万床前後まで、人口の差をそのまま反映して大きくばらつく(右図で点がほぼ直線上に並ぶことが、病床数がほぼ人口に比例することを示す)。一方、人口1人当たりの病床数は人口の影響を割り算で取り除いた値であり、都道府県による差は「1人当たり 100〜150床/万人」程度の狭い範囲に収まる。したがって1人当たり病床数の変動係数の方が小さい。
Ⅲ(誤り):人口が多い9都道府県に限っても、人口最大の東京都(約 1300万人)が病床数も最大(約 11.5万床)であるなど右上がりの傾向は保たれており、負の相関は見られない。
したがってⅡのみ正しく、⑤である。
誤答の見分け方:Ⅰは「上にある=多い」を読み違えると引っかかる。④はⅠを正しいと誤読した場合。Ⅲは「上位だけ取ると相関が変わることもある」が、この図では人口最大の点が病床数も最大なので負の相関にはならない。
次の左の図は、常設映画館数と一般病院病床数の散布図である。右の図は、常設映画館数と一般病院病床数を各々人口に回帰させる単回帰モデルを最小二乗法で推定した時の残差、すなわち
における と の散布図である。
(図の概要: 左図: 横軸=常設映画館数(館)0〜350、縦軸=一般病院病床数(万床)0〜12。点は右上がりの正の相関を示し、映画館数 0〜50館・病床 1〜3万床に密集。映画館約 305館・病床約 11.5万床の点(東京都)が右上に突出。右図: 横軸=残差 e₁ −100〜200、縦軸=残差 e₂ −2〜4。大半の点は e₁ が −20〜20、e₂ が −1〜1 の原点付近に集まり、明確な相関は見られない。e₁≈120 の点が2つ(e₂≈2.5 と e₂≈0)、e₁≈−70 で e₂≈−1.9、e₁≈−60 で e₂≈1.5、e₁≈−10 で e₂≈3.4 などの点が散在している。)
次の記述Ⅰ〜Ⅲは、これらの散布図に関するものである。
記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:①
考え方:「第3の変数(人口)を通じた見かけの相関」と「偏相関係数」の定義を問う問題である。
Ⅰ(正しい):変数 (映画館数)と (病床数)をそれぞれ第3の変数 (人口)に回帰させ、その残差 , の相関係数を取ったものが、 の影響を除いた と の偏相関係数である。定義どおりの記述で正しい。偏相関係数は相関係数から
としても計算でき、これは残差どうしの相関係数と一致する。
Ⅱ(正しい):左図では映画館数と病床数に正の相関が見えるが、右図の残差どうしには明確な相関がない。つまり両者の相関は「人口が多いと映画館も病床も多い」という共通の要因によって生じた見かけ上の相関(擬相関)であり、その要因の1つが人口であると考えるのは妥当である。
Ⅲ(誤り):散布図は変数間の関係を示すだけで、「病院に併設された映画館」という因果の仕組みを示す情報はない。むしろ人口を除くと相関が消えるので、映画館と病院の直接の結びつきは支持されない。「散布図から明らか」とは言えず誤りである。
したがってⅠとⅡのみ正しく、①である。
誤答の見分け方:Ⅲのように「散布図から因果が明らか」とする記述はほぼ常に誤り。相関は因果を意味しない。Ⅰの「残差の相関=偏相関係数」は定義そのものなので、知らないと⑤や③に流れやすい。
次の表は、2011年〜2014年に調査された5か国(日本、アメリカ、スウェーデン、中国、ドイツ)の五分位階級所得割合(各家計の所得を少ない順から並べて人口で5等分したときに、それぞれの階級の所得の和の全体の所得の和に占める割合)である。なお、小数点以下2位を四捨五入しているため、合計は100とは限らない。
単位(%)
| 国 | (年) | 第1五分位階級 | 第2五分位階級 | 第3五分位階級 | 第4五分位階級 | 第5五分位階級 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | JPN | (2014) | 5.4 | 10.7 | 16.3 | 24.1 | 43.5 |
| アメリカ | USA | (2013) | 5.1 | 10.3 | 15.4 | 22.7 | 46.4 |
| スウェーデン | SWE | (2012) | 8.7 | 14.3 | 17.8 | 23.0 | 36.2 |
| 中国 | CHN | (2012) | 5.2 | 9.8 | 14.9 | 22.3 | 47.9 |
| ドイツ | DEU | (2011) | 8.4 | 13.1 | 17.2 | 22.7 | 38.6 |
資料: 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2017」
次の図は、5か国のうちのいずれかのローレンツ曲線である。
(図の概要: 横軸=人口の累積相対度数(%)0〜100、縦軸=所得の累積相対度数(%)0〜100。原点から (100, 100) への点線の完全平等線と、その下に弧を描く折れ線のローレンツ曲線。折れ線の頂点はおよそ (20, 8.5), (40, 21.5), (60, 39), (80, 61), (100, 100)。)
どの国のローレンツ曲線か。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:⑤
考え方:ローレンツ曲線は、横軸に人口の累積相対度数、縦軸に所得の累積相対度数をとった折れ線である。各国の五分位所得割合を第1階級から順に累積して、図の頂点の縦座標(約 8.5, 21.5, 39, 61)と比べればよい。
計算:各国の累積所得割合(%)
| 国 | 20%まで | 40%まで | 60%まで | 80%まで | 100%まで |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 5.4 | 16.1 | 32.4 | 56.5 | 100.0 |
| アメリカ | 5.1 | 15.4 | 30.8 | 53.5 | 99.9 |
| スウェーデン | 8.7 | 23.0 | 40.8 | 63.8 | 100.0 |
| 中国 | 5.2 | 15.0 | 29.9 | 52.2 | 100.1 |
| ドイツ | 8.4 | 21.5 | 38.7 | 61.4 | 100.0 |
例えばドイツの累積は
となり、図の頂点(約 8.5, 21.5, 39, 61)と一致する。したがって⑤ドイツである。
誤答の見分け方:最初の頂点が約 8.5 なので、第1五分位が 5 台の日本・アメリカ・中国は即除外できる。残るスウェーデン(8.7, 23.0, 40.8, 63.8)とドイツ(8.4, 21.5, 38.7, 61.4)は、2番目の頂点が 21.5 か 23.0 かで区別する。図は 21.5 なのでドイツ。
上のローレンツ曲線の国のジニ係数はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:②
考え方:ジニ係数は「完全平等線とローレンツ曲線に挟まれた部分の面積の2倍」である。横軸・縦軸を 0〜1 にとると、完全平等線の下の三角形の面積が 1/2 なので、
ローレンツ曲線の下の面積は、幅 0.2 の台形5個の和で求める。
計算:ドイツの累積所得割合(小数)を , , , , , とする。台形の面積の和は
括弧の中を1つずつ計算する。
したがって②である。
