統計検定2級 2019年11月 問題・正解・解説

全18問・解答番号1〜35。選択肢をクリックすると正誤判定され、「正解と解説」が開く。未解答のまま「正解と解説」を開くと不正解扱いになる。解答状態はこのブラウザに保存される。

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この回の問題から見える「解き方のコツ」

1. 記述Ⅰ〜Ⅲの正誤問題(問4・11・12・14・17・18)は「常に・すべて・必ず」を疑う

2. 計算問題は「公式に入れる前に、半幅/全幅・分散/標準偏差を確認」

3. 式の形を選ぶ問題(問3・10・17〔1〕)は添字・次元で消去

4. 統計ソフト出力(問18)は読む場所が決まっている

5. 図の読み取り(問1・2・5)は1記述を1事実で検証

6. 時間配分

問1(解答番号 1・2)

2018年12月1日〜12月31日の、東京・名古屋・大阪・広島・福岡(以下「5都市」)の平均気温(日ごとの値、単位:℃)の箱ひげ図が与えられている。

なお、これらの箱ひげ図では、"「第1四分位数」−「四分位範囲」×1.5" 以上の値をとるデータの最小値、および "「第3四分位数」+「四分位範囲」×1.5" 以下の値をとるデータの最大値までひげを引き、これらよりも外側の値を外れ値として○で示している。

(図の概要: 東京のみ上側に外れ値2点(約17℃・18℃)。中央値は東京≈8.2、名古屋≈7.8、大阪≈9.1、広島≈8.0、福岡≈9.5 付近)

資料: 気象庁「気象観測データ」

問1 5都市(東京・名古屋・大阪・広島・福岡)の2018年12月の平均気温の箱ひげ図
問1 5都市(東京・名古屋・大阪・広島・福岡)の2018年12月の平均気温の箱ひげ図

〔1〕解答番号 1

次の表は、5都市の平均気温の度数分布表である。(A)〜(E)は、それぞれ東京・名古屋・大阪・広島・福岡のいずれかを表している。

階級(A)(B)(C)(D)(E)
0℃以上 2℃未満00001
2℃以上 4℃未満13103
4℃以上 6℃未満75365
6℃以上 8℃未満79568
8℃以上10℃未満95975
10℃以上12℃未満22345
12℃以上14℃未満35452
14℃以上16℃未満01422
16℃以上18℃未満21000
18℃以上20℃未満00210

東京の度数として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. (A)
  2. (B)
  3. (C)
  4. (D)
  5. (E)
正解と解説

正解:①

考え方 箱ひげ図で東京だけが持つ特徴(上側の外れ値2点)を、度数分布表の「上の階級」で探す。

  1. 箱ひげ図では東京のみ上側に外れ値が2点(約17℃・18℃)ある。どちらも「16℃以上18℃未満」の階級に入る(18℃ちょうど付近でも18℃未満なら同階級)。
  2. 「16℃以上18℃未満」の度数が2なのは (A) だけ。(B)は1、(C)(D)(E)は0。
  3. 確認: 東京の中央値≈8.2℃。(A)の最頻階級は「8℃以上10℃未満」(度数9)で、累積度数も 0+1+7+7=15 → 16番目(31日の中央)が8〜10℃階級に入り整合する。

誤答の判別 (C)は18〜20℃階級に2つあり、外れ値がもっと高い位置(18℃超)になるので東京ではない。(D)(E)は16℃以上の度数が0〜1で、外れ値2点を説明できない。

ポイント 箱ひげ図と度数分布表の対応づけは「その都市にしかない特徴(外れ値・最大最小の階級)」→「中央値の入る階級」の順に絞る。外れ値の○も実データなので、度数分布表に必ず数えられている。

〔2〕解答番号 2

5都市の平均気温の箱ひげ図から読み取れることとして、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 平均気温の範囲が最も大きい都市は広島である。
  2. 平均気温の四分位範囲が最も小さい都市は名古屋である。
  3. 平均気温の第1四分位数が最も大きい都市は福岡である。
  4. 平均気温の中央値が最も小さい都市は大阪である。
  5. 平均気温の最大値が最も小さい都市は東京である。
正解と解説

正解:③

考え方 箱ひげ図の各パーツが何を表すかを固定してから、選択肢を1つずつ検証する。

統計量箱ひげ図での読み方
最小値・最大値ひげの端 または外れ値○のうち最も外側の点
範囲最大値 − 最小値(外れ値を含めて測る)
第1四分位数 Q1箱の下端
中央値箱の中の線
第3四分位数 Q3箱の上端
四分位範囲 IQRQ3 − Q1 = 箱の長さ
  1. ① 範囲は外れ値も含めて「一番上の点 − 一番下の点」。東京は外れ値が約18℃まであり、最小値も広島と同程度なので、範囲が最大なのは東京。広島ではない → 誤り。
  2. ② 箱の長さ(IQR)を比べる。名古屋の箱は最も短くはなく、より短い箱の都市がある → 誤り。
  3. ③ 箱の下端(Q1)が最も高い位置にあるのは福岡(中央値も≈9.5で最も高く、箱全体が上寄り) → 正しい。
  4. ④ 中央値(箱の中線)が最も低いのは名古屋(≈7.8)。大阪は≈9.1で高い側 → 誤り。
  5. ⑤ 東京の最大値は外れ値の約18℃であり、5都市で最も大きい。ひげの上端だけ見て「最大値が小さい」と読むのが典型的なひっかけ → 誤り。
ポイント ひげの上端は「Q3 + 1.5×IQR 以内の最大値」であって、データの最大値ではない。○で示された外れ値も実データなので、最大値・最小値・範囲は外れ値を含めて読む。Q1=箱の下端、Q3=箱の上端、IQR=箱の長さ。

問2(解答番号 3・4・5)

1990年および2015年のそれぞれにおける、47都道府県の男性と女性の50歳時未婚率(50歳時における未婚の割合、単位:%)の散布図が与えられている。

(図の概要: 横軸=男性の50歳時未婚率、縦軸=女性の50歳時未婚率。1990年は男性約2〜11%・女性約2〜9%で相関は弱め、2015年は男性約18〜26%・女性約10〜20%で正の相関が明瞭)

資料: 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」

問2 1990年・2015年の47都道府県の男性・女性の50歳時未婚率の散布図
問2 1990年・2015年の47都道府県の男性・女性の50歳時未婚率の散布図

〔1〕解答番号 3

散布図からわかることとして、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 1990年において、女性の50歳時未婚率が8%を超えている都道府県は2つある。
  2. 1990年の男性の50歳時未婚率は、すべての都道府県において10%未満である。
  3. 一部の都道府県では、2015年における男性の50歳時未婚率が1990年よりも低い。
  4. 2015年において、すべての都道府県で女性の50歳時未婚率は男性の50歳時未婚率よりも低い。
  5. 2015年において、女性の50歳時未婚率が最も低い都道府県は、男性の50歳時未婚率も最も低い。
正解と解説

正解:④

考え方 散布図上に補助線(y=8、x=10、y=x)を引いて各記述を確かめる。

  1. ① 1990年の縦軸 8% の水平線より上にある点の数を数える。図では8%超は1点程度で「2つ」ではない → 誤り。
  2. ② 1990年の横軸は約2〜11%に分布し、10%を超える点が存在する → 誤り。
  3. ③ 1990年の男性は最大でも約11%、2015年の男性は最小でも約18%。2015年の方がすべて高く、「1990年より低い」都道府県はない → 誤り。
  4. ④ 2015年は男性18〜26%、女性10〜20%。直線 y=x(女性=男性)を引くと、すべての点がその下側にある → 正しい。
  5. ⑤ 女性が最も低い点(縦軸最小)と男性が最も低い点(横軸最小)は同じ都道府県とは限らず、図では一致していない → 誤り。
ポイント 「すべての都道府県でAがBより低い」は散布図に y=x の直線を引いて、全点がその片側にあるかで判定する。「〜個ある」「〜未満である」は軸に平行な補助線で点を数える。

〔2〕解答番号 4

1990年における男性と女性の50歳時未婚率の相関係数を r1990 とし、2015年における両者の50歳時未婚率の相関係数を r2015 とする。r1990 と r2015 の値の組合せとして、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. r₁₉₉₀: 0.38 r₂₀₁₅: 0.22
  2. r₁₉₉₀: 0.38 r₂₀₁₅: 0.40
  3. r₁₉₉₀: 0.38 r₂₀₁₅: 0.74
  4. r₁₉₉₀: 0.71 r₂₀₁₅: 0.40
  5. r₁₉₉₀: 0.71 r₂₀₁₅: 0.74
正解と解説

