統計検定2級 公式チートシート
「暗記しておかないと解けない」内容を出題頻度順にまとめたもの。過去問の解説中のポイント欄と対応している。
1. 記述統計(毎回2〜3問)
| 項目 | 公式 | 注意 |
| 分散 | | 不偏分散は n−1 で割る。問題文の定義に従う |
| 変動係数 | | 単位に依存しない。定数倍しても不変 |
| 共分散 | | Cov(aX, bY) = ab·Cov(X,Y) |
| 相関係数 | | −1 ≤ r ≤ 1。1次変換で不変(符号は傾きの符号に従う) |
| 回帰係数 | | 回帰直線は必ず (x̄, ȳ) を通る。単回帰では R² = r² |
| 標準化 | 、偏差値 = 50 + 10z | 平均0・分散1。1次変換(傾き正)で不変 |
| 1次変換 Y = aX + b | 平均 a·x̄ + b、標準偏差 |a|·s、分散 a²s² | 定数 b は散らばりに無関係 |
箱ひげ図 箱=Q1〜Q3(長さ=IQR)、中線=中央値、ひげ=1.5×IQR 以内の最小/最大、○=外れ値。外れ値も実データなので範囲・最大値には含む。ひげの端≠最大値。
平均の種類 変化率・成長率の平均は幾何平均(累乗根)、速度の平均は調和平均。右に裾が長い分布では 平均 > 中央値 > 最頻値。
時系列 季節周期 k のデータのコレログラムはラグ k, 2k で正のピーク、k/2 で負。傾向変動・季節変動・循環変動・不規則変動。変化率の平均 r は 。
偏相関係数 。第3の変数 z の影響を除いた直線的関係。相関 > 偏相関 なら z を共通要因とする擬相関が含まれる。
2. 確率(毎回2問)
| 項目 | 公式 |
| 加法定理 | |
| 条件付き確率 | |
| 全確率の公式 | |
| ベイズの定理 | |
| 独立 | / 排反: |
解き方 樹形図 → 同時確率の表(4マス)→ 分母は「判明した事象」の全確率。独立と排反は(確率0の事象を除き)両立しない。
3. 確率変数・期待値・分散
| 公式 | 備考 |
| |
| 定数は消える |
| E[X²] を求める問題で逆に使う |
| |
| 独立なら Cov = 0。X−Y でも分散は「+」 |
| 積分の中は密度 f。分布関数 F ではない |
打ち切り分布 ある値を超えたら固定値に潰すと、固定値に点質量ができ分布関数がジャンプする。固定値が最小側なら F は全体がかさ上げ、分位点は手前にずれる。期待値は連続部分の ∫x f(x)dx + 点質量の 値×確率。
歪度・尖度 歪度 = E[((X−μ)/σ)³]:右に裾が長い → 正。平均の符号とは無関係。尖度は正規分布を基準(正規分布 = 3、または 0)。
4. 主要な確率分布(期待値・分散を暗記)
| 分布 | E[X] | V[X] | 用途・覚え方 |
| 二項分布 B(n, p) | np | np(1−p) | 成功回数。n 大なら正規近似 |
| ポアソン分布 Po(λ) | λ | λ | まれな事象の回数。E = V が特徴 |
| 幾何分布 Ge(p) | 1/p | (1−p)/p² | 初成功までの試行回数。無記憶性 |
| 一様分布 U(a, b) | (a+b)/2 | (b−a)²/12 | |
| 指数分布 Ex(λ) | 1/λ | 1/λ² | 待ち時間。無記憶性 |
| 正規分布 N(μ, σ²) | μ | σ² | ±1σ: 68%、±2σ: 95%、±3σ: 99.7% |
正規分布の再生性 独立な X ~ N(μ₁, σ₁²), Y ~ N(μ₂, σ₂²) に対し X + Y ~ N(μ₁+μ₂, σ₁²+σ₂²)。
標本平均の分布 、標準誤差 。中心極限定理:母集団が何であれ n が大きければ X̄ は正規分布に近づく。標本比率 。
標本分布 σ未知で S² を使う → 。分散 → 。分散の比 → F(n₁−1, n₂−1)。
5. 推定(毎回2問)
| 対象 | 95%信頼区間 | 備考 |
| 母平均(σ既知) | | |
| 母平均(σ未知) | | 付表2 |
| 母比率 | | p̂ を使う(検定は p₀) |
| 母分散 | | 上側点が左に来る |
暗記必須の数値 z(0.05)=1.645、z(0.025)=1.96、z(0.005)=2.576。90%→1.645、95%→1.96、99%→2.576。