別解(公式化):5等分の場合は上の式をまとめて
と書ける。
誤答の見分け方:①0.14 は「面積の2倍」を忘れて で止めた値。⑤0.56 は逆に 2 倍を余分に掛けた値()。「三角形の面積 1/2 で割る(=2倍する)」ところまで忘れずに行う。
次の記述Ⅰ〜Ⅲは、表から作成したローレンツ曲線および表から計算したジニ係数に関する説明である。
記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:⑤
考え方:ローレンツ曲線とジニ係数の性質(曲線は必ず完全平等線の下、ジニ係数は大きいほど不平等)を使って各記述を判定する。
Ⅰ(正しい):所得を少ない順に並べて累積するので、どの国でも人口の累積 20% 時点の所得累積は 20% 未満、40% 時点は 40% 未満、…となる(表のどの国も各階級の割合が第1<第2<第3<第4<第5 と単調増加)。したがってすべての国のローレンツ曲線は完全平等線の下側に弧を描く。
Ⅱ(誤り):〔2〕と同じ手順で3か国のジニ係数を計算する。
| 国 | 累積 L₁〜L₄ | Σ(Lᵢ₋₁+Lᵢ) | G = 1 − Σ/5 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 0.054, 0.161, 0.324, 0.565 | 3.208 | 0.358 |
| アメリカ | 0.051, 0.154, 0.308, 0.535 | 3.095 | 0.381 |
| ドイツ | 0.084, 0.215, 0.387, 0.614 | 3.600 | 0.280 |
アメリカの計算例:
アメリカのジニ係数は3か国の中で最も「大きい」。しかも記述は「ジニ係数が最も小さい→最も不平等」と論理も逆である(ジニ係数は大きいほど不平等)。二重に誤り。
実際には計算しなくても、各国の累積値を見ると、アメリカの累積(5.1, 15.4, 30.8, 53.5)はどの時点でも日本・ドイツより小さい。つまりアメリカのローレンツ曲線は常に最も下にあり、ジニ係数が最大と分かる。
Ⅲ(正しい):スウェーデンの累積(8.7, 23.0, 40.8, 63.8)と中国の累積(5.2, 15.0, 29.9, 52.2)を比べると、中国はすべての時点で小さく、ローレンツ曲線が完全平等線からより遠い。ローレンツ曲線が遠いほど不平等なので、中国の方が不平等という記述は正しい。
したがってⅠとⅢのみ正しく、⑤である。
誤答の見分け方:Ⅱは「ジニ係数が小さい=不平等」と書いてあるので、数値を計算する前に定義だけで誤りと判断できる。④はⅡの論理の逆転を見逃した場合。
次の表は、2010年から2015年までの輸出物価指数(総平均、円ベース、2015年を100とする)のデータである。
| 年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 輸出物価指数 | 89.5 | 87.5 | 85.7 | 95.7 | 98.8 | 100.0 |
資料: 日本銀行「企業物価指数」
2011年の輸出物価指数の前年からの変化率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:③
考え方:前年からの変化率は「(今年 − 前年)÷ 前年」である。分母は前年(2010年)の値であることに注意する。
計算:
したがって③である。
誤答の見分け方:②−2.0% は「差 −2.0」をそのまま%と読んだ値(指数の差はパーセントポイントであって変化率ではない)。分母が 89.5 と 100 より小さいので、変化率の絶対値は差 2.0 より大きくなる。この向きだけでも②と①は除外できる。
輸出物価指数の2010年から2015年までの間の平均の変化率 は、次の【条件】を満たすようにして計算される。
【条件】 2010年の輸出物価指数は 89.5 である。2010年から2015年にかけて、前年からの変化率が常に であるならば、2015年の輸出物価指数が 100.0 となる。
の計算式として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:②
考え方:毎年同じ率 (小数)で変化すると、1年で 倍になる。2010年から2015年までは 2011, 2012, 2013, 2014, 2015 の5回の変化なので、 倍になる。これは「幾何平均」による平均変化率である。
計算:【条件】を式にすると
%表示にするため 100 倍して、②の式になる。参考までに数値は
である。
誤答の見分け方:
実験計画法では、対象のばらつきを評価できるようにしたり制御したりすることが重要である。そのための原則として「フィッシャーの3原則」が知られている。
フィッシャーの3原則の組合せについて、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:②
考え方:知識問題である。フィッシャーの3原則は「繰り返し(反復)」「無作為化(ランダム化)」「局所管理」の3つである。
| 原則 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 繰り返し(反復) | 同じ処理を複数回(複数の実験単位で)行う | 偶然誤差(実験誤差)の大きさを評価できるようにする |
| 無作為化(ランダム化) | 処理の割り付けや実験の順序をランダムに決める | 制御できない要因の影響を偶然誤差に変え、系統的な偏りを防ぐ |
| 局所管理 | 実験の場を均質な小さなブロックに分け、ブロック内で処理を比較する | ブロック間の違い(畑の場所、日、装置など)を誤差から分離し、誤差を小さくする |
この組合せに該当するのは②「繰り返し、局所管理、無作為化」である。
誤答の見分け方:「集中管理」「標準化」はフィッシャーの3原則にはない用語である。「局所」管理(ブロック化)と「集中」管理を取り違えないこと。①・③・④は「集中管理」を含むので誤り、⑤は「標準化」を含み「繰り返し」がないので誤り。
次はある大学の統計学のクラスで実施された学習時間調査である。
「履修者の男女比が 7:3 であったので、履修者の名簿をもとに男女に分けて、それぞれから無作為抽出を行い、標本の男女比が履修者の男女比と一致するようにした。」
この標本抽出方法の名称は何か。次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:⑤
考え方:母集団(履修者)を性別という属性で「層」に分け、各層の中でそれぞれ無作為抽出を行っている。しかも各層から取る人数を母集団の構成比(7:3)に合わせている。これは層化(層別)抽出、その中でも「比例配分」と呼ばれる方式である。
判断手順
| 文中の記述 | 対応する用語 |
|---|---|
| 名簿をもとに男女に分けて | 母集団を層(strata)に分割する |
| それぞれから無作為抽出 | 各層の中で独立に無作為抽出する |
| 標本の男女比が履修者の男女比と一致 | 層の大きさに比例して標本サイズを配分(比例配分) |
「分けてから、各グループの中で抽出する」のが層化抽出の特徴である。層の中は同質(性別が同じ)で、層どうしは異質になるように分けるため、単純無作為抽出よりも推定精度が上がることが多い。
誤答の見分け方
| 選択肢 | 誤りの理由 |
|---|---|