正解:③

考え方 散布図の「点の散らばりが直線にどれだけ近いか」で相関係数の大きさを見積もる。

  1. 1990年は点がばらついていて右上がりの傾向が弱い → 弱い正の相関 ≈ 0.3〜0.4 → r1990=0.38。
  2. 2015年は右上がりの傾向が明瞭で点が直線の周りに集まっている → 強めの正の相関 ≈ 0.7 → r2015=0.74。
  3. 「1990年<2015年」を満たし、かつ 2015 年が 0.7 台なのは ③ のみ。

誤答の判別 ①は2015年の方が弱くなっており図と逆。②は2015年が0.40で「明瞭な正の相関」と合わない。④⑤は1990年が0.71で、ばらついた図と合わない。

|r| の目安散布図の見え方
0.0〜0.2ほぼ無相関、丸く散らばる
0.2〜0.4弱い相関、傾向はあるがばらつき大
0.4〜0.7中程度、楕円形にまとまる
0.7〜1.0強い相関、直線に近い細い楕円
ポイント 相関係数 r=sxysxsy は −1〜1 で、単位や軸のスケールに依存しない。散布図問題では「どちらの年の方が直線的か」の大小関係でまず候補を絞る。

〔3〕解答番号 5

2015年における女性の50歳時未婚率のヒストグラムとして、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

(図の概要: ①〜⑤は横軸「50歳時未婚率(%)」約8〜22%の範囲のヒストグラム5種。山の位置・裾の形が異なる)

問2〔3〕 2015年の女性の50歳時未婚率のヒストグラム(選択肢①〜⑤)
問2〔3〕 2015年の女性の50歳時未婚率のヒストグラム(選択肢①〜⑤)
  1. 図①
  2. 図②
  3. 図③
  4. 図④
  5. 図⑤
正解と解説

正解:③

考え方 散布図の縦軸方向に点を潰したものが「女性の未婚率」のヒストグラムになる。散布図の縦軸を横に倒して点の密度を見る。

  1. 2015年の女性の未婚率は約10〜20%に分布している。したがってヒストグラムの度数がある範囲は10〜20%程度で、8%未満や22%以上の階級には度数がない。
  2. 散布図で点が最も密集している縦軸の高さ(山の位置)と、上側・下側にどちらが長く伸びているか(裾の向き)を読み取る。
  3. 点の範囲(最小〜最大)、山の位置、裾の長さの3点が散布図と整合するのは ③。

誤答の判別 範囲が散布図の縦軸と一致しないもの(10%未満に度数がある、20%超に多くの度数がある)、山の位置が散布図の密集帯とずれているものを除く。

ポイント 散布図の一方の変数のヒストグラムは、その軸に点を射影して作る。チェック順は「範囲 → 山の位置(最頻階級)→ 裾の向き(歪み)」。

問3(解答番号 6・7)

次の表は、長野県の事業所規模30人以上の製造業の事業所の賃金指数(きまって支給する給与、平成27年の平均値を100としたもの)である。

年月賃金指数
平成30年 1月102.6
平成30年 2月103.9
平成30年 3月104.2
平成30年 4月105.6
平成30年 5月103.2
平成30年 6月106.1
平成30年 7月105.9
平成30年 8月104.7
平成30年 9月104.3
平成30年10月105.6
平成30年11月104.1
平成30年12月104.1

資料: 厚生労働省「毎月勤労統計調査」

〔1〕解答番号 6

平成31年1月の賃金指数の平成30年1月からの変化率は −0.97% であった。平成31年1月の賃金指数の平成30年12月からの変化率(%)の計算式として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. 100 { 102.6×(1−0.0097) / 104.1 − 1 }
  2. 100 { 102.6 / (104.1×(1−0.0097)) − 1 }
  3. 100 { 104.1×(1−0.0097) / 102.6 − 1 }
  4. 100 { 104.1 / 102.6 − 0.0097 }
  5. 100 { 102.6 / 104.1 − 0.0097 }
正解と解説

正解:①

考え方 まず未知の「平成31年1月の指数」を求め、それを「平成30年12月の指数」と比べる。変化率の定義は次の1本だけ。

変化率=後の値−前の値前の値=後の値前の値−1
  1. 平成30年1月(102.6)から −0.97% なので、平成31年1月の指数は IH31.1=102.6×(1−0.0097)
  2. 平成30年12月(104.1)からの変化率は 102.6×(1−0.0097)104.1−1
  3. % にするため 100 倍 → ①。

誤答の判別 ②は (1−0.0097) を分母(12月側)に掛けており、−0.97% を適用する相手が違う。③は分子・分母が逆(12月→31年1月なので分母は104.1)。④⑤は変化率を「割り算して引く」形になっておらず、比率から 0.0097 を引くという操作に意味がない。

ポイント 変化率 r で更新した値は「元の値 × (1 + r)」。変化率を求めるときは「後÷前 − 1」。指数問題では「どの時点を基準(分母)にしているか」を毎回確認する。

〔2〕解答番号 7

平成30年1月から同年4月までの間の1か月あたりの平均変化率 r(%)は、次の【条件】を満たすようにして計算される。

【条件】平成30年1月の賃金指数は102.6である。平成30年2月から同年4月にかけて、前月からの変化率が常に r であれば、平成30年4月の賃金指数は105.6となる。

平均変化率 r の計算式として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. 100 { (102.6+103.9+104.2+105.6) / 4 }
  2. 100 { (105.6−102.6) / 102.6 }
  3. 100 { (1/3) ( (103.9−102.6)/102.6 + (104.2−103.9)/103.9 + (105.6−104.2)/104.2 ) }
  4. 100 { (105.6/102.6)^(1/3) − 1 }
  5. 100 { ( (103.9−102.6)/102.6 × (104.2−103.9)/103.9 × (105.6−104.2)/104.2 )^(1/3) }
正解と解説

正解:④

考え方 【条件】を式にする。1月→2月→3月→4月と3回、毎月同じ率 r で増えて 102.6 が 105.6 になる。

  1. 条件を式にすると 102.6×(1+r)3=105.6
  2. 両辺を 102.6 で割り、3乗根をとる 1+r=(105.6102.6)1/3
  3. したがって r=(105.6102.6)1/3−1 これを100倍したものが ④。

誤答の判別

ポイント 変化率・成長率の平均は幾何平均。 1+r=(1+r1)(1+r2)⋯(1+rn)n=最終値初期値n n は「変化の回数」(4か月分のデータなら3回)。

問4(解答番号 8)

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、時系列データの変動に関するものである。

解答番号 8

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい。
  2. Ⅱのみ正しい。
  3. Ⅲのみ正しい。
  4. ⅠとⅡのみ正しい。
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて誤り。
正解と解説

正解:②

考え方 時系列の4つの変動成分の定義を確認する。

成分定義
傾向変動(トレンド)長期にわたる持続的な上昇・下降。直線とは限らず、曲線(指数的・S字など)もある
循環変動景気循環など、周期が1年より長く、周期の長さも一定でない変動
季節変動1年を周期として毎年繰り返す変動(月次なら周期12、四半期なら周期4)
不規則変動上記で説明できない残りの変動。予測困難な偶然変動を含む
  1. Ⅰ: 「常に直線」が誤り。傾向変動は長期的な動きであれば直線でなくてよい → 誤り。
  2. Ⅱ: 季節変動=周期1年の循環 → 正しい。
  3. Ⅲ: 不規則変動はまさに偶然変動を含む成分 → 誤り。

正しいのはⅡのみ → ②。

ポイント 時系列 = 傾向変動 + 循環変動 + 季節変動 + 不規則変動。「常に」「含まれない」のような断定語がある記述は疑ってかかる。

問5(解答番号 9)

2012年1月から2018年12月までの月別製品ガス販売量(単位: 100万メガジュール)の系列の折れ線グラフが与えられている(毎年冬に高く夏に低い、周期12か月の明瞭な季節変動をもつ)。

資料: 経済産業省資源エネルギー庁「ガス事業生産動態統計調査」

問5 製品ガス販売量の折れ線グラフ(2012年1月〜2018年12月)
問5 製品ガス販売量の折れ線グラフ(2012年1月〜2018年12月)

解答番号 9

製品ガス販売量のコレログラムとして、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。ただし、図中の点線は、時系列が無相関であるという帰無仮説のもとでの有意水準5%の棄却限界値を表す。

(図の概要: ①〜⑤はLag 0〜30のACFのプロット。②はラグ12・24で高い正の自己相関、ラグ6・18付近で負の自己相関を示す周期12の波形)

問5 選択肢①〜⑤のコレログラム
問5 選択肢①〜⑤のコレログラム
  1. 図①
  2. 図②
  3. 図③
  4. 図④
  5. 図⑤
正解と解説

正解:②

考え方 自己相関係数(ACF)はラグ k だけずらした系列との相関。周期のあるデータでは、周期の整数倍のラグで「同じ季節同士」を比べることになり正の相関が高くなる。