必要標本サイズ 幅 w(±の半幅は w/2): 。比率で事前情報なしは p=0.5(p(1−p)=0.25 が最大)。信頼区間の幅は 1/√n に比例 → 幅を半分にするには n を4倍。
不偏性・一致性 不偏 = E[θ̂] = θ。一致 = n→∞ で θ̂ → θ(分散 → 0)。一部のデータしか使わない推定量(例 (X₁+Xₙ)/2)は不偏だが一致ではない。
6. 仮説検定(毎回3〜4問・最頻出)
| 検定 | 統計量 | 分布・自由度 |
| 母平均(σ既知) | | N(0,1) |
| 母平均(σ未知) | | t(n−1) |
| 母比率 | | N(0,1)。分母は帰無仮説の p₀ |
| 2標本の平均差(等分散) | 、 | t(n₁+n₂−2) |
| 対応のあるデータ | 差 d をとって1標本 t 検定 | t(n−1) |
| 母分散 | | χ²(n−1) |
| 分散の比 | | F(n₁−1, n₂−1)。下側点は |
| 適合度・独立性 | | 適合度: カテゴリ数−1。独立性: (行−1)(列−1)、期待度数 = 行計×列計/総計 |
考え方 帰無仮説は必ず等号、対立仮説に示したい主張。「増える/減る」→片側(上側 α 点)、「異なる」→両側(上側 α/2 点)。第1種の過誤 α(H₀ 正しいのに棄却)、第2種の過誤 β(H₀ 誤りなのに採択)、検出力 1−β。p値 < α で棄却。棄却されない ≠ H₀ が正しい(「差があるとは言えない」が正しい言い方)。n を増やすと検出力は上がる。
7. 回帰分析・分散分析(毎回2〜3問)
| 出力項目 | 意味 |
| Estimate | 係数。偏回帰係数は「他の変数を一定として1単位増えたときの変化」 |
| Std. Error | 係数の標準誤差 |
| t value | = Estimate ÷ Std.Error。自由度 n − (説明変数の数) − 1 |
| Pr(>|t|) | 両側 p 値。片側はその半分 |
| Residual standard error | σ̂ = √(残差平方和 / 自由度) |
| Multiple R-squared | 決定係数。変数を増やすと必ず増える |
| Adjusted R-squared | 。単回帰でも R² と異なる。モデル比較はこちら |
| F-statistic | 「定数項を除くすべての係数が0」の検定。F(k, n−k−1) |
OLS の性質 残差の和は0、予測値の平均 = y の平均、回帰直線は (x̄, ȳ) を通る、y = ŷ + e。ダミー変数は基準カテゴリを1つ落とす(全部入れると多重共線性=ダミー変数の罠)。対数モデル log y = a + b log x なら b は弾力性(%解釈)。
一元配置分散分析 総平方和 = 水準間平方和 + 残差平方和。自由度: 水準間 k−1、残差 N−k、合計 N−1。平均平方 = 平方和 ÷ 自由度、F = 水準間平均平方 ÷ 残差平均平方 ~ F(k−1, N−k)。H₁ は「少なくとも1つ異なる」(「すべて異なる」は誤り)。F 検定は常に右片側。
8. その他(1問ずつ程度)
| 項目 | 要点 |
| 標本抽出法 | 単純無作為/層化(層ごとに抽出)/集落=クラスター(選んだ集落は全数)/系統(等間隔)/多段(段数を増やすと精度は下がる) |
| フィッシャーの3原則 | 無作為化(系統誤差→偶然誤差)/反復(同条件に複数の実験単位)/局所管理(ブロック内を均質に) |
| 研究デザイン | 観察研究 vs 実験研究、交絡、擬相関、無回答バイアス(有効回答数を増やしても解消しない) |
| チェビシェフの不等式 | |
| 大数の法則 | n→∞ で標本平均は母平均に確率収束(一致性の根拠) |
| ローレンツ曲線・ジニ係数 | 累積相対度数のプロット。ジニ係数 = 対角線との間の面積 × 2(0=完全平等) |
記述Ⅰ〜Ⅲ問題で「誤り」の合図になる言い回し
- 「常に」「必ず」「いつでも」「〜にかかわらず」「すべて異なる」
- 「棄却されないので差がない」「厳密な値を知るのは不可能」「丸め誤差のため」
- 「偏相関係数は非線形関係を捉える」「t値が負なら説明力が低い」「R² が大きいモデルを選べばよい」
- 「同一被験者から繰り返し測定=反復」「段数を増やせば精度が上がる」