| ① 単純無作為抽出 | 名簿全体からくじ引きのように選ぶ方法。男女に分けないので、標本の男女比は 7:3 に一致するとは限らない |
| ② 系統抽出 | 名簿を並べ、最初の1人を無作為に選んだ後は等間隔(例:10人おき)に選ぶ方法。層分けはしない |
| ③ 多段抽出 | 「大学を選ぶ → その中の学部を選ぶ → その中の学生を選ぶ」のように、抽出を何段階かに分けて行う方法 |
| ④ 集落抽出 | 母集団をクラス・地域などの集落(クラスター)に分け、いくつかの集落を選んで、選ばれた集落は全員を調べる方法。層化抽出とは逆に「分けたグループのうち一部だけ」を使う |
サークルの部室にいたS君は、隣の部室にお菓子をもらいに行った。隣の部室にはT君とU君がいて、自分たちと腕相撲を3回して2連勝した時点でお菓子をあげるという。S君の対戦順序には2つの選択肢があり、「T君−U君−T君」、または「U君−T君−U君」の順である。S君がT君に勝つ確率を 、U君に勝つ確率を とし、 とする。ただし、各腕相撲の試合の勝敗は互いに独立とする。
「T君−U君−T君」の順で対戦するとき、S君がお菓子を獲得する確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:⑤
考え方:3試合の勝敗を ○(勝ち)×(負け)で書き並べると全部で 通りある。このうち「2連勝が含まれる」パターンを拾い、独立性を使って各パターンの確率を掛け算で求め、足し合わせる。
手順1:2連勝するパターンを列挙する(対戦順 T→U→T、勝つ確率は順に , , )
| 1戦目(T) | 2戦目(U) | 3戦目(T) | 2連勝? | 確率 |
|---|---|---|---|---|
| ○ | ○ | ○ | する | |
| ○ | ○ | × | する | |
| × | ○ | ○ | する | |
| ○ | × | ○ | しない | — |
| その他4通り | しない | — |
2連勝が成立するのは「1・2戦目に連勝」か「2・3戦目に連勝」のどちらかである。どちらの場合も2戦目(U君)には必ず勝っていなければならないことに注意する。
手順2:足し合わせる
「1・2戦目に連勝」の確率は、3戦目の結果を問わないので
「1戦目に負けて2・3戦目に連勝」の確率は
この2つは排反(1戦目の勝敗が異なる)なので、そのまま足せる。
よって⑤。
誤答の見分け方
| 選択肢 | どう間違えると出るか |
|---|---|
| ① pq | 「1・2戦目の連勝」しか数えていない。1戦目に負けてから2・3戦目で連勝する場合を落としている |
| ② pq + qp = 2pq | 「1・2戦目連勝」と「2・3戦目連勝」を単純に足したもの。両方が同時に起こる ○○○(確率 pqp)を二重に数えている。正しくは 2pq − pqp |
| ③ | 「1勝1敗」の確率で、2連勝とは無関係 |
| ④ pq(1−p) | ○○× の1パターンだけ。○○○ と ×○○ を落としている |
S君は、U君なら勝ちやすいと考えて、U君とより多く対戦する「U君−T君−U君」の順が有利だと考えた。この選択に対する説明として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:①
考え方:〔1〕と同じ計算を「U−T−U」の順でも行い、2つの確率の大小を のもとで比較する。
手順1:U−T−U の場合の確率 〔1〕の結果で p と q の役割を入れ替えればよい。
手順2:T−U−T の場合の確率(〔1〕より)
手順3:差をとる
, , なので、この差は常に正である。つまり p, q の具体的な値によらず、「T−U−T」の方が確率が高い。S君の選択(U−T−U)は好ましくない。よって①。
直感的な説明:2連勝するには真ん中の試合に必ず勝たなければならない。だから真ん中には勝ちやすいU君を置くべきである。強いT君と2回戦うことになるが、T君戦はどちらか片方に勝てばよい(○○× でも ×○○ でもよい)ので、U君に確実に勝つ方が効く。
数値例:p = 0.3、q = 0.6 のとき
| 順序 | 計算 | 確率 |
|---|---|---|
| T−U−T | 0.3 × 0.6 × (2 − 0.3) = 0.18 × 1.7 | 0.306 |
| U−T−U | 0.3 × 0.6 × (2 − 0.6) = 0.18 × 1.4 | 0.252 |
誤答の見分け方
| 選択肢 | 誤りの理由 |
|---|---|
| ② | 「弱い相手と多く戦う方が有利」という直感による誤り。差 pq(q−p) は正なので逆 |
| ③ | 差の符号は q − p の符号だけで決まり、0 < p < q と与えられているので値によらず結論が出る |
| ④⑤ | 2つの確率は pq(2−p) と pq(2−q) で異なる。対戦順序に依存する |
ある世帯の毎年6月における電気料金は、平均 4,000円、標準偏差 500円の独立で同一の正規分布で近似される。以下の問いに答えよ。
ある年において、6月の電気料金が 4,800円以上になる確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:②
考え方:電気料金 X は に従う。標準化して標準正規分布の上側確率表を引く。
手順1:標準化
手順2:表を引く 付表1(標準正規分布の上側確率)より、u = 1.60 の行・.00 の列を読むと
よって②。
誤答の見分け方:① 0.036 は P(Z ≥ 1.8) に相当し、800/500 の計算を誤った値。③ 0.067 は P(Z ≥ 1.5) に近い。④ 0.145 は P(Z ≥ 1.06) 前後。⑤ 0.436 は P(Z ≥ 0.16) で、標準偏差ではなく分散(250000)で割るなどの桁違いの誤り。4,800円は平均より 1.6σ 上なので、確率は「1σ で 0.16、2σ で 0.023」の間、という感覚でも②に絞れる。
ある年において、6月の電気料金がその前年の6月の電気料金より 800円以上高くなる確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:③
考え方:今年の料金を X、前年の料金を Y とすると、両者は独立に に従う。求めるのは なので、差 D = X − Y の分布を求めてから標準化する。
手順1:差の分布
独立なので、引き算でも分散は足す。標準偏差は
正規分布の和・差は正規分布なので 。
手順2:標準化
手順3:表を引く 付表1より、u = 1.13(1.1 の行・.03 の列)は
よって③。
誤答の見分け方
| 選択肢 | どう間違えると出るか |
|---|---|
| ① 0.027 | 差の分散を 500² のまま(1つ分)にすると z = 800/500 = 1.6 で 0.055。さらに標準偏差を 500/√2 などと小さくすると z ≈ 2.26 で 0.012。0.027 は z ≈ 1.93 に相当し、分散の扱いを誤った値 |
| ② 0.110 | z = 1.23 前後。標準偏差の計算誤り |
| ④ 0.212 | z = 0.8 に相当。分散 2×500² を「標準偏差 2×500 = 1000」と混同すると 800/1000 = 0.8 でこの値になる |
| ⑤ 0.500 | P(D ≥ 0)、つまり「前年より高い」確率。「800円以上」を無視している |