  1. 月次データで周期12か月 → ラグ12、24 では「同じ月同士」(冬と冬、夏と夏)を比較するので ACF は高い正の値。
  2. ラグ6、18 では「冬と夏」を比較するので ACF は負の値。
  3. したがって ACF はラグとともに 12 を周期とする波を描く。この形をしているのは ②。
  4. ラグ0の ACF は常に1(自分自身との相関)。

点線(棄却限界)の意味 系列が無相関なら、標本自己相関はおおむね平均0・標準偏差 1/n の正規分布に従うので、有意水準5%の限界は

±1.96n

この線を超えるラグでは自己相関が有意(無相関とはいえない)と判断する。n=84(7年×12か月)なら約 ±0.21。

ポイント 季節周期 s のデータのコレログラムは、ラグ s, 2s, … で正のピーク、ラグ s/2, 3s/2, … で負の谷。トレンドがある系列はラグが増えても ACF がゆっくりしか減衰しない。

問6(解答番号 10)

さらなる満足度向上のため、A航空では、ある日の搭乗客の一部に対して、運航は時間通りだったか、揺れは少なかったか、客室乗務員に不満はなかったか等を調査することにした。調査の方法として、A航空では次のⅠ〜Ⅲの調査の方法を考えた。

解答番号 10

Ⅰ〜Ⅲの調査法の組合せとして、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰ:系統抽出法 Ⅱ:集落抽出法 Ⅲ:二段抽出法
  2. Ⅰ:系統抽出法 Ⅱ:層化抽出法 Ⅲ:集落抽出法
  3. Ⅰ:単純無作為抽出法 Ⅱ:系統抽出法 Ⅲ:二段抽出法
  4. Ⅰ:単純無作為抽出法 Ⅱ:層化抽出法 Ⅲ:集落抽出法
  5. Ⅰ:層化抽出法 Ⅱ:集落抽出法 Ⅲ:全数調査
正解と解説

正解:④

考え方 各抽出法の定義に照らして、Ⅰ〜Ⅲがどれに当たるかを判定する。

抽出法やり方キーワード
単純無作為抽出法母集団の名簿全体から、全員が等確率になるようにランダムに選ぶ「名簿を作り」「無作為に n 人」
系統抽出法名簿に番号を付け、最初の1人をランダムに決めて以後は一定間隔(毎 k 番目)で選ぶ「等間隔」「k 人おき」
層化抽出法母集団を性質の異なる層(グループ)に分け、各層から無作為に抽出する「〜別に分けて、それぞれから」
集落(クラスター)抽出法母集団をいくつかの集落に分け、集落をいくつか無作為に選び、選ばれた集落は全員調査する「〜をいくつか選び、その全員」
二段抽出法集落を無作為に選び、さらに選ばれた集落の中から無作為に一部を抽出する「〜を選び、さらにその中から」
  1. Ⅰ: 全搭乗客の名簿から無作為に200人 → 単純無作為抽出法。
  2. Ⅱ: 午前便・午後便という2つの層に分け、各層から無作為に100人ずつ → 層化抽出法。
  3. Ⅲ: 便(集落)を2つ無作為に選び、その便の乗客全員を調査 → 集落抽出法。もし「選んだ便の中からさらに一部を無作為に選ぶ」なら二段抽出法。

Ⅰ:単純無作為、Ⅱ:層化、Ⅲ:集落 → ④。

誤答の判別 Ⅲを「二段抽出」とする①③は、選んだ便の中で再び抽出していない点で誤り。⑤の「全数調査」は母集団全員を調べることで、2便だけの調査は該当しない。

ポイント 層化は「すべての層から一部ずつ」、集落は「一部の集落から全員」、二段は「一部の集落からさらに一部」。層化抽出は層内が均質なほど精度が上がり、集落抽出は集落内が多様(母集団の縮図)なほど良い。

問7(解答番号 11)

母平均 μ、母分散 σ2 をもつ母集団から、大きさ n=100 の標本を単純無作為抽出し、標本平均 x¯=40.0 および不偏分散 σ^2=16.0 を得たとする。このとき、標本平均の標準誤差はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

解答番号 11

  1. 0.04
  2. 0.16
  3. 0.40
  4. 1.60
  5. 4.00
正解と解説

正解:③

考え方:標本平均 X¯ の分散は σ2/n であり、その平方根が標準誤差(SE)である。母分散が未知なので不偏分散 σ^2 で代用する。

計算:

SE=σ^2n=16.0100=0.16=0.40

誤答の見分け方:② 0.16 は √ を取り忘れた値(分散のまま)。⑤ 4.00 は標本の標準偏差 16=4 で、n で割っていない。④ 1.60 は 16/10 という意味のない計算。標本平均 40.0 は計算に一切使わない(ひっかけ用の情報)。

ポイント 標本平均の標準誤差は SE=σ/n(σ未知なら s/n)。「標準偏差」は個々のデータのばらつき、「標準誤差」は推定量(標本平均)のばらつき。n を4倍にすると SE は半分になる。

問8(解答番号 12・13)

ある検定試験の対策講座が開講され、その対策講座を受講すれば70%の確率で検定試験に合格し、受講しなければ30%の確率で合格するものとする。検定試験の受験者が対策講座を受講する確率は20%であるとする。

〔1〕解答番号 12

検定試験を受験した人から無作為に1人選んだとき、その人が対策講座を受講した合格者である確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 0.14
  2. 0.20
  3. 0.24
  4. 0.30
  5. 0.70
正解と解説

正解:①

考え方:事象を「受講(A)/非受講(Ac)」と「合格(B)/不合格(Bc)」に整理する。問題文の情報は次のとおり。

樹形図で考えると「受講 0.2 → 合格 0.7 / 不合格 0.3」「非受講 0.8 → 合格 0.3 / 不合格 0.7」の4本の枝になる。枝の確率を掛け合わせたものが同時確率で、表にまとめると次のようになる。

合格 B不合格 Bc計
受講 A0.2×0.7 = 0.140.2×0.3 = 0.060.20
非受講 Ac0.8×0.3 = 0.240.8×0.7 = 0.560.80
計0.380.621.00

計算:「受講した合格者」は受講かつ合格の同時確率である。

P(A∩B)=P(A)·P(B|A)=0.2×0.7=0.14

誤答の見分け方:② 0.20 は受講率そのもの、⑤ 0.70 は受講者の合格率(条件付き確率)そのもの。③ 0.24 は非受講合格者の確率。「〜した〜である確率」は同時確率=掛け算、と読む。

ポイント 乗法定理 P(A∩B)=P(A)P(B|A)。条件付き確率の問題は、まず4マスの同時確率表を作ると〔1〕〔2〕が両方すぐ読める。

〔2〕解答番号 13

検定試験を受験した人から無作為に1人選んだところ、その人が合格者であることが判明した。このとき、その人が対策講座の受講生である確率はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 0.02
  2. 0.15
  3. 0.37
  4. 0.48
  5. 0.59
正解と解説

正解:③

考え方:「合格者だとわかった」という条件のもとで「受講生である」確率、つまり P(A|B) を求める。問題文で与えられている P(B|A) とは条件の向きが逆なので、ベイズの定理を使う。

計算:まず全確率の公式で合格者全体の確率を求める(表の「合格」列の合計)。

P(B)=P(A)P(B|A)+P(Ac)P(B|Ac)=0.14+0.24=0.38

次にベイズの定理で条件の向きをひっくり返す。

P(A|B)=P(A∩B)P(B)=0.140.38=719≈0.368

表で言えば「合格 列の中で、受講 行が占める割合」である。

誤答の見分け方:② 0.15 は 0.06/0.38(受講×不合格を分子にした誤り)に近い、⑤ 0.59 は 0.14/0.24(分母を合格全体でなく非受講合格者にした誤り)。分母は必ず「条件となった事象(合格)の全確率」である。

ポイント ベイズの定理: P(A|B)=P(A)P(B|A)P(A)P(B|A)+P(Ac)P(B|Ac) 手順は「樹形図 → 4マス表 → 全確率(列の合計) → 分子/分母」。公式を暗記するより、表を書けば機械的に解ける。

問9(解答番号 14・15・16)

ある町内において、1か月の1人暮らしの水道使用量(単位: m³)は連続型確率変数 X で表され、その確率密度関数 f(x) は次のように与えられているとする。

f(x)={ a(1−x20)(0≤x≤20) 0(x<0 または x>20)

ただし、a は正の定数である。

一方、水道使用料金は 0≤x<10 の水道使用量に対しては1000円、10≤x<15 の水道使用量に対しては1120円、x≥15 の水道使用量に対しては1280円とする。

〔1〕解答番号 14

定数 a の値として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. 1
  2. 12
  3. 15
  4. 110
  5. 120
正解と解説

正解:④

考え方:確率密度関数は全区間で積分すると1になる(全確率=1)。この条件から a が決まる。

計算(積分で):

∫020a(1−x20)dx=a[x−x240]020=a(20−40040)=10a 10a=1⇒a=110

計算(面積で):f(x) のグラフは (0,a) から (20,0) へ下がる直線で、x軸との間は底辺20・高さ a の直角三角形。面積が1なので

12×20×a=1⇒a=110

誤答の見分け方:⑤ 1/20 は「長方形の面積 20a = 1」と勘違いした値(三角形の 1/2 を忘れている)。

ポイント 密度関数の条件:f(x)≥0 かつ ∫f(x)dx=1。密度が直線ならグラフを描いて「面積=1」で解くのが速く、ミスも少ない。

〔2〕解答番号 15

1か月の水道使用量の期待値はいくらか。次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. 2003
  2. 1003
  3. 403
  4. 203
  5. 103
正解と解説

正解:④

考え方:連続型確率変数の期待値は E[X]=∫xf(x)dx。〔1〕で求めた a=1/10 を代入して積分する。

計算:

E[X]=∫020x·110(1−x20)dx=110∫020(x−x220)dx =110[x22−x360]020=110(4002−800060) =110(200−4003)=110·2003=203

直感による検算:密度が「0で最大、20で0」の右下がり三角形なので、重心は左寄り。直角三角形の重心は直角の頂点から底辺の 1/3 の位置にあるので 20/3≈6.67。区間の中央10より小さい値になっているのが自然である。

誤答の見分け方:① 200/3 は最後の 1/10 を掛け忘れた値。② 100/3 は 1/10 の代わりに 1/20 を使った場合。③ 40/3 ≈ 13.3 は区間中央より右で、左に偏った密度の期待値としてありえない。

ポイント 連続型の期待値 E[X]=∫xf(x)dx(離散型の ∑xp(x) の積分版)。三角形型の密度の期待値は「重心の位置」で検算できる。

〔3〕解答番号 16

1か月の水道使用料金の期待値はいくらか。次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. 520
  2. 1040
  3. 1250
  4. 1820
  5. 2520
正解と解説

正解:②

考え方:料金は使用量 X によって3段階に決まる離散的な値なので、「各料金 × その料金になる確率」の合計が期待値。必要なのは3つの区間の確率で、密度関数の面積から求める。

計算(区間の確率):密度のグラフは (0,0.1) から (20,0) への直線。x≥c の部分は元の三角形と相似な小さい三角形で、辺の比が (20−c)/20 なので面積比はその2乗になる。

P(X≥c)=(1−c20)2 P(X≥10)=(12)2=0.25,P(X≥15)=(14)2=0.0625

したがって各区間の確率は

区間確率料金
0≤X<101 − 0.25 = 0.751000円
10≤X<150.25 − 0.0625 = 0.18751120円
X≥150.06251280円

(積分で求める場合:∫010110(1−x20)dx=110(10−10040)=0.75 で同じ結果になる。)

計算(料金の期待値):

E[料金]=1000×0.75+1120×0.1875+1280×0.0625 =750+210+80=1040

誤答の見分け方:料金は1000〜1280円の間の値しか取らないので、期待値もその範囲に必ず収まる。① 520、③ 1250 以外はこの時点で除外でき、③ 1250 は「0.75 の重みが最大」なのに 1000 から遠すぎる。範囲チェックだけでも②に絞れる。

ポイント 「X の関数 g(X) の期待値」は E[g(X)]=∑g(値)×P(その値になる区間)。E[X] を料金に変換しても正しい答えにはならない(E[g(X)]≠g(E[X]))。期待値は取りうる値の最小〜最大の範囲に必ず入る、で検算。

問10(解答番号 17・18・19)

正値確率変数 Z の分布関数 FZ は、連続かつ任意の 0<x<y に対して FZ(x)<FZ(y) を満たすとし、FZ(5)=0.91、FZ(50)=0.95、FZ(100)=0.96 とする。また、確率変数 X を

X={ Z(Z≤100) 0(Z>100)

で定め、X の分布関数を FX とする。

〔1〕解答番号 17

0≤x<100 なる実数 x に対する FX として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. FX(x)=FZ(x)
  2. FX(x)=FZ(x)+0.01
  3. FX(x)=FZ(x)+0.04
  4. FX(x)=FZ(x)+0.05
  5. FX(x)=FZ(x)−0.96
正解と解説

正解:③

考え方(打ち切りとは何が起きるか):X は「Z が100以下ならそのまま、100を超えたら強制的に0にする」変数である。連続変数 Z は特定の1点をとる確率が0だが、X は「Z が100を超えた」全ケースがまとめて X=0 という1点に潰されるので、そこに正の確率(点質量)が生じる。

P(X=0)=P(Z>100)=1−FZ(100)=1−0.96=0.04

分布関数は FX(x)=P(X≤x)。X≤x となるのは、(a) Z>100 で X=0 になった場合、(b) Z≤x(このとき X=Z)の場合、の2通りで、互いに排反である。

計算:0≤x<100 のとき

FX(x)=P(Z>100)+P(Z≤x)=0.04+FZ(x)

つまり FX は FZ のグラフ全体を 0.04 だけ上にかさ上げした形になる。x=0 で 0 から 0.04 へジャンプし、x=100 で 0.96+0.04=1 に達する(100を超える値は取らないので、そこで1になるのは整合的)。

誤答の見分け方:① は潰された 0.04 を無視している。② 0.01 は FZ(100)−FZ(50)、④ 0.05 は 1−FZ(50) で、打ち切り点(100)と無関係な数字。⑤ は負の値になりうるので分布関数として不適。検算:x→100 で 1 になる選択肢は③だけ。

ポイント 打ち切り(ある値を超えたら固定値にする)を行うと、その固定値に 点質量 が生じ、分布関数がその点で ジャンプ する。固定値が最小側(0)にあれば、分布関数は全体が点質量ぶんかさ上げされる:FX=FZ+P(潰された部分)。「打ち切り点で FX が1になるか」で検算する。

〔2〕解答番号 18

確率変数 X の下側95%点はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 0
  2. 5
  3. 50
  4. 100
  5. ∞
正解と解説

正解:②

考え方:下側95%点とは P(X≤x)=FX(x)=0.95 となる x のこと。〔1〕の結果 FX(x)=FZ(x)+0.04 を使う。

計算:

FX(x)=0.95⇔FZ(x)=0.95−0.04=0.91

問題文より FZ(5)=0.91 なので

FX(5)=0.91+0.04=0.95

したがって下側95%点は 5。FZ は狭義単調増加なので、5未満では 0.95 に届かず、5より大きければ 0.95 を超える。答えは 5 でただ一つに決まる。

誤答の見分け方:③ 50 は FZ(50)=0.95 をそのまま読んだ値で、これは Z の95%点。X は下に0.04の重りが付いた分、同じ累積確率に「手前で」到達する。打ち切り前の分位点をそのまま答えないこと。

ポイント 下側 α 点 = FX(x)=α を満たす x。分布関数がかさ上げされると、分位点は手前(小さい側)にずれる。〔1〕の関係式に数値を入れ直すだけで解ける。

〔3〕解答番号 19

確率変数 X の期待値の表現として、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。ただし、確率変数 Z の確率密度関数を fZ とする。

  1. ∫0100zFZ(z)dz
  2. ∫0100zfZ(z)dz
  3. ∫0100FZ(z)dz
  4. 96−∫0100zfZ(z)dz
  5. 96−∫0100zFZ(z)dz
正解と解説

正解:②

考え方:X は「連続部分(0<Z≤100 で X=Z)」と「点質量部分(Z>100 で X=0)」の混合分布。期待値はそれぞれの寄与を足す。

計算:

E[X]=∫0100zfZ(z)dz⏟連続部分+0×P(Z>100)⏟点質量部分=∫0100zfZ(z)dz+0

点質量部分は値が0なので、確率0.04がかかっても期待値への寄与は0である。残るのは Z の密度を0から100まで z の重みで積分したものだけになる。

誤答の見分け方:期待値の被積分関数は「値 × 密度」でなければならない。①③⑤は密度 fZ の位置に分布関数 FZ を置いており、その時点で誤り(③は z の重みすらない)。④ の 96 は 100×0.96 のような見かけ倒しの数で、「96−…」という形に確率論的な意味はない。

ポイント 混合分布の期待値 = ∫(連続部分)zf(z)dz+∑(点質量)値×確率。打ち切り先の値が0なら点質量の項は消える。積分の中に置くのは密度 f であって分布関数 F ではない。
問10全体の流れ:「潰された確率 0.04 を求める → 分布関数をかさ上げ → 分位点は手前へ → 期待値は打ち切り点まで積分」。

問11(解答番号 20)

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、歪度についての説明である。

解答番号 20

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい。
  2. Ⅱのみ正しい。
  3. ⅠとⅢのみ正しい。
  4. ⅡとⅢのみ正しい。
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて誤り。
正解と解説

正解:⑤

考え方:歪度の定義に立ち返って各記述を検証する。

歪度=E[(X−μσ)3]