ある年において、6月の電気料金がその前年および前々年の6月の電気料金のどちらよりも高くなる確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:②
考え方:今年・前年・前々年の料金を , , とすると、3つは互いに独立で同一の分布に従う。求めるのは「 が3つの中で最大になる確率」である。正規分布表を使う必要はなく、対称性だけで答えが出る。
手順1:どれが最大かは対等
3つの変数は同じ分布に従い独立なので、「 が最大」「 が最大」「 が最大」の3つの事象はまったく対等で、確率はすべて等しい。
手順2:同点は無視できる
正規分布は連続型なので、2つの値がちょうど一致する確率は 0 である。したがって上の3事象は排反で、かつ必ずどれか1つが起こる。
よって②。
別の見方(順列で数える):3つの値の大小の並び方は 通りで、対称性からどの並びも等確率 1/6 である。 が最大になる並びは「 > > 」と「 > > 」の 2 通りなので、2/6 = 1/3。
誤答の見分け方
| 選択肢 | どう間違えると出るか |
|---|---|
| ① 0.250 | 「前年より高い(1/2)」かつ「前々年より高い(1/2)」を独立とみなして (1/2)×(1/2) とした誤り。2つの事象はどちらも X₁ を含むので独立ではない |
| ④ 0.500 | 「前年より高い」だけの確率(〔2〕の⑤と同じ発想) |
| ③ 0.400、⑤ 0.666 | 根拠のない値。⑤は 1 − 1/3 で「最大でない」確率 |
2つの確率変数 X と Y に関して、期待値 E[X], E[Y], E[XY] と分散 V[X], V[Y] が以下のようになっている。
それぞれの確率変数の2乗の期待値 E[X²], E[Y²] と、共分散 Cov[X,Y] について、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:④
考え方:分散の公式 を E[X²] について解き直す。共分散は定義式 で求める。
手順1:2乗の期待値
この時点で①②③は消え、④⑤に絞られる。
手順2:共分散
よって④。
誤答の見分け方
| 選択肢 | どう間違えると出るか |
|---|---|
| ①②③ | E[X²] = (E[X])² = 4.0 と誤解。分散 V[X] = 1.0 を足し忘れている(分散が 0 でない限り E[X²] > (E[X])²) |
| ②⑤ | Cov の符号を逆にした(E[X]E[Y] − E[XY] と引く順序を誤った) |
| ③ | Cov = E[X]E[Y] = 6.0 とした誤り |
X と Y に、それぞれ次のような一次変換を施して、新しい確率変数 U と V をつくる。
この時、U と V の共分散 Cov[U,V] と相関係数 r[U,V] の値として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:④
考え方:一次変換 , に対して、共分散は となる(定数 b, d は無関係)。相関係数は大きさが変わらず、a と c の符号の積だけで符号が決まる。
手順1:共分散 a = 3, c = −2 なので
この時点で④⑤に絞られる。
手順2:相関係数 まず元の相関係数を求める。
U, V の分散は係数の2乗倍になる。
よって④。係数の符号の積 3 × (−2) < 0 なので、相関係数は元の 0.3 から符号だけ反転して −0.3 になる、と見れば計算なしでも分かる。
誤答の見分け方
| 選択肢 | どう間違えると出るか |
|---|---|
| ① | 共分散が一次変換で変わらないと誤解(相関係数と混同) |
| ②③ | Cov[X,Y] = 0.3 を掛け忘れ、係数の積 ±6 だけを答えた |
| ⑤ | 共分散が負なのに相関係数が正になっている。両者の符号は必ず一致するので、この組合せは起こりえない |
確率変数 が互いに独立にそれぞれ平均 μ、分散 σ² (> 0) の正規分布に従うとする。標本平均を 、不偏分散を とおく。
σ² = 1 のとき、確率 を満たす最小の標本サイズ n はいくらか。次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:④
考え方:標本平均 は に従う。σ² = 1 なので標準偏差は 。標準化して「|Z| ≤ 1.96 となる確率が 0.95」という事実に当てはめ、n の不等式を解く。
手順1:標本平均の分布
手順2:条件を Z で書き直す
手順3:0.95 になる境界 付表1より P(Z ≥ 1.96) = 0.0250 なので、両側で P(|Z| ≤ 1.96) = 1 − 2 × 0.025 = 0.95。P(|Z| ≤ c) は c について増加関数なので、確率が 0.95 以上になる条件は
手順4:n について解く
これを満たす最小の整数は n = 16。よって④。
検算:n = 16 なら 0.5√16 = 2.0 で、P(|Z| ≤ 2.0) = 1 − 2 × 0.0228 = 0.9544 ≥ 0.95。n = 11 なら 0.5√11 ≈ 1.66 で、P(|Z| ≤ 1.66) = 1 − 2 × 0.0485 = 0.903 < 0.95(付表1より)。確かに 16 が最小。
誤答の見分け方:③ 11 は境界値を 1.645(片側 5%点)にすると √n ≥ 3.29、n ≥ 10.8 → 11 となる。「95%」を片側で読んだ誤り。① 4 は 0.5√n ≥ 1 などとした場合。⑤ 22 は境界値を 2.33 前後にした場合。
n = 20 のとき、、S² = 5.41 を得たとする。そのとき、μ の95%信頼区間として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:①
考え方:母分散 σ² が未知で、代わりに不偏分散 S² を使うので、t 分布による信頼区間になる。自由度は n − 1 = 19。区間の幅を決める標準誤差は で、分母はn = 20である(19 ではない)。
手順1:使う統計量
手順2:t の限界値 付表2(t 分布のパーセント点)より、自由度 19、上側確率 α = 0.025 の点は
(2.086 は自由度 20 の値であり、自由度を n − 1 にし忘れた場合の数字。)
手順3:信頼区間
よって①。数値にすると √5.41 ≈ 2.326、√20 ≈ 4.472 なので、幅は 2.093 × 2.326 / 4.472 ≈ 1.089、区間は約 [9.41, 11.59] である。
誤答の見分け方
| 選択肢 | どう間違えると出るか |
|---|---|
| ②④ | 標準誤差の分母を n − 1 = 19 にしている。自由度が 19 なのは t 分布の方であって、S/√n の n は標本サイズ 20 のまま |
| ③④ | t の値を自由度 20 の 2.086 にしている。自由度は n − 1 = 19 |
| ⑤ | √n で割っていない。これは「1個の観測値のばらつき」で、標本平均のばらつきではない |
次の表は、北海道および沖縄県において、過去1年間に野球(キャッチボールを含む)をおこなった15歳以上の割合(行動者率)をまとめたものである。