平均からの偏差を標準偏差で割って3乗した平均である。偏差の3乗なので、平均より大きく離れた値(右の裾)は正に、小さく離れた値(左の裾)は負に効く。

よってすべて誤りで ⑤。

ポイント 歪度:右裾長→正、左裾長→負、左右対称→0。位置(平均)や峰の数とは無関係。右裾長のときは「平均 > 中央値 > 最頻値」になりやすい(所得分布が典型例)。参考:尖度は E[((X−μ)/σ)4]−3 で、裾の重さを表す。

問12(解答番号 21)

確率変数 X1,…,Xn が互いに独立に平均 μ、分散 σ2 の正規分布に従うとする。μ の推定量として、X1 と Xn の平均 μ^1 と、X2,…,Xn−1 の平均 μ^2 を考える。つまり、

μ^1=X1+Xn2,μ^2=1n−2∑i=2n−1Xi

とする。次の記述Ⅰ〜Ⅳは、これらの推定量に関するものである。

解答番号 21

記述Ⅰ〜Ⅳに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. ⅠとⅡのみ正しい。
  2. ⅠとⅢのみ正しい。
  3. ⅢとⅣのみ正しい。
  4. ⅠとⅡとⅢのみ正しい。
  5. ⅠとⅢとⅣのみ正しい。
正解と解説

正解:⑤

定義の確認:

μ^1 の検証(2個のデータだけの平均):

E[μ^1]=E[X1]+E[Xn]2=μ+μ2=μ⇒ Ⅰ 正しい(不偏) V[μ^1]=V[X1]+V[Xn]22=2σ24=σ22

この分散は n を含まない。データをいくら増やしても常に2個しか使わないので、分散は σ2/2 のまま0に近づかない ⇒ Ⅱ 誤り(一致でない)。

μ^2 の検証(n−2 個のデータの平均):

E[μ^2]=1n−2∑i=2n−1E[Xi]=(n−2)μn−2=μ⇒ Ⅲ 正しい(不偏) V[μ^2]=1(n−2)2·(n−2)σ2=σ2n−2→0(n→∞)⇒ Ⅳ 正しい(一致)

したがって正しいのは Ⅰ・Ⅲ・Ⅳ で ⑤。

誤答の見分け方:④(ⅠⅡⅢ)を選ぶのは「不偏なら一致」と思い込んだ場合。不偏性と一致性は別物で、μ^1 がその反例。③(ⅢⅣ)は「端の2個だけの平均は偏る」と誤解した場合だが、独立同分布なら何個使っても平均の期待値は μ である。

ポイント
  • 不偏性:E[θ^]=θ。「データの一部だけの平均」でも不偏。
  • 一致性:n→∞ で θ^→θ。不偏なら「分散→0」で判定。使うデータ数が n とともに増えないと一致にならない。
  • 典型パターン:「固定個数のデータだけ使う推定量 = 不偏だが一致でない」「n+1 で割る標本分散 = 不偏でないが一致」。
  • 計算の道具:E[aX+bY]=aE[X]+bE[Y]、独立なら V[aX+bY]=a2V[X]+b2V[Y]。

問13(解答番号 22)

ある選挙において、100人の投票者に出口調査を行ったところ、A候補に投票した人は54人であった。出口調査は単純無作為抽出に基づくとし、二項分布は近似的に正規分布に従うとする。A候補の得票率の95%信頼区間として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

解答番号 22

  1. 0.54±0.005
  2. 0.54±0.008
  3. 0.54±0.049
  4. 0.54±0.082
  5. 0.54±0.098
正解と解説

正解:⑤

考え方 母比率 p の信頼区間は、標本比率 p^ を中心に「z × 標準誤差」だけ広げる。

p^ ± z0.025 p^(1−p^)n , z0.025=1.96

計算手順

p^=54100=0.54 SE=0.54×0.46100=0.002484≈0.0498 1.96×0.0498≈0.098

よって信頼区間は 0.54±0.098(0.442〜0.638)である。

誤答の見分け方

選択肢どう間違えると出るか
③ ±0.0491.96 を掛け忘れ、標準誤差そのものを書いた
④ ±0.082z=1.645(90%信頼区間用)を使った
①②√ を取らずに分散のまま使った等。桁が明らかに小さい
ポイント
  • 母比率の95%信頼区間:p^±1.96p^(1−p^)n
  • 暗記する z 値:95%→1.96、90%→1.645、99%→2.576
  • 信頼区間では標本比率 p^ を使う(検定では帰無仮説の p0 を使う。この違いに注意)

問14(解答番号 23・24)

次の表は、日本全国のすべての世帯から無作為抽出された約2.5万世帯の年間所得金額に関する相対度数分布表である。

階級相対度数(%)
100万円未満6.2
100万円以上 200万円未満13.4
200万円以上 300万円未満13.7
300万円以上 400万円未満13.2
400万円以上 500万円未満10.4
500万円以上 600万円未満8.8
600万円以上 700万円未満7.7
700万円以上 800万円未満6.3
800万円以上 900万円未満4.9
900万円以上 1000万円未満3.7
1000万円以上 1100万円未満2.7
1100万円以上 1200万円未満2.0
1200万円以上 1300万円未満1.6
1300万円以上 1400万円未満1.3
1400万円以上 1500万円未満0.8
1500万円以上 1600万円未満0.6
1600万円以上 1700万円未満0.5
1700万円以上 1800万円未満0.4
1800万円以上 1900万円未満0.3
1900万円以上 2000万円未満0.2
2000万円以上1.3

資料: 厚生労働省「2016年国民生活基礎調査」

〔1〕解答番号 23

全世帯の所得に対して、その中央値の半分に満たない所得の世帯の割合はいくらか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 6.2%以下
  2. 6.2%以上 19.6%以下
  3. 19.6%以上 33.3%以下
  4. 33.3%以上 46.5%以下
  5. この表の情報だけでは計算できない
正解と解説

正解:③

考え方 まず中央値がどの階級にあるかを累積相対度数で特定し、次に「中央値の半分」がどの階級に入るかを見て、その未満の割合を範囲で答える。

手順1:累積相対度数を作る

階級の上限相対度数(%)累積(%)
100万円未満6.26.2
200万円未満13.419.6
300万円未満13.733.3
400万円未満13.246.5
500万円未満10.456.9

手順2:中央値の階級 累積が初めて50%を超えるのは「400万円以上 500万円未満」の階級(46.5% → 56.9%)。よって中央値 M は

400≤M<500(万円)

手順3:中央値の半分

200≤M2<250(万円)

手順4:その未満の世帯割合 M/2 は「200万円以上 300万円未満」の階級の中にある。したがって「M/2 未満」の割合は、

となり、③「19.6%以上 33.3%以下」が答えである。階級内の分布が不明なので点で決まらず、範囲で答えるのがこの問題の意図である。⑤「計算できない」は、範囲としては絞れるので誤り。

ポイント
  • 度数分布表から中央値を求める=累積相対度数が50%を超える最初の階級を探す
  • 「中央値の半分未満の割合」は相対的貧困率の考え方(貧困線=中央値の半分)
  • 階級内の細かい分布は不明 → 答えは「上下の累積で挟んだ範囲」になる

〔2〕解答番号 24

この相対度数分布表から考察すると、母集団(すなわち日本全国のすべての世帯)の年間所得金額分布は正規分布ではないと考えられる。非正規母集団から無作為抽出した大きさ n の標本の標本平均を X¯、不偏分散を S2 とすると、母平均 μ の信頼区間はどのように作ればよいか。統計量 Z を

Z=X¯−μS2n

として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Zの分布は母集団の分布および標本の大きさ n にかかわらず自由度1のχ²分布に従うため、χ²分布のパーセント点を用いて信頼区間を作成するのが妥当である。
  2. Zの分布は母集団の分布にかかわらず自由度 n−1 のt分布に従うため、t分布のパーセント点を用いて信頼区間を作成するのが妥当である。
  3. Zの分布は標本の大きさ n が十分大きいときには標準正規分布で近似できるため、標準正規分布のパーセント点を用いて信頼区間を作成するのが妥当である。
  4. Zの分布は母集団の分布および標本の大きさ n にかかわらず標準正規分布に従うため、標準正規分布のパーセント点を用いて信頼区間を作成するのが妥当である。
  5. Zの分布は標本の大きさ n が十分小さいときには二項分布で近似できるため、二項分布のパーセント点を用いて信頼区間を作成するのが妥当である。
正解と解説

正解:③

考え方 中心極限定理(CLT):母集団がどんな分布でも、n が十分大きければ標本平均 X¯ は近似的に正規分布 N(μ,σ2/n) に従う。さらに n が大きいと S2 は σ2 に近づく(一致性)ので、

Z=X¯−μS2n≈N(0,1)

となり、標準正規分布のパーセント点(1.96 など)で信頼区間を作ればよい。約2.5万世帯なら十分に大きい。

誤答の理由

選択肢誤りの理由
①自由度1のχ²分布に従うのは Z2(標準正規変数の2乗)であって Z ではない。「母集団の分布にかかわらず」も誤り
②t分布に従うのは母集団が正規分布のとき。非正規母集団では厳密には成立しない(「母集団の分布にかかわらず」が誤り)
④「n にかかわらず」が誤り。CLTは n が大きいときの近似
⑤二項分布は「回数」の分布であり、平均の分布とは無関係。「n が小さいとき」も逆
ポイント
  • 中心極限定理:母集団が何であれ n 大 ⇒ X¯≈N(μ,σ2/n)
  • 使い分け:正規母集団・σ未知 → t分布(自由度 n−1)/非正規・n大 → 標準正規で近似/正規母集団・σ既知 → 標準正規
  • 「にかかわらず」「常に」という強い言い回しの選択肢は、条件(正規性・nの大きさ)が抜けていないか疑う

問15(解答番号 25・26)

10万人以上の有権者がいる都市がある。有権者を対象とする単純無作為抽出による標本調査で、ある政策の支持率を区間推定したい。信頼係数95%の信頼区間の幅を6%以下となるようにするには、少なくとも何人以上の有権者を調査すればよいか。ただし、調査された人は必ず支持または不支持のいずれかを回答するものとし、二項分布は近似的に正規分布に従うとする。

〔1〕解答番号 25

政策の支持率について事前の情報が全くないときは、少なくとも何人以上の有権者を調査すればよいか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 400
  2. 700
  3. 900
  4. 1100
  5. 1600
正解と解説

正解:④

考え方 95%信頼区間は p^±1.96p(1−p)n。「幅」は ± の両側を合わせた長さなので、

幅=2×1.96p(1−p)n≤0.06

すなわち片側(半幅)が 0.03 以下であればよい。

1.96p(1−p)n≤0.03

事前情報がない場合 p(1−p) は p=0.5 のとき最大値 0.25 をとる。最悪の場合でも幅6%以下になるよう、この最大値を使う(安全側に見積もる)。

計算手順 両辺を2乗して n について解く。

n≥(1.960.03)2×p(1−p) (1.960.03)2=65.332≈4268.4 n≥4268.4×0.25=1067.1

1067.1 人以上なので、選択肢の中で「少なくとも」を満たす最小は 1100 人(④)。900(③)では不足する。

ポイント
  • 必要標本サイズ:n≥(ze)2p(1−p)(e は許容誤差=半幅)
  • 「幅」6% ⇒ 半幅 3%。幅と半幅の取り違えが最大の落とし穴(半幅を6%にすると n≈267 で①を選んでしまう)
  • 事前情報なし ⇒ p=0.5(p(1−p) が最大=最も保守的)
  • 「少なくとも何人」は計算値を切り上げて、それ以上の最小の選択肢を選ぶ

〔2〕解答番号 26

これまでの調査から政策の支持率がおよそ80%であることがわかっているときは、少なくとも何人以上の有権者を調査すればよいか。次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 300
  2. 700
  3. 1000
  4. 1200
  5. 1600
正解と解説

正解:②

考え方 〔1〕と同じ式で、p=0.8 を使う。

p(1−p)=0.8×0.2=0.16 n≥(1.960.03)2×0.16=4268.4×0.16=682.9

682.9 人以上なので、700 人(②)。

確認 〔1〕の 1067.1 に対して比 0.16/0.25=0.64 を掛けても 1067.1×0.64=682.9 と同じ値になる。事前情報があると p(1−p) が小さくなり、必要人数が減る。

ポイント
  • 支持率が 0.5 から離れるほど p(1−p) は小さくなり、必要な n も小さくなる
  • (1.96/0.03)2≈4268 のような共通部分は一度だけ計算して使い回す
  • 母集団が「10万人以上」と大きいので有限母集団修正は不要(2級ではほぼ常に不要)

問16(解答番号 27・28・29)

母平均 μ、母分散 σ2 の正規分布を母集団分布とする母集団から大きさ16の無作為標本 X1,…,X16 を抽出する。ここで

X¯=116∑i=116Xi,S2=115∑i=116(Xi−X¯)2

とおくとき、統計量

T=X¯−μS216

は自由度(ア)の(イ)分布に従う。ここでは、統計量 T を用いて仮説検定を行うことを考える。

今、あるダイエット食品Aの摂取後に体重が減少するかどうかを検証するために、ある母集団から無作為に抽出した40代男性16人に対して1か月間この食品Aを毎日摂取してもらった。次の表は、摂取する前の体重(列のラベルが "前")と摂取して1か月経った後の体重(列のラベルが "後")のデータ(単位: kg)である。また "前 − 後" のラベルにおけるデータは、それぞれの行に対して "前" に対応する体重から "後" の体重を引いた値である。

ID前後前−後
166.363.42.9
259.157.91.2
362.765.4−2.7
471.170.01.1
562.363.1−0.8
674.373.80.5
766.864.91.9
874.075.0−1.0
970.168.71.4
1066.163.42.7
1173.773.70.0
1268.969.1−0.2
1364.863.01.8
1462.462.00.4
1549.449.6−0.2
1656.657.7−1.1
標本平均 (X̄)65.565.00.5
標準偏差 (S)6.86.71.5

〔1〕解答番号 27

文中の(ア),(イ)の組合せとして、次の①〜⑤から適切なものを一つ選べ。

  1. (ア)17 (イ)t
  2. (ア)16 (イ)カイ二乗
  3. (ア)16 (イ)t
  4. (ア)15 (イ)カイ二乗
  5. (ア)15 (イ)t
正解と解説

正解:⑤

考え方 正規母集団で母分散 σ2 が未知のとき、σ の代わりに標本の不偏分散 S2 を使って標準化した統計量は t分布に従う。自由度は S2 の自由度と同じ n−1。

T=X¯−μS/n∼t(n−1)=t(15)

問題文の S2 の定義が 1/15 で割っている(=不偏分散)ことからも、自由度15が読み取れる。

誤答の理由 カイ二乗分布に従うのは (n−1)S2/σ2 であって、平均を標準化した T ではない(②④)。自由度16・17は「n」や「n+1」と勘違いした値(①③)。

ポイント
  • σ既知 → Z=X¯−μσ/n∼N(0,1) / σ未知 → T∼t(n−1)
  • 分散の検定・区間推定 → (n−1)S2σ2∼χ2(n−1)
  • t分布の自由度は「不偏分散を計算するときに割った数」と覚える

〔2〕解答番号 28

食品Aの摂取後に体重が減少するかどうかを検証するために、有意水準5%の仮説検定を行う。このとき、帰無仮説と対立仮説の設定として、次の①〜⑤から適切なものを一つ選べ。ただし、"前 − 後" のデータに対応する母集団の母平均を μ とする。

  1. 帰無仮説を H0:μ<0、対立仮説を H1:μ=0 とする。
  2. 帰無仮説を H0:μ>0、対立仮説を H1:μ=0 とする。
  3. 帰無仮説を H0:μ<0、対立仮説を H1:μ>0 とする。
  4. 帰無仮説を H0:μ=0、対立仮説を H1:μ>0 とする。
  5. 帰無仮説を H0:μ=0、対立仮説を H1:μ<0 とする。
正解と解説

正解:④

考え方 仮説検定では「示したいこと」を対立仮説 H1 に置き、帰無仮説 H0 は「効果なし(等号)」にする。

誤答の理由

選択肢誤りの理由
①②③帰無仮説が不等号になっている。帰無仮説は必ず等号(μ=0)で置く
⑤向きが逆。μ<0 は「前−後が負=体重増加」を示すことになる
ポイント
  • 帰無仮説は常に等号(μ=μ0)。対立仮説に「示したい主張」を書く
  • 「増える/減る/大きい/小さい」→ 片側検定、「異なる/変化がある」→ 両側検定
  • 差の定義(前−後 か 後−前 か)を確認してから不等号の向きを決める。ここは「前−後」なので減少=正
  • 同じ人の前後比較は対応のある t検定:差 d をとって1標本 t検定に帰着させる

〔3〕解答番号 29

食品Aの摂取後に体重が減少するかどうかを検証するために、設問〔2〕の適切な仮説の下で、有意水準5%の仮説検定を行う。このときの結果およびその解釈として、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。ただし、"前 − 後" のデータに対応する母集団分布は正規分布 N(μ,σ2) とし、μ,σ2 はともに未知の母数とする。また t は、統計量 T において μ=0 としたものの実現値とする。

  1. |t|>2.131 となるため、帰無仮説は棄却される。よって、食品Aの摂取後に体重が減少する傾向にあると判断する。
  2. t<1.746 となるため、帰無仮説は棄却される。よって、食品Aの摂取前後で体重変化はないと判断する。
  3. |t|<2.131 となるため、帰無仮説は棄却されない。よって、食品Aの摂取後に体重が減少するとは判断できない。
  4. t<1.753 となるため、帰無仮説は棄却されない。よって、食品Aの摂取前後で体重変化はないと判断する。
  5. t<1.753 となるため、帰無仮説は棄却されない。よって、食品Aの摂取後に体重が減少するとは判断できない。
正解と解説