| 都道府県 | 標本サイズ | 野球の行動者率(%) | 15歳以上の推定人口(千人) |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 4,633 | 7.1 | 4,542 |
| 沖縄県 | 2,849 | 9.2 | 1,150 |
資料: 総務省「平成28年社会生活基本調査」
データは単純無作為抽出されたとして、以下の問いに答えよ。ただし、上の表の15歳以上の推定人口には誤差がなく真の15歳以上人口であるとして答えよ。
北海道における野球の行動者の母比率の95%信頼区間として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:③
考え方:母比率 p の信頼区間は、標本比率 を中心に、標準誤差 の 1.96 倍を足し引きしたものである(n が大きいので正規近似)。
手順1:数値の確認 北海道の標本比率は 、標本サイズは n = 4633。
手順2:標準誤差
(√(1.424 × 10⁻⁵) = √1.424 × 10⁻²·⁵ ≈ 1.193 × 0.00316 ≈ 0.00377。手計算では「0.0038² = 0.00001444」で近いことを確かめればよい。)
手順3:信頼区間の幅 付表1より両側 95% の限界値は 1.96 なので
よって③。
誤答の見分け方
| 選択肢 | どう間違えると出るか |
|---|---|
| ② 0.004 | 1.96 を掛け忘れ、標準誤差そのもの(0.00377)を答えた |
| ① 0.001 | 標準誤差を √n で割るなど、さらに小さくした誤り |
| ④ 0.010 | p̂(1−p̂) を最大値 0.25 で置き換えると 1.96 × √(0.25/4633) = 0.0144。それより小さいが、p̂(1−p̂) の計算誤りなど |
| ⑤ 0.503 | √(p̂(1−p̂)) = 0.257 を n で割らずに 1.96 倍した値。区間が [−0.43, 0.57] と比率の範囲を大きく超えるので明らかに不適 |
次の文章は北海道と沖縄県の全体における野球の行動者の母比率の推定について述べたものである。
「表の数値をそれぞれ
とおく。このとき北海道と沖縄県の全体における野球の行動者の母比率の推定値は(ア)となり、その標準誤差は(イ)となる。」
文中の(ア),(イ)にあてはまるものの組合せとして、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:②
考え方:2つの県を合わせた「全体の母比率」は、全体の行動者数を全体の人口で割ったものである。北海道の人口は沖縄県の約4倍なので、単純平均ではなく人口で重み付けした平均になる(層化抽出における母比率の推定と同じ構造)。その標準誤差は、2県の標本が独立であることを使い、「重み付き和の分散=重みの2乗×各分散の和」で求める。
手順1:(ア)全体の母比率の推定値
全体の母比率 p は、行動者数の合計を人口の合計で割ったもの。
p₁, p₂ を標本比率で置き換えれば推定値になる。
これで①②に絞られる(③④の単純平均、⑤の和は不適)。
手順2:(イ)標準誤差
2県の標本は別々に単純無作為抽出されているので と は独立。重み w₁, w₂ は定数(人口は誤差なしと問題文にある)なので
各県の標本比率の分散は〔1〕と同じ形 なので、平方根をとって
よって②。
数値で確認(試験では不要だが感覚をつかむため)
| 量 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| w₁ | 4542 / (4542 + 1150) = 4542 / 5692 | 0.798 |
| w₂ | 1150 / 5692 | 0.202 |
| (ア)p̂ | 0.798 × 0.071 + 0.202 × 0.092 | 0.0752 |
| V[p̂₁] | 0.071 × 0.929 / 4633 | 1.424 × 10⁻⁵ |
| V[p̂₂] | 0.092 × 0.908 / 2849 | 2.932 × 10⁻⁵ |
| (イ)SE | √(0.798² × 1.424×10⁻⁵ + 0.202² × 2.932×10⁻⁵) | 0.0032 |
全体の推定値 0.075 は北海道の 0.071 に近く(人口の 8 割を占めるため)、標準誤差 0.0032 は北海道単独の 0.0038 より少し小さい。
誤答の見分け方
| 選択肢 | 誤りの理由 |
|---|---|
| ① | (ア)は正しいが、(イ)で2つの標準誤差の差をとっている。独立な変数の重み付き和の分散は「2乗の和」であって、標準誤差の引き算にはならない |
| ③ | (ア)が単純平均。人口差(約4倍)を無視している。(イ)も標準誤差を単純に足しており、分散ではなく標準偏差を足す誤り |
| ④ | (イ)が定数 1/2 で、標本サイズや比率に依存しない標準誤差はありえない |
| ⑤ | 比率の「和」は比率にならない(合計が 1 を超えうる) |
次の表は、2017年度プロ野球におけるリーグ毎の球団別ホームゲーム年間入場者数(単位は万人)である。
セントラル・リーグの球団別年間入場者数
| 球団A | 球団B | 球団C | 球団D | 球団E | 球団F | 平均 | 偏差平方和 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 218 | 303 | 198 | 296 | 201 | 186 | 233.7 | 13,549 |
パシフィック・リーグの球団別年間入場者数
| 球団G | 球団H | 球団I | 球団J | 球団K | 球団L | 平均 | 偏差平方和 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 209 | 177 | 167 | 145 | 161 | 253 | 185.3 | 7,763 |
資料: 日本野球機構
各リーグ内において入場者数は独立で同一の正規分布に従い、かつ、セントラル・リーグとパシフィック・リーグの各球団の年間入場者数の母分散は等しいと見なし、両リーグの球団別年間入場者数の母平均に差があるかどうかを2つの方法で検定したい。
2つの母平均の差に関する t 検定を行う。t-値として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:④
考え方:母分散が等しい(等分散)と見なせる2標本の t 検定である。2群の偏差平方和を合わせてプールした分散を作り、それで平均の差を標準化する。偏差平方和が表に与えられているので、プール分散は「偏差平方和の和 ÷ 自由度の和」で一発で求まる。
計算:n₁ = n₂ = 6、偏差平方和 S₁ = 13,549、S₂ = 7,763。
よって ④。自由度は n₁ + n₂ − 2 = 10 で、付表より t0.025(10) = 2.228 なので、両側5%では棄却されない(参考)。
誤答の見分け方:
| 選択肢 | どう間違えると出るか |
|---|---|
| ① 0.07 | 平方根をとり忘れ、差 48.4 を分散 710.4 で割った値(48.4 / 710.4 = 0.068) |
| ③ 1.05 | 標準誤差の計算で 1/n₁ + 1/n₂ = 1/3 をかけ忘れ、√2131.2 ≈ 46.2 で割った値(48.4 / 46.2 = 1.05) |