正解:⑤

手順1:検定統計量の実現値 「前−後」の標本平均 0.5、標準偏差 1.5、n=16 を使う。

t=X¯−0S/n=0.51.5/16=0.51.5/4=0.50.375≈1.333

手順2:棄却限界値 〔2〕より右片側検定、自由度15、有意水準5%。t分布表で上側5%点を読むと

t0.05(15)=1.753

(参考:両側5%なら上側2.5%点 t0.025(15)=2.131。1.746 は自由度16の上側5%点で、自由度を間違えた値。)

手順3:判定

t=1.333<1.753

棄却域に入らないので、帰無仮説は棄却されない。

手順4:解釈 「棄却されない」は「H0 が正しいと証明された」ではなく、「減少するという証拠が得られなかった」という意味である。したがって「体重が減少するとは判断できない」(⑤)が正しく、「体重変化はないと判断する」(④)は言い過ぎで誤り。

誤答の理由

選択肢誤りの理由
①③2.131(両側検定の限界値)と |t| を使っている。〔2〕で片側検定と決めたので不適切。①は棄却されるとしている点も誤り
②1.746 は自由度16の値。しかも「t < 限界値 なのに棄却」は論理が逆
④計算・判定は正しいが、「変化はないと判断する」が誤り(棄却されない≠H0 が正しい)
ポイント
  • 1標本 t検定:t=X¯−μ0S/n、自由度 n−1
  • 片側5% → 上側5%点(1.753)、両側5% → 上側2.5%点(2.131)。片側・両側で読む列が変わる
  • 棄却されない ≠ 帰無仮説が正しい。「〜とは判断できない」が正しい言い方。「差がないと判断する」と書いてある選択肢は原則誤り
  • 棄却される → 「対立仮説の主張が支持される(傾向にあると判断する)」

問17(解答番号 30・31・32)

次の表は、JFA(日本フランチャイズチェーン協会)正会員のコンビニエンスストア全店の月別の売上高(単位: 億円)を2008年から2018年までの11年間集計したものである。月ごとの売上高に差があるといえるかどうかを考察したい。

月\年20082009201020112012201320142015201620172018
1月575630613652690718755788815837837
2月556583571616676670710733779781795
3月622663645700735772830844865886914
4月605645636652723742754818848869891
5月649669662708754786815869886911915
6月649655661730745786806844872890915
7月7467087278088188568849329639841000
8月734713733799826859877926951960985
9月674655753737760787812851874890938
10月687668643749767801830878902905916
11月658634654723737779801829843860891
12月702681719771796833862894908926969

資料: 一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会

このデータを用いて月を変動要因とする一元配置分散分析を行った結果、次の表を得た。ただし、それぞれの月で売上高の平均は一定であり、誤差は独立かつ同一の分布に従うと仮定する。

変動要因平方和自由度F-値
水準間317441(ア)3.0471
残差1136491(イ)

〔1〕解答番号 30

j 年 i 月の売上高を yij(i=1,…,12、j=2008,…,2018)とし、月ごとの平均を y¯i.、年ごとの平均を y¯.j、全体の平均を y¯.. とする。水準間平方和(SA)と残差平方和(Se)の式の組合せとして正しいものはどれか。次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. SA=∑i=11211(y¯i.−y¯..)2,Se=∑i=112∑j=20082018(yij−y¯i.)2
  2. SA=∑i=11211(y¯i.−y¯..)2,Se=∑i=112∑j=20082018(yij−y¯..)2
  3. SA=∑j=2008201812(y¯.j−y¯..)2,Se=∑i=112∑j=20082018(yij−y¯i.)2
  4. SA=∑j=2008201812(y¯.j−y¯..)2,Se=∑i=112∑j=20082018(yij−y¯..)2
  5. SA=∑j=2008201812(y¯.j−y¯..)2,Se=∑i=112∑j=20082018(yij−y¯.j)2
正解と解説

正解:①

考え方 「月を変動要因とする」一元配置分散分析なので、因子=月、水準=12個(1月〜12月)、各水準の反復=11年分である。年は単なる繰り返し(反復)扱いで、年ごとの平均 y¯.j は式に登場しない。

全体のばらつきの分解

∑∑(yij−y¯..)2⏟総平方和 =∑i=11211(y¯i.−y¯..)2⏟水準間 SA+∑i=112∑j=20082018(yij−y¯i.)2⏟残差 Se

誤答の理由

選択肢誤りの理由
②④Se が全体平均 y¯.. からの偏差になっている。それは総平方和であり残差ではない
③④⑤SA が年ごとの平均 y¯.j を使っている。これは「年を因子」にした場合の式
ポイント
  • 一元配置分散分析:総平方和 = 水準間平方和(群間) + 残差平方和(群内)
  • 水準間は「反復数 × (水準平均 − 全体平均)²」の和、残差は「(データ − 所属水準の平均)²」の和
  • 「何を因子(要因)にしているか」を問題文で確認し、その因子の平均だけが式に出る

〔2〕解答番号 31

表の(ア),(イ)の組合せとして、次の①〜⑤のうちから適切なものを一つ選べ。

  1. (ア)10 (イ)11
  2. (ア)10 (イ)122
  3. (ア)11 (イ)120
  4. (ア)11 (イ)121
  5. (ア)12 (イ)120
正解と解説

正解:③

考え方 水準数 k=12、総データ数 N=12×11=132。

変動要因自由度計算
水準間(ア)k−112−1=11
残差(イ)N−k132−12=120
合計N−1132−1=131(=11+120 で整合)

残差の自由度は「各月ごとに 11−1=10、それが12か月分」と考えて 10×12=120 と求めてもよい。

検算 F-値 3.0471 から逆算して確認できる。

F=SA/11Se/120=317441/111136491/120=28858.39470.8≈3.047

表の F-値 3.0471 と一致するので(ア)=11、(イ)=120 で正しい。

ポイント
  • 一元配置の自由度:水準間 k−1、残差 N−k、合計 N−1(足して合うか確認)
  • F-値が与えられていれば「平方和÷自由度」の比で逆算して検算できる

〔3〕解答番号 32

月ごとの売上高の母平均を μi(i=1,…,12)とする。次の記述Ⅰ〜Ⅲは、この一元配置分散分析の結果に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい。
  2. Ⅱのみ正しい。
  3. Ⅲのみ正しい。
  4. ⅠとⅡとⅢはすべて正しい。
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて誤り。
正解と解説

正解:③

分散分析表を完成させる

変動要因平方和自由度平均平方(平方和÷自由度)F-値
水準間3174411128858.328858.3 / 9470.8 = 3.047
残差11364911209470.8
合計1453932131

F分布の棄却限界値(自由度 (11, 120)) F分布表より

上側確率5%2.5%1%
F(11,120)約1.87約2.16約2.40

観測された F=3.047 はこれらすべてより大きい。よって

各記述の判定

記述判定理由
Ⅰ誤結論(棄却)は合っているが、対立仮説の書き方が誤り。分散分析の対立仮説は「少なくとも1つが異なる」であり、「すべてが異なる」ではない。仮説の設定が間違っている以上、記述全体として誤り
Ⅱ誤仮説の設定は正しいが、3.047>1.87 で棄却されるので「差があるとは判断できない」は誤り
Ⅲ正仮説の設定が正しく、3.047>2.16(上側2.5%点)なので P-値 < 2.5%
ポイント
  • 分散分析の仮説:H0:μ1=⋯=μk、H1: 少なくとも1つが異なる(「すべて異なる」は誤り。ひっかけの定番)
  • 平均平方 = 平方和 ÷ 自由度、F=水準間平均平方残差平均平方、自由度 (k−1,N−k)
  • F検定は常に右片側(Fが大きいほど水準間の差が大きい)
  • P-値の大小は「観測 F がどの上側確率の限界値を超えているか」で判断する

問18(解答番号 33・34・35)

次の表は、2017年の2人以上の勤労者世帯について、47都道府県庁所在市別に1世帯当たり1か月間の収入と支出をまとめたものである(単位: 万円)。なお、以下の表における世帯主収入の合計は、定期収入と賞与の和である。

市定期収入賞与合計消費支出
札幌市34.87.942.730.7
青森市28.15.333.426.9
盛岡市35.46.642.030.7
仙台市30.65.335.930.9
⋮⋮⋮⋮⋮
大分市36.68.044.632.2
宮崎市29.95.635.530.3
鹿児島市33.56.439.930.9
那覇市27.64.432.026.4