| ⑤ 2.00 | プール分散の分母を自由度 10 ではなく 12(n₁ + n₂)にした値(21312 / 12 = 1776、√(1776 / 3) = 24.3、48.4 / 24.3 = 1.99) |
同様の帰無仮説・対立仮説に対して、一元配置分散分析を行うことを考える。一元配置分散分析における F-値として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:④
考え方:群が2つだけの一元配置分散分析は、等分散を仮定した2標本 t 検定と同じ検定であり、F = t² が成り立つ。〔1〕の t ≈ 1.82 から F ≈ 1.82² ≈ 3.30 と即答できる。ここでは確認のため分散分析表も作る。
計算:全体平均は、各群 6 球団ずつなので 2 群の平均の平均になる。
群間平方和(各群の平均と全体平均の差の2乗 × 群のサイズ の和):
群内平方和は各群の偏差平方和の和:SW = 13,549 + 7,763 = 21,312。
| 変動要因 | 平方和 | 自由度 | 平均平方 | F-値 |
|---|---|---|---|---|
| 群間(リーグ) | 7027.7 | k − 1 = 1 | 7027.7 | 7027.7 / 2131.2 ≈ 3.30 |
| 群内(誤差) | 21312 | n − k = 12 − 2 = 10 | 2131.2 | |
| 全体 | 28339.7 | n − 1 = 11 |
t² = 1.82² = 3.31 ともほぼ一致する(丸めの差)。よって ④。付表より F0.05(1, 10) = 4.965 なので、有意水準5%では帰無仮説は棄却されない。これは〔1〕の t 検定(両側5%、t0.025(10) = 2.228 で 2.228² = 4.96)と同じ結論である。
誤答の見分け方:
| 選択肢 | どう間違えると出るか |
|---|---|
| ① 0.14 | 平方和を自由度で割らずに比をとる、分子と分母を逆にするなど、平均平方を作らなかった値 |
| ③ 1.66 | 群間平方和を片方の群だけ(6 × 24.2² = 3513.8)で計算した 3513.8 / 2131.2 = 1.65 |
| ⑤ 4.01 | 群内の自由度を 10 ではなく 12 にした値(7027.7 / (21312 / 12) = 3.96) |
離散型の確率変数 X の分布が、次の P₀ または P₁ のいずれかであるとする。X の1回の観測に基づき、帰無仮説を H₀: X の分布は P₀ である、対立仮説を H₁: X の分布は P₁ である、とする検定を考える。
H₀ の下での X の分布 (P₀)
| x | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| P(X = x) | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.15 | 0.25 | 0.3 |
H₁ の下での X の分布 (P₁)
| x | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| P(X = x) | 0.4 | 0.3 | 0.2 | 0.05 | 0.05 | 0 |
棄却域を X ≤ 3 とする検定(検定Ⅰとよぶことにする)に関する記述として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:④
考え方:用語の定義に戻る。
| 用語 | 定義 | 計算の仕方 |
|---|---|---|
| 第一種の過誤の確率 α | H₀ が正しいのに棄却してしまう確率 | H₀(P₀)の下で X が棄却域に入る確率 |
| 第二種の過誤の確率 β | H₁ が正しいのに棄却しない確率 | H₁(P₁)の下で X が棄却域に入らない確率 |
| 検出力 1 − β | H₁ が正しいときに正しく棄却する確率 | H₁(P₁)の下で X が棄却域に入る確率 |
計算:棄却域は X ≤ 3、つまり X = 1, 2, 3。
第一種の過誤の確率 0.3、検出力 0.9(第二種の過誤の確率 0.1)なので ④。
誤答の見分け方:①は β を 0.7(P₀ で棄却域に入らない確率)と取り違えたもの。②③は α を「P₀ で棄却域に入らない確率 0.7」と取り違えたもの。⑤は検出力と β を入れ替えたもの。「どちらの分布で」「棄却域に入るか入らないか」の2点を機械的に当てはめれば迷わない。
棄却域を X ≤ 2 とする検定を検定Ⅱとよび、棄却域を X = 6 とする検定を検定Ⅲとよぶことにする。検定Ⅰ、検定Ⅱ、検定Ⅲの比較に関する記述として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:②
考え方:3つの検定それぞれについて、有意水準(α = P₀ で棄却域に入る確率)と検出力(P₁ で棄却域に入る確率)を計算して並べる。
| 検定 | 棄却域 | 有意水準 α = P₀(棄却域) | 検出力 = P₁(棄却域) |
|---|---|---|---|
| Ⅰ | X ≤ 3 | 0.1 + 0.1 + 0.1 = 0.3 | 0.4 + 0.3 + 0.2 = 0.9 |
| Ⅱ | X ≤ 2 | 0.1 + 0.1 = 0.2 | 0.4 + 0.3 = 0.7 |
| Ⅲ | X = 6 | 0.3 | 0 |
各選択肢の判定:
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ① | 誤 | ⅠとⅢはともに α = 0.3 だが、検出力はⅠが 0.9、Ⅲが 0 で、Ⅲの方が低い。 |
| ② | 正 | ⅠとⅢはともに α = 0.3 で、検出力はⅠ(0.9)>Ⅲ(0)。 |
| ③④ | 誤 | Ⅰの有意水準は 0.3 であり 0.2 ではない(Ⅱは 0.2)。有意水準が違う検定の検出力を単純比較しても意味がない。 |
| ⑤ | 誤 | 検出力は 0.9、0.7、0 で異なる。 |
検定Ⅲは「H₁ の下では絶対に起きない X = 6 を棄却域にする」ので、H₁ が正しいときに絶対に棄却できない(検出力 0)。同じ有意水準 0.3 でも、棄却域の選び方で検出力は大きく変わる。P₁/P₀ の比(尤度比)が大きい x から順に棄却域に入れるⅠの方が優れた検定である。
Tさんは47都道府県別のデータを用いて次の重回帰モデルを推定した。
ここで、「犯罪発生率」は人口10万人当たりの刑法犯認知件数(単位は人口10万対件数)、「失業率」は完全失業率(単位は%)、「賃金」は一般労働者の一ヶ月の1人当たりの平均給与額(単位は千円)、「警察官数」は人口10万人当たりの警察官数(単位は人口10万対人数)である。
統計ソフトウェアを利用して、上記の重回帰モデルを推定したところ、次の出力結果を得た。なお、出力結果の一部を加工している。
出力結果
Coefficients:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
(Intercept) -7.08851 1.92346 -3.685 0.000635
失業率 0.09408 0.05541 1.698 0.096773