資料: 総務省「2017年家計調査年報」

〔1〕解答番号 33

まず、消費支出が定期収入および賞与で説明できるかどうかを検証するため、次の重回帰モデルを考える。

消費支出=α0+α1×定期収入+α2×賞与+u

ここで、誤差項 u は互いに独立に正規分布 N(0,σu2) に従うとする。定期収入、賞与にそれぞれ対応する変数を income, bonus として、上記の重回帰モデルを統計ソフトウェアによって最小二乗法で推定したところ、次の出力結果が得られた。なお、出力結果の一部を加工している。また、出力結果の (Intercept) は定数項 α0 を表している。

Coefficients:
             Estimate  Std. Error  t value  Pr(>|t|)
(Intercept)  14.58851  2.49814     5.840    5.80e-07
income        0.39461  0.08944     4.412    6.54e-05
bonus         0.47247  0.24370     1.939    0.059
---
Residual standard error: 1.898 on 44 degrees of freedom
Multiple R-squared: 0.5371,    Adjusted R-squared: 0.5161
F-statistic: 25.53 on 2 and 44 DF,  p-value: 4.371e-08

この重回帰モデルに対する解析結果の解釈に関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. 賞与を一定としたときに、定期収入が1万円増えると消費支出が約0.39万円増える傾向がある。
  2. 賞与と定期収入が同時に1万円増えると消費支出が約0.39万円増える傾向がある。
  3. 賞与を一定としたときに、定期収入が1%増えると消費支出が約0.39%増える傾向がある。
  4. 賞与と定期収入が同時に1%増えると消費支出が約0.39%増える傾向がある。
  5. 定期収入が1万円増えたら消費支出が約0.39万円増えるし、定期収入が1%増えたら消費支出が約0.39%増える傾向がある。賞与が一定なのか定期収入と同時に増えるかは、この解釈に影響しない。
正解と解説

正解:①

考え方 重回帰モデルの係数(偏回帰係数)α1 は「他の説明変数(賞与)を固定したうえで、定期収入が1単位増えたときの消費支出の変化量」を表す。推定値は α^1=0.39461。

変数はすべて「万円」の実数値のまま(対数変換していない)なので、単位は「1万円増 → 0.39万円増」であり、「1%増 → 0.39%増」ではない。

誤答の理由

選択肢誤りの理由
②両方が同時に1万円増えたときの変化は α1+α2≈0.39+0.47=0.87 万円
③④「1%増 → ○%増」(弾力性)の解釈は、両辺を対数変換したモデル logy=⋯+αlogx の場合。このモデルは対数をとっていない
⑤「賞与が一定かどうかは影響しない」が誤り。偏回帰係数は他の変数を一定とした条件付きの効果
ポイント
  • 偏回帰係数の解釈:「他の説明変数を一定として、その変数が1単位増えたときの目的変数の変化」
  • 単位はモデルの変数の単位そのまま(万円→万円)。%解釈は log-log モデルのときだけ

〔2〕解答番号 34

次に、消費支出が世帯主収入合計で説明できるかどうかを検証するため、次の単回帰モデルを考える。

消費支出=β0+β1×世帯主収入合計+v

ここで、誤差項 v は互いに独立に正規分布 N(0,σv2) に従うとする。世帯主収入合計に対応する変数を total.income として、上記の単回帰モデルを統計ソフトウェアによって最小二乗法で推定したところ、次の出力結果が得られた。なお、出力結果の一部を加工している。また、出力結果の (Intercept) は定数項 β0 を表している。

Coefficients:
              Estimate  Std. Error  t value  Pr(>|t|)
(Intercept)   14.3931   2.3531      6.117    2.09e-07
total.income   0.4121   0.0571      7.216    4.88e-09
---
Residual standard error: 1.878 on 45 degrees of freedom
Multiple R-squared: 0.5364,    Adjusted R-squared: 0.5261
F-statistic: 52.07 on 1 and 45 DF,  p-value: 4.879e-09

各係数の推定値を β^0,β^1 とし、消費支出(y)の予測値(y^)を y^=β^0+β^1×世帯主収入合計 としてその平均(y^¯)を計算したところ、y^¯=31.3 となった。次の記述Ⅰ〜Ⅲは、この単回帰モデルでの予測に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅰのみ正しい。
  2. Ⅱのみ正しい。
  3. Ⅲのみ正しい。
  4. ⅠとⅡのみ正しい。
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて正しい。
正解と解説

正解:⑤

記述Ⅰ(正) 最小二乗法(OLS)で定数項を含めて推定すると、残差の和は必ず 0 になる。

∑i=1nei=∑i=1n(yi−y^i)=0⟹y¯=y^¯=31.3

記述Ⅱ(正) 回帰直線は必ず平均点 (x¯,y¯) を通る。

y¯=β^0+β^1x¯⟹x¯=y¯−β^0β^1 x¯=31.3−14.39310.4121=16.90690.4121≈41.03≈41.0

記述Ⅲ(正) 残差の定義そのもの。ei=yi−y^i なので、yi=y^i+ei。

三つとも正しいので⑤。

ポイント 最小二乗法の性質(定数項ありのとき)
  • 残差の和は 0:∑ei=0 ⇒ 予測値の平均 = 実測値の平均
  • 回帰直線は平均点 (x¯,y¯) を通る:β^0=y¯−β^1x¯
  • 実測値 = 予測値 + 残差、残差と説明変数の相関は 0

〔3〕解答番号 35

次の記述Ⅰ〜Ⅲは、〔1〕で考えた重回帰モデルと〔2〕で考えた単回帰モデルの比較に関するものである。

記述Ⅰ〜Ⅲに関して、次の①〜⑤のうちから最も適切なものを一つ選べ。

  1. Ⅲのみ正しい。
  2. ⅠとⅡのみ正しい。
  3. ⅠとⅢのみ正しい。
  4. ⅡとⅢのみ正しい。
  5. ⅠとⅡとⅢはすべて正しい。
正解と解説

正解:③

記述Ⅰ(正) 重回帰モデルで α1=α2=α とおくと

α0+α×定期収入+α×賞与=α0+α×(定期収入+賞与)=α0+α×合計

となり、〔2〕の単回帰モデルと同じ形になる。

記述Ⅱ(誤) 出力から数値を読む。

モデルR²自由度調整済み R²
重回帰(income + bonus)0.53710.5161
単回帰(total.income)0.53640.5261

自由度調整済み決定係数は 重回帰 0.5161 < 単回帰 0.5261 であり、「重回帰の方が大きい」は事実に反する。説明変数を増やせば R² は必ず上がる(0.5371 > 0.5364)が、自由度調整済み R² は変数を増やしたことへの罰則があるため下がっている。むしろ自由度調整済み R² で選ぶなら単回帰の方がよい。

記述Ⅲ(正) 重回帰では定期収入と賞与の効果を別々に推定できる(α1,α2)。単回帰では合計しか説明変数にしていないので、内訳ごとの効果は分析できない。

統計ソフト出力の読み方(まとめ)

項目意味
Estimate係数の推定値(β^)
Std. Error推定値の標準誤差(SE)
t valueEstimate/Std. Error。係数=0 の検定統計量(例: 0.4121/0.0571 = 7.216)
Pr(>|t|)係数=0 の両側検定のP値。0.05 未満なら有意(bonus の 0.059 は5%で有意でない)
Residual standard error残差の標準偏差の推定値 ∑ei2n−p−1。自由度 n−p−1(47−2−1=44、47−1−1=45)
Multiple R-squared決定係数 R²。説明変数を増やすと必ず増加
Adjusted R-squared自由度調整済み R²。変数の数に罰則あり。モデル比較にはこちら
F-statistic「すべての係数=0」の検定統計量。自由度 (p,n−p−1)。p-value が小さければモデル全体が有意
ポイント
  • 係数に制約(等しい・0 など)を置くと、より単純なモデルに帰着する
  • モデル比較は R² ではなく自由度調整済み R²(またはAIC等)で行う。記述の数値と出力の数値を必ず突き合わせる
  • 「したがって〜すべきである」型の記述は、前半の事実関係が出力と合っているかを先に確認する

正解一覧

問解答番号正解問解答番号正解
問1〔1〕1①問10〔3〕19②
問1〔2〕2③問1120⑤
問2〔1〕3④問1221⑤
問2〔2〕4③問1322⑤
問2〔3〕5③問14〔1〕23③
問3〔1〕6①問14〔2〕24③
問3〔2〕7④問15〔1〕25④
問48②問15〔2〕26②
問59②問16〔1〕27⑤
問610④問16〔2〕28④
問711③問16〔3〕29⑤
問8〔1〕12①問17〔1〕30①
問8〔2〕13③問17〔2〕31③
問9〔1〕14④問17〔3〕32③
問9〔2〕15④問18〔1〕33①
問9〔3〕16②問18〔2〕34⑤
問10〔1〕17③問18〔3〕35③
問10〔2〕18②

出典: 統計検定2級 2019年11月試験(Kindle版問題集より転記)。図はスクリーンショットから切り抜いて埋め込み。