log(賃金) 2.41815 0.31781 7.609 1.71e-09
log(警察官数) -0.06498 0.22718 -0.286 0.776233
---
Residual standard error: 0.2077 on 43 degrees of freedom
Multiple R-squared: 0.6062, Adjusted R-squared: 0.5787
F-statistic: 22.06 on 3 and 43 DF, p-value: 8.353e-09
資料: 警察庁「平成28年警察白書」、総務省「平成28年地方公務員給与実態調査」、総務省「人口推計(平成28年10月1日現在)」、総務省「労働力調査参考資料 2016年平均都道府県別結果(モデル推計値)」、厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」
失業率が 2.8、log(賃金) が 5.6、log(警察官数) が 5.3 のとき、log(犯罪発生率) の予測値として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:⑤
考え方:Estimate 列の値がそのまま推定された回帰式の係数である。与えられた説明変数の値を代入するだけでよい。log(賃金)・log(警察官数) はすでに対数をとった値が与えられているので、そのまま代入する。
計算:
よって ⑤。試験では概算でよい。−7.1 + 0.26 + 13.5 − 0.34 ≈ 6.4 で十分に選択肢が絞れる。
誤答の見分け方:④ 5.6 は log(賃金) の値そのもの、③ 4.2 前後は切片の符号を誤って処理した場合などに出る。log(犯罪発生率) の予測値であって犯罪発生率そのものではない(e6.4 などに戻す必要はない)ことにも注意する。
β₃ の値は大体 −0.5 であるという主張があったとする。この説を検証するため仮説検定を行うことにした。帰無仮説 β₃ = −0.5、対立仮説 β₃ ≠ −0.5 の仮説検定が棄却される有意水準として、次の①〜⑤のうちから最も小さいものを一つ選べ。
正解:④
考え方:出力の t value と Pr(>|t|) は「係数 = 0」を帰無仮説とした検定の値なので、そのままでは使えない。帰無仮説が「β₃ = −0.5」なら、t 統計量を自分で作り直す。
計算:
この t は自由度 43(= 47 − 3 − 1、出力の「43 degrees of freedom」)の t 分布に従う。両側検定なので、有意水準 α で棄却されるのは |t| が上側 α/2 点を超えるとき。付表2には自由度 43 の行がないので、隣接する自由度 40 と 60 の値で挟んで判断する。
| 両側有意水準 | 15% | 10% | 5% | 1% | 0.1% |
|---|---|---|---|---|---|
| 上側確率 α/2 | 7.5% | 5% | 2.5% | 0.5% | 0.05% |
| t(40) の上側点(付表) | — | 1.684 | 2.021 | 2.704 | — |
| t(60) の上側点(付表) | — | 1.671 | 2.000 | 2.660 | — |
自由度 40 でも 60 でも、t = 1.915 は「上側5%点(両側10%)」は超えるが「上側2.5%点(両側5%)」は超えない。したがって両側10%では棄却されるが、5%では棄却されない。棄却される最小の有意水準は 10% で ④。
注意:出力の Pr(>|t|) = 0.776 は「β₃ = 0」の検定の P-値であり、本問の帰無仮説とは異なる。これを見て「どの水準でも棄却されない」としてはいけない。
次の記述Ⅰ〜Ⅲは、出力結果に関するものである。
記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:④
出力の読み方:
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| Estimate | 回帰係数の推定値(切片 α、β₁、β₂、β₃) |
| Std. Error | 係数の標準誤差 |
| t value | Estimate ÷ Std. Error。H₀: 係数 = 0 の検定統計量(例: 2.41815 / 0.31781 = 7.609) |
| Pr(>|t|) | H₀: 係数 = 0 に対する両側 P-値。1.71e-09 は 1.71×10⁻⁹ |
| Residual standard error | 残差の標準偏差 σ̂ = 0.2077。自由度 = n − k − 1 = 47 − 3 − 1 = 43 |
| Multiple R-squared | 決定係数 R² = 0.6062(変数を増やすと必ず増える) |
| Adjusted R-squared | 自由度調整済み R² = 0.5787(常に R² 以下。モデル比較に使う) |
| F-statistic | H₀: β₁ = β₂ = β₃ = 0(定数項を除く全係数が 0)の検定。自由度 (3, 43)、P-値 8.353×10⁻⁹ |
各記述の判定:
| 記述 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 正 | Pr(>|t|) < 0.01 の係数を数える。(Intercept) 0.000635 と log(賃金) 1.71×10⁻⁹ の2つが 1% 未満。失業率 0.0968 と log(警察官数) 0.776 は 1% より大きい。よって 2 個で正しい。 |
| Ⅱ | 誤 | log(賃金) の係数は +2.418 で正、しかも高度に有意。他の変数を一定として賃金が高いほど log(犯罪発生率) は高くなる傾向を示す。「低い傾向」は逆。 |
| Ⅲ | 正 | Adjusted R-squared: 0.5787 ≈ 0.58。 |
ⅠとⅢが正しいので ④。
(参考)自由度調整済み決定係数の定義で確認すると
で出力と一致する。
「冬は北からの風が多い」と言われている。そのことを確かめるために、ある都市について、2017年1月1日から12月31日までの毎日の最多風向(以下「風向」)を調べた。冬季(1月、2月、11月、12月)とそれ以外の季節とに分けて「風向が北(北西、北北西、北、北北東、北東)の日」とそうでない日とを集計したところ、次の表を得た。
| 季節 \ 風向 | 北 | それ以外 |
|---|---|---|
| 冬季 | 105 | 15 |
| それ以外 | 102 | 143 |
資料: 気象庁「過去の気象データ」
季節と風向の独立性の下での「冬季」に「風向が北である」期待度数として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。
正解:③
考え方:独立性の下での期待度数は「行の合計 × 列の合計 ÷ 総数」。まず周辺度数(行計・列計・総計)を求める。
| 季節 \ 風向 | 北 | それ以外 | 計 |
|---|---|---|---|
| 冬季 | 105 | 15 | 120 |
| それ以外 | 102 | 143 | 245 |
| 計 | 207 | 158 | 365 |
計算:
よって ③。同様に他のセルの期待度数は、冬・それ以外 = 120×158/365 = 51.95、非冬・北 = 245×207/365 = 138.95、非冬・それ以外 = 245×158/365 = 106.05 で、選択肢の②④⑤はこれら他のセルの期待度数である。2×2 表では、1つのセルを求めれば残りは周辺度数から引き算で出る(120 − 68.05 = 51.95 など)。
観測度数 105 に対し期待度数は 68.05 で、冬季に北風の日が期待よりかなり多いことがわかる。
季節と風向の独立性の検定を行うための χ² 統計量の計算式として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。
正解:②
考え方:独立性の検定の χ² 統計量は、全セルについて「(観測度数 − 期待度数)² ÷ 期待度数」を足し合わせたものである。
分母が期待度数になっているのは ② だけである。
各選択肢の判定:
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ① | 誤 | 分母が観測度数になっている。 |
| ② | 正 | (O − E)²/E の和。 |
| ③ | 誤 | 分母が総数 365 で、セルごとに期待度数で割っていない。 |
| ④ | 誤 | 分母が観測度数で、しかも分母まで2乗している。 |
| ⑤ | 誤 | (O − E)/E を2乗しており、分母が E² になっている。 |
参考までに ② の値を計算すると、2×2 表では |O − E| が全セルで等しく 36.95 になるので
となり、〔3〕の問題文にある値と一致する。
この表を用いて独立性の検定を行った際の結論について、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。ただし、設問〔2〕の選択肢①〜⑤の値は、それぞれ約 126.96, 69.04, 14.96, 6.39, 0.99 であることを用いてよい。
正解:⑤
考え方:独立性の検定は、帰無仮説 H₀「季節と風向は独立(関連がない)」、対立仮説 H₁「独立でない(関連がある)」。χ² 統計量は観測と期待のずれが大きいほど大きくなるので、棄却域は常に上側(右側)だけである。
計算:〔2〕の正解②の値より χ² = 69.04。自由度は (行数 − 1) × (列数 − 1) = (2 − 1) × (2 − 1) = 1。付表3より自由度1の χ² 分布の上側5%点は χ²0.05(1) = 3.84。
よって有意水準5%で H₀ を棄却し、「季節と風向には関連がある」と結論する。⑤。(上側1%点 6.63 も大きく超えており、P-値はきわめて小さい。)
各選択肢の判定:
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ①② | 誤 | 「下側5%点」との比較は誤り。χ² 検定の棄却域は上側である。 |
| ③ | 誤 | χ² 検定は片側(上側)検定であり「両側5%点」は使わない。 |
| ④ | 誤 | 限界値の扱いは正しいが、帰無仮説(独立)を棄却した結論は「関連がある」であって「関連があるとはいえない」ではない。 |
| ⑤ | 正 | 上側5%点 3.84 より大きいので棄却、関連があるといえる。 |
生徒数が21人のクラスAと41人のクラスBで数学の試験を行った。その点数の標準偏差はクラスAが 19.5、クラスBが 14.5 であった。ただし、標準偏差は不偏分散の平方根で計算している。次の文章はクラス間の等分散性の検定について述べたものである。
各々のテストの点数は正規分布に従うと仮定する。帰無仮説を「クラス間の分散が等しい」、対立仮説を「クラス間の分散が等しくない」とおき、有意水準5%で検定する。自由度 (20, 40) の F 分布に従う統計量を計算すると(ア)となり、有意水準5%の検定より帰無仮説を(イ)。
文中の(ア),(イ)にあてはまるものの組合せとして、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを選べ。
正解:②
考え方:2つの正規母集団の等分散性の検定では、不偏分散の比
が、H₀ の下で自由度 (nA − 1, nB − 1) の F 分布に従うことを使う。問題文の「自由度 (20, 40)」から、分子がクラスA(21 − 1 = 20)、分母がクラスB(41 − 1 = 40)である。
計算:標準偏差が与えられているので、2乗して不偏分散に直してから比をとる。
(ア)は 1.81 である。
判定:対立仮説が「等しくない」なので両側検定。分子に大きい方の分散を置いているので、上側の限界値と比べればよく、有意水準5%の両側検定では上側 2.5% 点を使う。付表4(α = 0.025)より
したがって帰無仮説は棄却されない。(イ)は「棄却しない」で ②。
なお、仮に片側検定として上側5%点 F0.05(20, 40) = 1.839(付表)と比べても 1.81 < 1.839 で棄却されないので、いずれにせよ結論は「棄却しない」になる。
誤答の見分け方:
| 選択肢 | どう間違えると出るか |
|---|---|
| ① 1.34 | 標準偏差の比 19.5 / 14.5 = 1.34 をそのまま F にした(分散にしていない) |
| ③ 1.81・棄却する | 統計量は正しいが、限界値 2.068(または 1.839)との比較を誤った |
| ④⑤ 2.13 | 分散比の計算からは出てこない値。統計量を正しく計算できていれば除外できる |
| 問 | 解答番号 | 正解 | 問 | 解答番号 | 正解 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 問1〔1〕 | 1 | ⑤ | 問9〔1〕 | 18 | ④ | |
| 問1〔2〕 | 2 | ② | 問9〔2〕 | 19 | ④ | |
| 問2〔1〕 | 3 | ① | 問10〔1〕 | 20 | ④ | |
| 問2〔2〕 | 4 | ⑤ | 問10〔2〕 | 21 | ① | |
| 問2〔3〕 | 5 | ① | 問11〔1〕 | 22 | ③ | |
| 問3〔1〕 | 6 | ⑤ | 問11〔2〕 | 23 | ② | |
| 問3〔2〕 | 7 | ② | 問12〔1〕 | 24 | ④ | |
| 問3〔3〕 | 8 | ⑤ | 問12〔2〕 | 25 | ④ | |
| 問4〔1〕 | 9 | ③ | 問13〔1〕 | 26 | ④ | |
| 問4〔2〕 | 10 | ② | 問13〔2〕 | 27 | ② | |
| 問5 | 11 | ② | 問14〔1〕 | 28 | ⑤ | |
| 問6 | 12 | ⑤ | 問14〔2〕 | 29 | ④ | |
| 問7〔1〕 | 13 | ⑤ | 問14〔3〕 | 30 | ④ | |
| 問7〔2〕 | 14 | ① | 問15〔1〕 | 31 | ③ | |
| 問8〔1〕 | 15 | ② | 問15〔2〕 | 32 | ② | |
| 問8〔2〕 | 16 | ③ | 問15〔3〕 | 33 | ⑤ | |
| 問8〔3〕 | 17 | ② | 問16 | 34 | ② |
出典: 統計検定2級 2018年6月試験(Kindle版問題集より転記)。図はスクリーンショットから切り抜いて埋め込み。